あなたとわたし
会った当初から分かってたんだ。
私達、運命だったのかもって
でも、その当初はすごい怖かったの覚えてる
私に全く関係のない貴方が運命なんて。
でも、日を重ねる事にそれは薄れてった
逆にね、私こう思うようになってったよ
『2人でひとつっていう関係になりたい』って
だから何回も想いを伝えたんだ。
でも、大体生半可な返事だったな。
それにすごい凹んだの。
貴方には言ってないけど、ね。
それを何回も繰り返してく後
私達はもしかしてだけど。
そういう関係になれてるのかもしれない
私はそう信じてる
ねぇ、聞いていいかな。
貴方と私、2人でひとつっていう関係になれてるのかな。
教えて。
永遠に
私は私以外の人と話している貴方が嫌い。
私とだけ話せばいいんだ。
ずっとこう思っていた。
どうにかして貴方を監視できないかな。
監視はしなくとも、ずっと一緒にいることはできるかな。
あっ、そうだ。
私は作業机からトンカチを出す。
そのトンカチを私の腕目掛けて振り落とす。
鈍い音が響いて、机の上には私の『一部』が散らばる。
それを集めて加工する。
できるだけ目立たないように、貴方の大事なものに入っていてもバレないように。
作業開始から2時間ほど経ち、やっと加工が完成した。
あとは、貴方の大事なものに忍び込ませるだけ。
後日、私は貴方に会いピアス─貴方の大事なものを少しだけ預かった。
そして加工した私の『一部』をそれに付ける。
すぐにそれを返す。
私はそのあとすぐにその場から離れる。
貴方がほかの誰と話していても、貴方はずっーと私と一緒。
貴方は永遠に私と一緒よ。
そう思いながら。
紺色のテーブルクロスにばら撒かれた宝石のような夜空、私は寝れなくてずっとこの空を見ていた。
そろそろ寝ないと明日が心配だからベッドに入った時、メッセージが送られてくる。
誰だろう?と思って通知を見ると、貴方からだった。
私は恐る恐る通知をタップして、トーク画面を開く。
「話があるんだ」と、送られてきていた。
持っていたスマホを落としてしまった。
すぐに持ち直そうとしたけど、手が震えていて全然スマホを掴むことが出来なかった。
数分後、ようやく文字を打てるようになって「どうしたの?」と送る。
「別れよう」と送られてきた。
目の前が真っ暗になった、血の気が引いているのがすぐに分かった。
「どうして?」と送った。
「海喑に幸せになって欲しいから」と返された。
どういう事。私は今までに無いくらい幸せだ。
でも、これをあなたは知っているはずだ。
何回も言っているから。
「私、今すっごい幸せ。それに、貴方が居ないと生きていけないよ。」
そう送ると、頬に熱い筋が伝った。
「いや、大丈夫。海喑は強いから。俺が居なくてもいっぱいの人と仲良くできるし、好きな人だって出来るはず。」
そう送ってから、時間を置いて
「そろそろだ、じゃあね。」
と送られてきたかと思ったら、あなたはもうトークから退室していた。
行かないで
って言いたかった。
私は弱い、貴方以外の人と仲良くなんてできない。好きな人なんて、貴方以外誰もいないよ。
私は私の前から消えた貴方を思って、涙を流していた。
─行かないで─
絵を描くのが嫌いだった。
いつになっても上手くならない自分の絵を見ると虚しくなってた。
でも、いつからだっけ、絵を描く事が好きになったのは。
そうだ、貴方に会ってからだ。
私が会ってきた人の中で一番絵が上手かった。
これに加えてすごい優しくて、親身になってくれる人だった。
そんな貴方を最初は妬んでた。
でも、貴方と話していく中で妬みが無くなっていった。
その代わりに芽生えた感情が『憧れ』だった。
それから私は貴方のようになりたくて、必死に絵を描いた。
絵の本を何冊も買って勉強した。
それを家族は笑ってた。
「上手くない」だの「私の方が上手く描ける」だの、何回も言われた。
でも私は、私は諦められなかった。
貴方に認められたい、貴方のようになりたいから。
それから自分でも分かるくらい、絵が上手くなった。
あぁ、そうだ。
嫌いなものを好きにさせたのは貴方だった。
私に新しい景色、絵を描く楽しさを教えてくれたのは貴方だった。
──絵だけじゃない。
色んな事を貴方は教えてくれた。
だから、私は色んな事が好きになった。
始まりはいつも貴方だった。
そこまで、手を引っ張ってくれたのも貴方だった。
私は、貴方がいるから色んな事を知っている。
貴方がいなかったらどうだっただろう。
……考えたくもない。
私に色んな事を教えてくれて、光をくれた貴方にお礼を言いたいけど
面と向かって言うのは恥ずかしいからここで言わせてもらうね。
色んなことを教えてくれてありがとう。
私、毎日楽しいよ。
これからも色んな事を教えてもらうと思うけど
その時はよろしく。私も出来ることはするよ。
だから、ずっと一緒にいてね。
約束だよ。
─始まりはいつも─
日がまだ昇っていない深夜。
ふと、私は目を覚ました。横を見たら今寝たのだろうか、スヤスヤ眠っている貴方がいた。
濃い隈はいつ消えるのかなと寝顔を見ながら考えていた。
いつもの様に朝のルーティンをこなした。今日は時間があったからいつもより時間が出来た。
することも無いから、絵を描いていた。
貴方と一緒にいるようになってから昔よりも描かなくなったな。
私は貴方の役に立ちたい。その一心だったから自分のことなんて二の次だったからか。なんて思いながら。
「ん〜 、やっと描き終わった!でもなぁ、昔より下手になったな。まぁずっと描いてなかったからしょうがないか。」
描き終えた絵を見ながら下がった自分の画力を仕方なく思っていると藍色のカーテンから柔らかな光が差し込んでくる。
その光は、私を優しく包み込んでくれそうなくらい柔らかくて暖かい。
私はその光と少し戯れた。こうやって遊んでいた幼少期の私を思い出しながら。
そして私は今日も頑張るぞ!と意気込んだ。
やわらかな光。それは私の大好きなもので、私を元気づけてくれる
綺麗な光だ。