NANDAKANAAAAA

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男「なぁ、コーヒーブラックでいいか?」
男2「あーすまん。ミルクもつけてくれ」
男「あれ、もしかしてブラック飲めないのか、え?」
男2「言っただろ、前の女が…」
男「あー聞いた聞いた、からかったんだよ。」
男2「勘弁してくれよ。思い出すと頭痛くなるんだよ。あーもう目の前にそいつの顔がでてきたよ」

男2、目の前を手で払う動き

男「ほいコーヒー。なぁ、また聞かせてくれよ。好きなんだよその話」
男2「いいだろう。んん、その女に逆ナンされたのは夏だった。暑い砂浜でサーフボードを片手に歩いてる俺に話しかけてきた。女は美人だった、そりゃもう目を疑うほど」
男「どのくらい?たとえるなら誰似だよ」
男2「たとえるなら…そうだなあれだ、いるだろあの、眉毛のキリッとしてる金髪の女優…ホラ、ミッションインポッシブルとかにでてた」
男「ヴァネッサ・カービー」
男2「そうヴァネッサ、それに似てた」
男「魔性の女だな」
男2「そう見えてた、俺もだ。だけど違ったんだよ、とんでもない女だった。…なぁ、それ何食ってんだ?スープ?」
男「いやコーヒー、コップ無かったから」
男2「だからって平皿にいれることないだろ。飲みにくいだろ、スプーンじゃ」
男「いやこれスプーンじゃない」
男2「いやスプーンでしょ」
男「いやこれスポーク、先が割れてるスプーン、フォークとスプーンが合体してるから、スポーク」
男2「いや先割れスプーンでしょ。スプーンって言っちゃってるし。」
男「スポーク」
男2「なんでそんなスポークに頑固なんだよ。お前が開発してないとおかしいくらい頑固だよ」
男「続き、聞かせろよ」
男2「あぁ、それでな、その女と付き合って数ヶ月が経って、ちょうど秋が深くなって肌寒くなったころ、俺、長袖を着てその女とデートに行ったんだ。その日のデートは一緒に買い物だったんだけどなんか会ったときから顔色が暗いんだ。ちょっと心配になりつつ一緒に買い物を楽しんでたんだよ。そしたらいきなり女が立ち止まって言うんだ。『私、あなたの半袖姿に惚れたの、長袖のあなたは全然かっこよくない』それで別れを切り出されて。あまりに突然だから俺も粘ったんだ。するとあの女激昂しだして、ついには商品をぶん投げてきたんだ。そこはコーヒー店の前だったからちょっといい豆が店頭に並んでた。それを容器ごとぶん投げてくるんだから俺に当たった瞬間に弾けるんだよ。それで床はコーヒー豆まみれ。惨状だったね」
男「傑作だな、コーヒーのいい香りを嗅ぎながらよくそんな激昂できたもんだ。」
男2「本当だよいったいどんな神経してんだあの女。二度とあんなんに引っかからないようにしてやる。」
男「ふーん………なぁ、それっていつごろの話だっけ」
男2「もう、かれこれ3年経つな」
男「まだ、気にしてるだろ。言われたこと」
男2「え?いや?」
男「じゃあなんで半袖着てるんだよ」
男2「いや別に、暑いから」
男「冬だぞ?暖房もついてないこの部屋で暑いだと?まったく羨ましいね」
男2「本当だ。暑い、クーラーつけてくれてもいいだ」
男「つくわけないだろ。いいから、ホットコーヒー飲め。」
男2「…おう、ありがとな…(ミルクをいれる)あ、スプーンあるか?」
男「おう、(探す)はい」
男2「いやこれスプーンじゃなくて…」
男「スポーク。」

終わり

7/25/2025, 5:35:51 PM