時雨

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1/21/2026, 12:13:53 PM

特別な夜
肌にベタつく汗を拭いながら男は最後の仕上げに入る。
今まで積み重ねてきた想いを夜空に咲かせて。

3月〜6月 新作の開発に向けて男達は会議を開き各々の想いを白紙に書き出す。
この仕事は前々からの準備が必要不可欠であるのと同時に出来栄えが全てを決める。
形、色だけではなくパソコンでの演出とプログラム設定。更に、早朝からの準備と片付け以外にも不発玉の捜査と撤収など重労働と繊細さが命綱を握っているのも特徴だ。

余りの過酷さに現場を去る者が後を絶たない。
だが、俺は強い信念を持ってここ20年やってこれた。
それはある花火師との出会いが俺の人生全てを変えてくれたからだった。

俺は正直社不と呼ばれるほど中身が無い人間だった
勉強も、運動も
女には愛想つかされ、社会に出れば腫れ物扱い。
最初は真面目にやっていたがそれも意味をなさない扱いを長年受けていたせいか生活は薬に手を出すほど荒れ狂っていた。

そんな時、昔馴染みのある男に飲みに誘われた。
その男とはたまに連絡を取り合うくらいでそいつが結婚してからは会うことも無くなっていった。
久しぶりの連絡に俺は驚いたのと同時にそいつとの世間の差を思い出し留まってしまった。
「今更、何のうのうと連絡してきてんだよ、こいつ」
はぁ、、、、だりっ、、、、イライラしてきた。
俺は、自己嫌悪を忘れる為に近くに転がっていた酒に口をつけ一気に飲み干した。

今思えばキッカケを作ってくれた友人に感謝しかない。

「もうすぐ始まるね!」
「ね〜楽しみだね、今回は特別なものがあるって公式に書いてあったよ!!」
浴衣に身を包んだ女性達が楽しげに会話するのが聞こえた。

俺は「ふっ」と笑い星を詰めた筒に火をつける。

「ヒューーーー、ドン、ドン、パラッ」
夜空に添えるカラフルな赤、緑、黄色、青色。
「バーーーーン、、、、、、チリチリチリチリ」
色や形を変化させ人々の目に焼き付けていく光景は何時見ても地道な作業が報われる瞬間だ。

その景色は蒸し暑い季節に彩りを添え、
見上げる夜空に記憶を刻み、特別な空間を、夜を
提供する事ができる。

まさに夏の風物詩である。
男は仕事を終えると、にこやかな笑顔で缶ビールが入った袋を持ち思い出を一緒に作った仲間が待つ車に戻って行った。
「おーーーい、今日は宴だ。」
「酒を浴びるほど飲むぞーーーーー。」
「まーーた、いってらあいつ笑」
「酒よえーくせによーー笑」
「うるせぇ!!!慣れれば楽勝だ。」

男達の笑い声が夜空に響き渡っていった。

1/21/2026, 4:01:35 AM

海の底
地球は水の面積が約70%に対し陸地の面積は約40%程度に人が立ち暮らしている。
海の底もまた約95%が未解明の謎多き場所。
海に関して現代は昔に比べて解明された謎は増えたがそれにより新しい疑問も増えたと書籍には書き記されているのを目にした事がある。
未知とは魅惑的であり、探究心こそ人間としての活力を生み出すものだと言える。

だが、海底の水を触るには特殊な環境下を経験した人のみ保護スーツを着用した上で安全にが絶対条件だと専門家は言う。
専門家の意見を聞かず手を出すと、低体温は避けられず更には低温火傷といった傷を負うこと、死に至ることを覚悟しなければならない。
君にその覚悟がなければ清く身を引く事をオススメする

だが、好奇心が強い人はせめてもの感覚だけでも味わいたいだろう。
かくにも私も海について詳しく知りたい時期があった。
海の謎に関する手頃な動画をYouTubeから引っ張り出し時間がある時によく見漁ってたものだ。
だが、知識もない状態で素人が動画を見たところでかえって疑問が増えるだけだと思い、特殊な方法ではあるが、図書館で関連の本をみながら動画を聞く事にした。
すると解説動画と同じく自分なりに理解しながらみれて面白いと感じる。

