時雨

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10/20/2025, 9:39:33 AM

君が紡ぐ歌

余談
ここでは「君」が主人公になりその人の視点で書くことが出来る小説や詩だが、世の中には色んな紡ぐが存在しているのをご存知だろうか。
幾つか候補をあげてみよう。人生を紡ぐ、言葉を紡ぐ、物語を紡ぐ、日常を紡ぐ、幸せを紡ぐ、人と人を紡ぐ、など比喩的な表現が多いが文章に表すと何となく分かるのもあるのではないだろうか。
ましては人生や物語などの比喩的な言葉は想像力を持ってしても生きてる年月が少ないものには分かりえないことも多くある。
だが日常や幸せ、対面などの比喩的な紡ぐはスグ身近にあるものだが深く考える事が殆どないのも事実である。

ここでは題名について私なりの考えを小説として書いていこうと思う。

考察
君が紡ぐとは貴方が創りだした物語、人生を見守っている視点の事ではなかろうか。
幸せや願いも含まれる一方で期待や不安も大きく親の視点と親友、愛する人の視点では大きく異なる部分も大きいと考える。
更にいちばん重要なのが「歌」の部分である。
親視点で考えてみよう。 親にとって1番心に残る歌は人気歌手が歌うものや自分が好きな歌ではなく、親の誕生日や自分が卒業式の日にサプライズで親の為に一生懸命自作して作った我が子の愛のこもった歌ではなかろうか。
日々の忙しい中でも最高の笑顔をくれる宝物であり常に傍にいてその子が紡ぐ糸を支えてきた親にとっては命と同じくらい大事な物である。
次に親友、愛する人の視点で考えてみよう。
親よりは遠い存在であるが、悩んでいた時の心の支えになり人生の彩りを与えてくれる大切な存在であることは間違いないだろう。画面越しではなく対面で日常を一緒に紡いでいくなかで思い出として残る歌や苦い経験として残る歌などはやがて自分よりも大切な命が宿る頃に思い出として紡がれていく。


真理
君が見た相手は一見他人の様にみえるかもしれない。
だが、関わる回数が増えると発見や気づきが多くあり成長を促す存在や将来を誓い合う仲になる事も多くある。
そんな時に親から受け継いだ考えや世間に対する偏見の目を相手に向けるのではなく自分が歩んだ紡ぐ歌を聞き硬く結んだ糸を解ける様な人になって欲しいと願う。
また、人と人を紡ぐ歌は巡り巡って自分の幸せを願う応援歌になることも忘れないでいたいものである。

それでは我が愛しの猫が散らかした糸を紡ぐのでこれで失礼する。



番外編
「やれやれまた散らかして、、」

「君は解くのは得意だが紡ぐやり方を教えてやらなけれ ばならないな、、、」

「ん?なんで君はそこにいるのかな?」
「まさか、爪が引っかかって君ごと毛玉になるなんて
困った子だな、、」

「ほら、大人しくして、、」

「でも君をあの雨の日助けたお陰で僕の物語はまた新しい糸で紡がれていく気がするよ。ありがとう。」

そう言うと君は嬉しそうに「にゃー」とないた。


[完]




9/7/2025, 7:07:29 AM

誰もいない教室
〜プロローグ〜
「ガラガラガラ」扉を開け夕焼けに染まった教室を見渡す。
このクラスとももうお別れか、、、


役割
「先生さようなら〜」
「おー、気をつけて帰るんだよ。」
俺の名前は新木 優希。春からこのクラスの担任になった
教師歴は6年程なのもあり生徒達からは優先生と呼ばれ、親しげに話しかけてくる子も増えてはきた。
だが、俺は正直子供が苦手だ。教えるのは昔から両親が教師なのもあり他の人よりかは優れているのが評価されたらしい。

