ニホンジン「本を開く」
ジン「本を開く」
ニホンジン「ページを開く」
ジン「ページを開く」
ニホンジン「読み始める」
ジン「あっ!コーヒーを準備する」
ニホンジン「読み進める」
ジン「あっ!ティーカップを落として割る」
ニホンジン「びっくりする」(割れたティーカップを見て)
ジン「掃除機で片付ける」(うるさい掃除機の音)
ニホンジン「...気になって集中できない」
ジン「ホコリっぽいなぁ...窓を開ける」
ニホンジン「風が気持ちいい」
ジン「あっ!さっき開いたページが!!!」
ニホンジン「あっ!もぅ見てられない...」
ジン「窓を閉じる」
ニホンジン「栞を挟む。説教をしに行く。おい!君!いい加減にしたまえ!」
ジン「巨大扇風機を用意する」
ニホンジン「なっ...何をしている!」
ジン「ポチ」
ニホンジン「あばばばばばばばばば!!!」
ジン「フハハハハハハハハハ!!!」
ニホンジン「あぁ!本が栞ごと飛ばされた!」
ジン「へへへ、これはおもしろいや」
ニホンジン「しくしく、取りに行く。」
ニホンジン、上手にはける
ジン「はぁ〜あ、あれ、俺の本どこいった?」
ニホンジン戻ってくる、ジン探しながらうろうろする
ニホンジン「ふぅー、とんだひと苦労だ。」
ジン「あれ?どこだ?おれの本」
ニホンジン「ん゛ん゛、ページを開く」
ジン「あれ?どこだ?」
ニホンジン「ページを開く」
ジン「どこだ?」
ニホンジン「ページを開く」
2人ともずっといいながら幕が降りる
男 おはよ〜今日の朝ごはんは?
女 おはよ〜昨日遅かったね
男 あ〜遅くまで残業しててさ、ほら、言ったでしょ?新しく来た後輩のマツザキあいつなかなか仕事できなくてさ
女 でも感じはいいんでしょ?
男 そう、やる気は誰よりもあるんだよ。だからあんまり怒れないんだよ
女 難しいところね
男 そうなんだよ、怒ったらやる気無くすだろうし怒らなかったら仕事遅いままだしさ
女 しょうがないよ
男 しょうがなくないよー、あるよ。生姜、昨日買った
女 あ、そうなのね忙しいのにありがと
男 そうなんだよ今忙しい時期だからさー、尚更、人員がいなくなると困るんだよねー
女 上司に相談した?
男 したした、下にあるよ、醤油でしょ?
女 ああ、ありがとう。まあでもさ、そういう上手くいかない人のことも受け入れるのが重要じゃない?
男 そうかなー
女 そうそう、全ての人を受け入れ、共に成長していく、美しい日本スピリチュアルの妙がそこにはあるよ…
男 ああ、ミョウガね、ありがと、これが美味いんだよなー
女 そうそう、あなたの企業はそれが上手いんだから、みんなで協力してやっていきなよ。
男 そうだねー…
女 ちなみに今は何をしてるんだっけ
男 塔を作ってるんだよ
女 ふーん、どんな塔?
男 普通の塔さ、一般的な、ドーンってやつ
女 普通の塔がわからないわよ
男 とにかく、塔だよ、普通の
女 ふーん、塔、普通ね…
男 そう、塔、普通
女 豆腐、2個よ。
男 え?
女 今日のごはん
男 最後のはちょっと強引じゃないか?
女 なんでよ、いいじゃない。とうふ•ツー(two)
終わり。
男「ねぇ、ピカチュウのしっぽって何色だったか覚えてる?」
女「はい?」
男「いやだから、ピカチュウのしっぽ。どんな何色だと思う?」
女「はぁ…」立ち去ろうとする
男「ちょっとまってよ!いや質問に答えてよ!」
女「あの、あなたナンパの一言目としてそれは間違ってません?」
男「え?」
女「どう考えてもナンパする人の質問じゃないでしょ。同じクラスの仲良いヤツと昼とかにフラッと話す話題ですよそれ」
男「だから僕はきみとそれくらいの関係になりたくて」
女「それくらいの関係になるなよ。学年上がるごとに離れていく関係じゃねぇかよ。てか何?私ピカチュウで釣れる女だと思われたってこと?ふざけんなよな」
男「いやいや、君を見た瞬間ビビっときたんだよ。もしかして、きみ、でんきタイプかなって思っちゃって!」
女「おまえ、ぶっころすぞ!!!!!!」
男「え?」
女「アフロでも許せない」
男「アフロ?」
女「たとえアフロみたいな訳わかんない髪型してても、お前みたいなこと言うやつは大嫌いだ」
男「はぁ…」
女「茶色!」
男「……?」
女「ピカチュウのしっぽの色。茶色でしょ」そう言って女足早にいなくなる
男、1人取り残されて「…今までにないタイプだ……。涙も乾いた。あ!ねぇ、カイリキーの腕って何本あったか覚える?」
男「なぁ、コーヒーブラックでいいか?」
男2「あーすまん。ミルクもつけてくれ」