でも海の底にしかいない生き物をマジかで見れる場所があるのはご存知かな?
その場所はとても静かで落ち着く空間だ。
また、海の生物がのびのびと暮らしいているだけでなく実際に愛情を持って世話をしている人が沢山居ると聞く。 その人達に話を聞いてみるのも一つの手かもしれないと私は思う。
だが、決っしてポケットに料理本や捕食する為の道具を持ってくる事は無いようにだけ念を押しとこう。

最後に人間にとって良い情報がある。
それは、海底の音を聞くと高いリラックス効果とストレス軽減効果が科学的にも証明されていると聞く。

人間、誰しも顔が曇る瞬間や疲れが取れないなど体の不調が続く場合も現代は少なくない。
視覚で青い海をみて波の穏やかさに心を踊らせる。
聴覚で海のさざなみや砂の音を聴く。
嗅覚で海水の匂いを感じ自然の大きさを実感する。
味覚で魚達の生命を頂き改めて感謝する。
触覚で海の冷たさや魚の装飾を確かめる

人間の五感を癒す事も時として現代を生きる大事な役割だと私は思う。





1/19/2026, 2:13:48 PM

君に会いたくて
春の暖かな風が君への想いを昂らせる。
今日は年に1度の平日だけど特別な日。
念入りに準備してきた甘いお菓子を白い線の入った包み箱に入れフリルのリボンで蓋をする。

階段を上がると柔らかな夕日が差し込む教室に辿り着く。そこには同じ制服姿の君が扉の向こう側に居る。
心臓の音が君に聞こえそうで足がすくむ。

一度呼吸と身だしなみを整え、扉に手をかける。
でも、その先の不安が私を呼び止める。
渡したら迷惑かな?可笑しいって思われたくないな。
緊張して話せなくなったらどうしよう。
友達に助けを求める為に電話をかけるが何故か繋がらない。こういう時に憎いという感情が湧くことを知りながら目の前の事実に向き合う。

「今日を逃したら後悔する。」

その先輩と出会ったのが、私が、元々編入する前に寂しさを紛らわす為に通っていた書道教室に居た優しくて話の面白い先生だったのだった。

私は、幼い頃から転勤が多い両親の間に育っていたのもあり転入や編入が当たり前になっていた。
友達付き合いも最初は引かれるほど泣いて両親を困らせてはいたが、今では浅い付き合いしか出来ないと学び、クラスメイトよりも外部の交流やSNS等々で出会う人達とのやり取りが日常茶飯事になっていた程だ。

正直書道は暇つぶしに始めた為に飽きたら辞めようと思いつつ気づけば5年ほど経っており、飽き性だった私が一学年しか変わらない先輩がいたお陰でここまでこれたのは正に奇跡と呼ぶには事足りると自負している。

だからこそ通い続けていくうちに尊敬が淡い恋ごろに気付くのに時間が掛かったのかもしれない。
今思えば私が学校の人間関係について悩んでいると相談した時にやたら事細かに事情を聞いてきていて、次の日には学校の生徒会長とやらが急遽全校集会を開きたいって校長に直談判したって噂は聞いたが、、

まさかね、、、。


箱を見つめ、もう一度強く願いを込める。
ここまで来て逃げたくはない。先輩が私にしてくれたことを今度は私が先輩にしてあげたい。
これを恋と呼ぶなら今はそれでもいい。

意をけして扉を開ける。
するとそこには夕日に差し込まれた教室があるだけ。
「えっ、、、、、?」

先輩は私にとって特別で、初めて自分から行動する勇気を与えてくれた大切な人だって思えた。
だから欲が出てしまった。
その罰が当たったんだと思う。
私は神様から恋愛に向いていないと言われた気がした。

驚きのあまりへたり込む。
「やっぱりこんな私じゃダメだよね、、、」
感情が溢れ出し、箱を握りしめる。
「もう、、、、、、いいや、、、」
教室に背を向け走り出す。
何もかも嫌になった、、、。
先輩に少しでも期待した自分が恥ずかしくて、悔しくて
惨めで、愚かで、情けなかった。