教科はと言うと社会を教えている。
地理、産業、世界の歴史など1.2年の時とは内容が複雑になり覚える事も多くなる。
それ故に莫大な内容の中からピックアップをしながら生徒達の理解を促す工夫をする授業は神経が日に日にすり減らされていくのが現状だ。

だが辛いことばかりでは無い。例えば俺の授業でクラス全体のテストの平均点数が上がるのは年数を重ねていくほど嬉しいものだ。


記憶
光が窓から優しく包み込む教室。
黒板には卒業と書かれた文字に生徒達が楽しげに書いたそれぞれの想いを綴った文字や絵が繊細にでも色鮮やかに載っている。

今まで卒業自体は数回経験してきたが今年は違う。
俺自身、次のステップに進むために中学の教員免許を習得したのだ。
場所は、県外にある中学の教師をする事が、このクラスを受け持った後に決まった。
無論、生徒達からは応援の言葉はもらったが、内心この場所で多くを学んできた身からすると複雑な心境だ。

一人一人の机を触り物思いに老けていると
「おや、優先生?珍しいですね。」
声が聞こえる方に振り向くと
「小山校長、、、」
俺が新人の時によくお世話になったお爺ちゃん先生だ。
小山校長は俺の方にゆっくりと近づきながら話を続ける。
「いつもの君ならこの時間帯はとっくの昔に帰ってるはずだろう。」
俺はあはは、、とぎこちなく笑いながら話を続ける。
「卒業を何回も経験してきたからこそ今回のクラスには考え深いものがあります。
この6年間、私は教師という立場を上手くをできていたのでしょうか。」
すると校長は「君は悪い意味でも真面目だったからのぉ〜」「だが、それこそが生徒達の心を強く掴みここまで続けてこれたと言っても過言ではなかろうかい。」と微笑みながら俺の方を向いた。

俺は「確かにそうなのかも知れませんね。」と呟き誰もいない教室を後にした。



〜エピローグ〜
「やっべ、、遅れる」
時刻は約束の時間まで後30分を切っていた。
俺はベッドから飛び起き新品のスーツに袖を通す。
今日は教え子の結婚式だ。
あの学校を退職して20年が過ぎた頃に突然連絡があり今では飲みに行く中にまでになった。
偶然が重なったのか、神様のいたずらなのかはさておきバタバタと身支度を済ます。
タクシーに乗り式場に着くと開始時刻まで残り数分だった。「はぁ、、間に合った。」
俺は息を切らして席に着く。すると昔の教え子も何人かいるみたいで会話を楽しんでいる様子がみえた。

昔はやんちゃしてた子達もやはり大人になると見違える程逞しく、綺麗に成長しているのを目の当たりにし既に目頭が熱くなる。

「いかん、いかん、年を取ると涙腺が熱くなる。」
俺は心に言い聞かせる。

司会の人が「それではお待たせしました。新郎の入場です。拍手でお迎えください。」

その合図で奥の扉が開き、初々しいかった頃の面影はなく自信に満ち溢れた教え子の姿がみえる。

俺は手が赤くなるほどの拍手を送り、ハンカチをびちょ濡れになるまで泣いたのを式終わりの数日後に届いたビデオ内で見つけた。

fin








8/6/2025, 11:55:35 PM

またね

またねと声に出ずとも笑顔でこちらを向いて手を振るきみは誰よりも輝いていた。


日常
ほらーー、早くしなさい!遅れるわよ。今日は大事な日でしょ。そう呼びかける君の声を聞き目を覚ます。

洗面台に行き顔を洗う。歯を磨く。髪の寝癖を治す。
普段ならこれでいいだろうが今日は違う。
念入りに丁寧に自分の身なりを整え、クリーニングで洗いたてのスーツに身を包む。顔は平然を装っているが内心はザワザワして気が気では無い。