男「あれ、もしかしてブラック飲めないのか、え?」
男2「言っただろ、前の女が…」
男「あー聞いた聞いた、からかったんだよ。」
男2「勘弁してくれよ。思い出すと頭痛くなるんだよ。あーもう目の前にそいつの顔がでてきたよ」
男2、目の前を手で払う動き
男「ほいコーヒー。なぁ、また聞かせてくれよ。好きなんだよその話」
男2「いいだろう。んん、その女に逆ナンされたのは夏だった。暑い砂浜でサーフボードを片手に歩いてる俺に話しかけてきた。女は美人だった、そりゃもう目を疑うほど」
男「どのくらい?たとえるなら誰似だよ」
男2「たとえるなら…そうだなあれだ、いるだろあの、眉毛のキリッとしてる金髪の女優…ホラ、ミッションインポッシブルとかにでてた」
男「ヴァネッサ・カービー」
男2「そうヴァネッサ、それに似てた」
男「魔性の女だな」
男2「そう見えてた、俺もだ。だけど違ったんだよ、とんでもない女だった。…なぁ、それ何食ってんだ?スープ?」
男「いやコーヒー、コップ無かったから」
男2「だからって平皿にいれることないだろ。飲みにくいだろ、スプーンじゃ」
男「いやこれスプーンじゃない」
男2「いやスプーンでしょ」
男「いやこれスポーク、先が割れてるスプーン、フォークとスプーンが合体してるから、スポーク」
男2「いや先割れスプーンでしょ。スプーンって言っちゃってるし。」
男「スポーク」
男2「なんでそんなスポークに頑固なんだよ。お前が開発してないとおかしいくらい頑固だよ」
男「続き、聞かせろよ」
男2「あぁ、それでな、その女と付き合って数ヶ月が経って、ちょうど秋が深くなって肌寒くなったころ、俺、長袖を着てその女とデートに行ったんだ。その日のデートは一緒に買い物だったんだけどなんか会ったときから顔色が暗いんだ。ちょっと心配になりつつ一緒に買い物を楽しんでたんだよ。そしたらいきなり女が立ち止まって言うんだ。『私、あなたの半袖姿に惚れたの、長袖のあなたは全然かっこよくない』それで別れを切り出されて。あまりに突然だから俺も粘ったんだ。するとあの女激昂しだして、ついには商品をぶん投げてきたんだ。そこはコーヒー店の前だったからちょっといい豆が店頭に並んでた。それを容器ごとぶん投げてくるんだから俺に当たった瞬間に弾けるんだよ。それで床はコーヒー豆まみれ。惨状だったね」
男「傑作だな、コーヒーのいい香りを嗅ぎながらよくそんな激昂できたもんだ。」
男2「本当だよいったいどんな神経してんだあの女。二度とあんなんに引っかからないようにしてやる。」
男「ふーん………なぁ、それっていつごろの話だっけ」
男2「もう、かれこれ3年経つな」
男「まだ、気にしてるだろ。言われたこと」
男2「え?いや?」
男「じゃあなんで半袖着てるんだよ」
男2「いや別に、暑いから」
男「冬だぞ?暖房もついてないこの部屋で暑いだと?まったく羨ましいね」
男2「本当だ。暑い、クーラーつけてくれてもいいだ」
男「つくわけないだろ。いいから、ホットコーヒー飲め。」
男2「…おう、ありがとな…(ミルクをいれる)あ、スプーンあるか?」
男「おう、(探す)はい」
男2「いやこれスプーンじゃなくて…」
男「スポーク。」
終わり
舞台上にはパソコンが1台置いてある。そこには小さく「おーい」と書いてあるが客席の1番前の人がギリギリ見えるか見えないか位の大きさである
舞台上手には大量の椅子、乱雑に置かれている。合間を縫ってビン、缶なども置かれている。
舞台下手にはまだ梱包されている引越しの荷物がある。大きいものも小さいものもある
男「聞こえる...」
男2「え?ほんと?」
男「聞こえる...呼んでるよ」
男2「えまじで?」
男、男2、耳をすましている
雨の音
男2「あ、雨降ってきた」
男「...」
男2「なーもう帰ろうぜ」
男「呼んでる...」
男2「...」袖にはける
男2「おまえ傘どこに置いたー?」
男2、傘を持ってきて男にさしてやる
男2「あー前もって来てた分忘れててよかったー」
雨
上から「おーい」と書かれた幕が降りてくる
男「聞こえた!」
男2「え?まじ?」
男「うん、近くいる、近づいてるよ」
男2「聞こえないよ」
男2、雨がやんでからしばらくしてはけていく
男「きた!」
上から「おーい」と書かれた幕がもうひとつ降りてくる
雨が降ってきてすごく強くなっていく、それ合わせて「おーい」の幕の量もどんどん増えていく
男、喜びなのか狂気なのか、表情
雨、明かり、消える。
舞台にはタイピング音が響き渡る
男「おーい」
おわり