時雨

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2/8/2025, 11:59:15 AM

遠く、、、

いつか世界の端っこに行ってみたい。
息を飲むような景色を見てみたい。
ただそれは単なる願望に過ぎない。
私は本が好きだ。
本を読めば様々な物語が文字を通して見えてくる。
読者の糸を惑わすような展開の本や日常を題材にして
作者の想いが綴られた本など手に取ればとてもワクワクする様なものばかりだ。
現代はSNSも発達している為気軽にネットで本を見る事が出来る。だが私は書店に直接足を運び興味のある本を手に取り読む方が性に合っている。
印刷された紙の匂いもページをめくる音も画面越しでは伝わらない私が好きなこだわりポイントだ。
私のこの文章は決して上手いものではない。
ただ遠く離れた名も知らない人にもなにか伝わるものが
あれば嬉しい限りである。

2/8/2025, 9:58:44 AM

誰も知らない秘密

私は薄暗い所が好きだ。
周りの声や嫌な人に近づかなくて済むからだ。
でも貴方は、貴方だけは私を認めてくれた。
こちらをみて微笑んでくれた。
家も2階で同じマンション、壁に近づけば貴方の
楽しそうな笑い声が聞こえてきて嬉しくなる。
私はもっと見て欲しくてちょっかいをかけるが
貴方は見てもくれないし私が嫌な物を部屋におく。

「はぁ、貴方を独り占めして閉じ込めたい」
と強く思うようになった。
そこで私はあの人が好きな物を届ける事にした。
ドキドキする。胸が高鳴る。
部屋全体がとても心地よい温度になる。
貴方が帰ってくる。
やっと帰ってきた、私は貴方に声かける。
でも貴方は恥ずかしいのか逃げるように部屋に行く。
私は部屋に入りあなたを探した。
空いていたはずの扉が閉まってる。
「ふふっ、ここにいたのね、見つけた」
扉を開け貴方を包み込む。
貴方は慌てたように私から離れようとするけど
昨日右足首に巻いていたお守りの糸があるから大丈夫!
ずっと一緒に過ごしましょ。 私と、、、

あれ?あいつの携帯かからない
どうしたんだろ?
昨日から家に帰ったっきり行方不明だ。
最近この辺で良からぬものをみかけたと何人もが証言しているし実際に目撃している人もいるが大丈夫だろうか?
嫌な予感する。
おーーい、いるか
俺はドアノブに手をかける。
「ガチャ」空いていた。

俺は部屋に入り目を見開いた。
そこにはあいつの携帯電話だけが置いてあった。

2/6/2025, 11:17:17 AM

静かな夜明け

人にはそれぞれ表面と裏面があると個人的に思ってる。
少なくとも私にはふたつの顔がある。
昼間に見せる顔と夜明けに魅せる顔。
親しい友達や恋人にすら内緒にしてる顔だ。

夜明けの顔はいつも出てくるわけじゃなくある条件が
重なった時に出る。
それは自分の心が雲がかった時だ。
積雲から層雲に変わるように突然に。
その時の自分はとても好きだ。別人に変わる感覚があり心地よい。
今日の天気は夜明けが綺麗だろうな、、
私は電気を消し、夜更けの光を取り入れる。
胸の高さまである髪をほどき、服装はパールがまぶしてある中華服に身を包む。
スマホで音を再生する。
目を閉じ、深く深呼吸をして素足で舞う。
途中で涙が頬を伝いながらも儚く、淡く舞う。
窓から差し込む光がとても暖かく優しく見守る。
1時間、2時間 どれほど経ったか分からない。
ただ確かな事が1つある。
それは心が晴れ清々しい気分だということだ。
窓の外をふと見る。 丁度夜明けだ。

静かだが、とても心が揺さぶられる夜明けだ。

私は今日も何食わぬ顔して日常を生きる。
秘めた幾つもの顔を抱えながら。


2/5/2025, 10:38:57 PM

heart to heart

今日は英語か、toの意味は複数あるのでお題にあった訳し方で書こうと思う。

toの意味をGoogleで調べてみると「〜のために」と記されていた。

heartは心 toは〜のために 心のために、、、

心がつく漢字は愛国心、愛心、愛着、悪心、遊び心などがある。

自分の国を愛する愛国心
子供や大切な相手に湧く 愛心
意中の相手に思いを馳せる 愛着
自分の知恵である考え方を賢く使う 悪心
子供のように幼き心を思い出す 遊び心

そして私がこの題名をみて調べた上での解釈は
自分の心と相手の心と訳す。
人との繋がりとも解釈できる。
学校、会社に関わらず国をも超えて今は繋がることが
出来る。
便利な世の中である。
人と人が出会い情に変化が起きて初めて同じ景色を見ることが出来る。
情とは違う自分を優しく包み込むために使う「to」
使い方は人それぞれだがどれも味のある使い方が出来そうだ。
疲れた時は心が喜ぶことをする。
食べる、遊ぶ、話す、子供のように、、
無邪気になる事も時には必要。
大人という肩書きもあくまで世間体から見て自分を演じるための道具に過ぎない。
まずは自分の心の為に出来ることを一番に考えこれから出逢う先々で相手の心を生き方や言葉で揺さぶれる人になりたいと心から思う。