キッチンには君が忙しそうに朝食を作っているのを横目に食卓につく。普段は新聞を読むのが日課で好きな番組の時間をいつも確認しているのだが、今日は新聞の内容が頭に入らずめくる音だけが響く。
そうこうしている間に君が朝食を持ってきた。
「はーい、お待たせ。今日はなんだか気分が良くて張り切っちゃった。」
そういって出された朝食は食パン、スープ、サラダ、そして鮭である。 君もソワソワして落ち着かないのだろう。

そんな様子をみて私は口を開く。

「君も緊張しているのか?」
すると君は
「そうですね。 ふふっ。
だって今日はあの子の人生で一番輝く日ですもの。」


決意
ふぅーと息を吐き気持ちを落ち着かせ整える。
手を胸に当てると心臓の鼓動が聞こえる。
その瞬間が刻一刻と迫る。

今日までの道のり長かったな。
そう呟くと昨日の親父との晩酌を思い出す。

俺は正直親父が苦手だった。
幼い頃から無口な上に無愛想。更に何事も厳しく育てられたからかもしれない。

だがあの日だけは心が通じる瞬間が確かにあった。
それに、、、ボソッと呟いた親父の言葉。
「頑張れよ、、、」その一言が今の俺を認められた気がした。


成長
「只今より新郎の入場です。皆様盛大な拍手でお迎えください。」
扉が開き白いタキシードスーツに身を包み一回り大人の顔になった息子がそこにはいた。

堂々とバージンロードを歩くその姿にこれまでの思い出が蘇り一筋の涙が頬をつたう。


成長させられたのは私達の方かもしれない。



帰省
今度息子が帰ってくるのを妻から聞いた。
なんでも第3子が生まれるらしいからその報告にだそうだ。
「あの子ちゃんと上手くやってるかしらね〜」
妻はそんな事を言いつつ晩御飯を作りに台所に立つ。

私は「豪華も程々にだぞ。と心の中で伝えた。」
思わず口に出そうものなら俺の分は無しになるからな。

さて、今回はどのお酒にしようか。
あれから息子とはちょくちょくオンラインとやらの画面越しでお酒を交わすような仲にまでなった。
昔では想像できない。
まあ結婚を機に何かが吹っ切れたのかもしれんがな。

そうこうしていると玄関のチャイムがなり、幼い足音が4足聞こえてくる。

「おじぃーーーー。」
満面の笑顔でわしの胸に飛び込んでくる宝物だ。
「おぉ〜よく来たな!」


妻は今日も騒がしくなるわとわしの顔を見る。
わしも妻の顔を見てそれも悪くないなと笑う。

fin















6/11/2025, 7:56:57 AM

美しい

この表現は人工的に造られたものでも奇跡が重なり生み出された自然の賜物でも用いられる。

使い方としては多種多様ではあるが一貫して言えるのは目の前の出来事に安堵や感情を揺さぶれる事に間違いはないだろうか。

それが例え醜く歪んだものであっても1部の人間又は生き物であっても表現の仕方を制限することはあってはならない。

ある小説で美しいと醜いは紙一重という言葉を見つけた事がある。
とても興味深いので読んでは見たが最終的な結論は人の感受性の問題とか何とか書いてあり何とも知らぬが仏状態になったのでここに書き記してみる。


美しいと鬱くしいの表現を正しく使いまた1歩輝きを放てるような生き方をしていきたいものである。

5/23/2025, 10:48:41 PM

そっと包み込んで
ふぁー、私は大あくびをかまし布団の上にいる飼い主にふと目を向ける。

昨日の徹夜でぐっすりなようだ、、、

私は愛しい飼い主の顔の上に肉球を乗せ身体を丸める。

うっ、、

ん?飼い主の声が少し苦しそうだがそれもじきに慣れるだろう。

なんたって私は飼い主の笑顔が大好きだからこそ癒しをあげたいのだ。

いつもありがとうね。

飼い主は苦しそうだが私の頭を撫でてくれた。

私はそれに応えるように「にゃー」となき眠りにつく。

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