星乃 砂

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 『二人だけの秘密』

ぼくは深海梶小学3年生、弟の海里は5才の幼稚園児でお父さんの転勤で海辺の街へ越してきた。

父 「ようし、着いたぞ。」
母 「あなた、ここに住むの?栄転で戸建てだって言うから期待してたのに。」
梶 「なんかトトロが居そうな家だな。」
海里 「トトロ〜❣️わーい、マックロクロスケ出ておいでー!」
父 「走り回るな!お前たちは邪魔だから遊びに行ってこい。」
母 「あんまり遠くに行かないでね。」
父 「海には入るなよ!」
梶・海里 「「はーい」」

海里 「お兄ちゃんどこ行くの?」
梶 「海。」
海里 「えー、お父さんが行くなって言ってたよ。」
梶 「お父さんは海に入るなって言ったんだよ。」
海里 「あっ、そうかー。わーい海だー。」
梶 「よーし海里あそこの岩場まで競争だー。」
海里 「待ってよーお兄ちゃん。」

梶 「あっカニがいた。」
海里 「カワイイー。ボクも見つけるー。」
梶 「いっぱい捕まえようぜ。」
海里 「うん。あっ痛い!カニに挟まれた!」
梶 「大丈夫だ、兄ちゃんが取ってやる。」

海里 「お兄ちゃんあっちに洞窟があるよ。」
梶 「よし、入ってみよう。」
海里 「お父さんに怒られてちゃうよー。」
梶 「大丈夫だよ。海に入るなって言ったんだから洞窟は大丈夫。」

海里 「お兄ちゃん怖く無い?」
梶 「天井に穴が空いてて日差しも入ってくるし平気だから海里も入っておいで。」
海里 「うん、わかった。」
梶 「なんかカッコいいな。」
海里 「秘密基地みたいだね。」
梶 「ようし、ここは俺たちだけの秘密基地にしよう。」
海里 「やったー、わーいわーい。」
梶 「今度は、お菓子持ってこような。」

  ーーしばらくしてーー

海里 「お兄ちゃん、お水が入ってきた。」
梶 「大変だ満ち潮で入り口が塞がって出られなくなってしまった。」
海里 「お兄ちゃん、どうしよう?」
梶 「天井の穴に向かってお父さんを呼ぼう。」
海里 「お父さーん、助けてー、お父さーん。」

  ーー その頃 ーー

父 「疲れたなー、だいぶ片付いたかな。」
母 「お父さん、梶たちがまだ帰ってないのよ。」
父 「ちょっとその辺探しに行ってくる。」

  ーーしばらくしてーー

父 「どこにも見当たらない。近所の人に話したら、一緒に探してくれるそうだ。」
母 「すいません、よろしくお願いします。」
村人A 「困った時はお互い様だ。コイツは息子の源太です。源太、都会の子供が行きそうな所に心当たりはないか?」
源太 「あるよ、引き潮の洞窟だよ。」
父 「じゃあすぐそこへ行ってみよう。」
村人A 「今は満ち潮だから入り口は塞がっている。」
母 「そ、そんなぁ。」
源太 「天井に穴が空いている。」
村人A 「そうか、そこからロープで引っ張り上げられる。」
父 「よろしくお願いします。」

ーー引き潮の洞窟へ向かうーー

母 「梶と海里の声が聞こえる。」
父 「梶、海里そこに居るのか。」
梶 「父さんだ。」
海里 「お父さん早く助けてよー。」
母 「ケガはないの?」
梶 「大丈夫ケガはないよ。」
村人A 「今ロープを下ろすから体に縛って、上から引っ張り上げるからね。」

ーようやく二人は救出されたー

源太 「お前たち、引き潮の洞窟から入ったんだな。」
父 「海に行ってはダメだって言っただろう。」
梶 「違うよ、あの穴から落ちたんだよ。」
海里 「お兄ちゃん?」
梶 「海里、二人だけの秘密な。」

5/4/2024, 11:18:41 AM