2/4/2025, 2:11:19 PM

永遠の花束

俺はもうすぐこのクラスの担任を辞める。
辞めるというか正式には生徒たちが卒業するまでの間
教師としての仕事を全うするといった方が正しいだろうか。
俺が担任として生徒達になにかしてあげられる事といえば1日1日を生徒達といつも通りの学校生活を過ごし教師として生徒たちの成長を見届けてあげることしか出来ることはないのだと。


新任
初めてこのクラスの担任を受け持った時のことはよく覚えている。うちの高校は全学年を通して3年間クラス替えがなく、担任も変わる事が無い。
校長の新たな試みだ。正直新任でこの高校に入った俺にとってはとてもありがたい制度だった。
更に俺はここの卒業生だった事もあり校舎のことはよく知っている。
どんな生徒達に会えるか胸を踊らせながら扉の前で深く深呼吸をし手をかけた。


縁の巡り
生徒たちは全校集会が終わるとゾロゾロと教室に帰っていきおもむろに話し出す。
そこへ生徒達の声よりも一際大声で呼びかける1人の先生の姿があった。
そう、その先生こそ学生時代にお世話になり、先生を目指すきっかけになった人だ。
「静かに!今からクラスの担任をお呼びします。」
「3年間を一緒に過ごすので粗相がないように」
「では、お願いします。」
その声に俺は今更ながら緊張してきた。
「落ち着け、俺」
そう言い聞かせドアを開ける。
「ガラガラガラ」
とたんに教室がシーンとなり俺の動く音のみ響く。
「コツコツコツ」
口から心臓が飛び出そうになるのを必死で抑える。
教壇の前に立ち恐る恐る顔を上げると色んな生徒達の
顔が見えた。
俺は1人1人生徒たちの顔をしっかり見ながら
「今日から3年間お世話になる〇〇です。新任で不慣れな部分はありますが宜しくお願いします。」と自己紹介をした。

新たに始まる教師生活。不安はあるがそれと同時に少しだけ楽しみでもあった。


経験
それから俺は目まぐるしい教師生活を送っていた。
朝のHRから始まり、授業、クラス運営、生活指導、
進路指導、部活動指導などなど寝る暇も惜しいくらいだ
学生の時には知らなかった事実だが他の先生達をみると生徒たちとの時間もしっかり確保出来ているようで俺はレベルの違いを感じながら尊敬の眼差しで見ていた。


卒業
明日で卒業か、俺は職員室に座り最後の資料に取り掛かっていた。
卒業証書だ。 他の先生達は業者に頼むというが俺はどうしても生徒達に伝えたい事があり手書きで取り組むと決めていた。
最初生徒たちの俺への印象は良くなかった。
授業を教えるが説明が伝わらずほぼプリントの問題を
解かせた授業が多かった。
また生活指導で初めて知ったが髪の毛が元から茶色系の子がいるのを知らず怒鳴り、反省文を書かせた事もあった。
今では生徒達に良い距離感で話せてはいるし、授業も分かりやすいと言ってくれる生徒まで居るほどになった。
それだけではなく生徒達に自分自身が気づきをもらえたり成長させられた部分が数多くあった。

卒業式当日
俺は朝早く起き職場で最後の仕上げに取り掛かっていた。ふと窓の外を見ると生徒たちが登校してきていた。
「あっ、もうこんな時間か、、」
生徒たちにとって今日は最後の登校日。
いつもの通学路、友達とのたわいもない会話。
何気ない日常が一瞬にして終わりを実感する瞬間は俺にとっても心にくるものがある。

永遠の花束
卒業式が終わり生徒たちと教室に戻る。
「席に着け〜最後のHR始めるぞ」
俺が生徒たちに呼びかける。
既に泣きそうな顔をする生徒達の顔を見ながら俺は教師としての仕事をこなす。
「卒業証書を配る」
「呼ばれたものは前に来るように」
俺は一人一人生徒の顔を心に刻みながら丁寧に名前を
呼ぶ。
「〇〇〇、〇〇〇」
「はい!」
最後の生徒に卒業証書が渡る。
「卒業証書 〇〇〇、〇〇〇 以下同文 卒業おめでとう!」
読んでる最中に手が震える。
あぁ、、これで俺の役目は終わりか。
とても濃い3年間だった。
俺は最後に生徒たちに向けて用意していた言葉を発する直後ある一人の生徒が口を開いた。
「先生、私達から渡したい物があるんです。」
そう言うと生徒たちは机の横にある白い紙袋から一人一人1輪の花を取り出しその子の元に集まっていく。

やがて大きな花束になり俺の共へとやってくる。

まさか、、、

「先生、3年間ありがとうございました。」
そう言うと生徒全員が「ありがとうございました」
と俺に向かって頭を下げる。
その光景に込み上げてきた熱いものが溢れる。

生徒達から俺は最後で最後の永遠である花束を受け取り生徒一人一人の顔をしっかりと見る。
その顔には以前の幼さはなく決意に満ち溢れて成長した大人の顔だった。

俺は最後に生徒たちに向けてメッセージを送る

「卒業おめでとう」

春の風がやさしく教室をつつむ、卒業生を祝福するかのように、、、

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