耳を澄ますと
「琴美、3時迄には帰ってくるのよ。」
アタシたちは近くのクズ鉄山(スクラップ置き場)で隠れん坊をすることになった。
「もーいいかい。」
「「まーだだよ。」」
鬼は葵である。
「もーいいかい。」
何たってスクラップ置き場である。かくれる所はいくらでもある。
「「もーいいよ。」」
タイヤ山脈で、みっちゃんが見つかった。悪臭谷で昴を見つけた。
「臭いからこんな所に隠れてないでよ。」葵が昴に文句を言うと、「こんな所だから見つからないと思ったんだけどな。」昴は悔しがっていた。
「あとは、心くんと琴美ちゃんだ。」葵は一生懸命探したがふたりは見つからない。
昴とみっちゃんも一緒に探すことになった。
「「「心くーん、琴美ちゃーん。」」」
「どっかでケガでもしてるのかな?」「どっかに閉じ込められているかもしれない。」3人は必死になってふたりを探した。
「静かに!」昴が叫んだ。「何か聞こえないか?」3人が耳を澄ますと、
“ドンドンドン、ドンドンドン”
と微かに聞こえる。
「あっちだ!」昴が走り出した。そこには冷蔵庫があった。急いでドアを開けると中には大泣きしている心がいた。
「怖かったよー。中からはドアが開かないんだもん。もう死ぬかと思ったよー。」ともかく無事でよかった。
「あとは琴美だけか。」もう3時を過ぎている。みんなは不安になってきた。琴美のお母さんに知らせるために、琴美の家へ急いだ。
「あら、みんな遅かったわね、オヤツ用意してあるから早く上がりなさい。」ぼくたちは訳もわからず部屋へ入っていくと、琴美は大口を開けてケーキを食べていた。
「琴美ちゃん、みーつけた。」
おわり
5/5/2024, 4:10:18 AM