不意に誰かとぶつかる。
「いった、、、、、、、、、、、。」
「あっ、、、ごめんなさい。」
私は我に返り慌てて謝った。

「ん?その声どこかで」
と私が思う前に相手が口を開く。
「何処に行ってたんだよ、、ずっと待ってたんだからな、、」と困惑した表情で私を見る先輩の姿だった。
「え?いや、教室で待っててくださいって伝えたんですけど、、いなくて、、、、帰ったのかなって」
私はボソボソと呟くように伝えた。
すると先輩はますます困惑した表情で「いや、、教室って言ったから書道教室かと思うじゃん、、、今度何か俺にある時は具体的に頼むぜ」
と笑いながら話して私の手に持っている物に目線を落とす。
それはそうと「それ誰にあげるんだ?まさかこの前言ってた好きなやつになのか?」
先輩は爽やかな笑顔で聞いてきたが、残念ながら鈍感すぎて今この状況であげるのは私が嫌なのて軽く促すことにした。
「そうです。でもその好きな人は気付かずにいるので私が食べようと思ってます。」
そう言いながらそっぽを向いて帰ろうとすると不意に先輩の手に呼び止められる。

「えっ、、ちょ、、、、離してください。」
思ってもいない行動に驚きのあまり声が大きくなる。
不意な行動に動揺が隠しきれない私に先輩が続けて
畳み掛けてくる。「もし良かったらなんだけど、そのチョコ俺にくれないか?君が誰かを想って作っている物にとても興味があるんだ」と
この人は何を言い出すんだと私は眉をひそめる。
確かに先輩に作ったものでもある。
だが、私なりの渡し方があるし今のまま渡すとかえってややこしい事になることは明白だった。
「いや、、、です。」
私は言葉に詰まりながら必死に答えを探す。

その言葉を聞いた先輩はとたんに大人しくなりポケットから何やら白いラインの入った黒い箱を取り出す。
「本当は別日に君に渡そうと思ったんだけど、今のタイミングで聞きたくなった」
そういうと私に黒い箱を差し出し中身を確認するように促す。
まさかの行動に私は固まり、箱を受け取れずにいると痺れを切らした先輩が箱を開けるのを手伝うように手を添えてきた。

箱を開けるとそこにはマーブル型のクッキーと白い紙切れが入っていた。

そこに書かれていたのは、、、、、

私は目を大きく見開き、先輩を見る。
先輩もまた顔の火照りを隠す様にそっぽを向きつつ
「𝙷𝚊𝚙𝚙𝚢 𝚅𝚊𝚕𝚎𝚗𝚝𝚒𝚗𝚎‬」と呟く。



優しい風が淡い2人を包み込む。
未だ見ぬ明日に希望を馳せながら。









1/18/2026, 11:28:38 AM

閉ざされた日記
何かに迷走した時は頭ではなく文字に書き表してみるといいと聞く。書くことで、曇っていた考え方がより鮮明に変わり自己理解に繋がるそうだ。
準備するものは極めてシンプルである。
大きな白紙と丈夫なペンのみ。

ここで私から日記を読んでいる貴方に一つお題を出そうと思う。
えっ?なんでするのかって?
それはお題を読み解くうちにわかる事だろう。
めんどくさい?そう言わずにやってみてくれたまえ。
お題はそうだな、、、。
「内に秘めた考え方」にしよう。


このお題を見て感じた事。経験したこと。情熱。冷静さ
等々、個々によってどう読み解くかが自分を助ける鍵となるだろう。
尚、この文章も明日には閉ざされた日記になるのでここに書き記しても良い。

私はと言うと、、
ふふっ、、、内緒だ。

書いた日記の紙は隣にいるヤギにでもあげといてほしい
きっと潤んだ目で催促しているはずだから。

1/16/2026, 1:26:21 PM

美しい
色彩がある風景を。曲線を操り描いた作品を。
人間が織り成し魅せる文化を。
表現方法の一つとして用いられる言葉である。

織物。
それは人の手で紡がれていく事で過程さえも美しく魅せてくれる作品である。まずは、一つ一つの網目を交差して編んでいく。縦の糸。横の糸。クシで形を整えまた編んでいく。編み続けていくうちに浮かび上がる模様や繊細な形は、今も尚人々の心を魅了させている。


景色。
春夏秋冬によって変わっていく鮮やかな色味を肉眼で見る事ができる。 効果として癒しを提供してくれるだけでなく自然の生き物である鳥の声や風のざわめき。
さらに光の温かさなどが人間を包み込み生命を感じさせてくれる。


芸術。
人の血と汗の結晶が真っ白なキャンパスに描かれていく
個性を解き放ち、その目で真実を確かめる。
自分に課せられた想いを背負いひたむきに挑む姿は尊敬と憧れを抱かせてくれる。


美しいという言葉は高い感受性と泥臭い人間味が合わさると見えてくるものである。

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