時雨

Open App

紅の記憶
人は善意を偽善として活用している時がある。
それは責任感が強い人間も同様だ。表上はスマートにこなす人程奥底にはフツフツと煮えたぎるような憎悪を常に抱えている。

人が道を踏みはずのは極めてとても簡単である。
まるでその場所や物事に誘われる様に興味本位て足を踏み入れたら最後、、、後は朽ちてくだけ。


偽善
「俺の人生こんなはずじゃなかった、、、」
「順風満帆な人生を歩む予定だった、、、」
俺は友人に勧められて薬に手を出しただけだ。
気づけば周りにはヤク中が集まり、右手には注射器。左には薬物。そして下には俺が薬物を貰えなかったが為に怒り狂い蹴り散らした冷たい身体の友人がいる。
男はビルの屋上に立ち呟く。
かつての栄光と言われた顔は悲惨な状況を嘲笑うかのよ様に歪んでいる。
不意に後ろから「動くな、、、」と馴染みの声がかかる
道を踏み外した時に、散々正義感を振りかざしてきた奴らだ。
俺は「ふっ」と失笑しそのまま両手を広げ空を仰いだ。
今日はいつもより月が綺麗に見えた。 満月だ、、
人々は俺がビルから落ちていく様子を怯えた目で見つめている。 その片隅には愛する妻の姿がある。
妻の顔は涙を流す訳ではなく淡々とした趣で見つめている。 まるで罪深さを強調する様に。
俺は一筋の涙を流し、、、そのまま紅の藻屑となった。



11/22/2025, 10:59:39 PM