n.n.

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3/17/2023, 1:38:26 AM

怖がり屋さんだね。


私は君を抱き締めて、
ぽんぽんとやさしく背中を撫でながら、
子どものように泣きじゃくる君をあやす。


君は、こわい夢を見たと言う。


私がいなくなってしまう世界。
私がいない世界。
誰に聞いても皆、私はいなくなったと言うんだと。


「大丈夫だよ。」「私はここにいる。」
「私は君を置いて何処にも行きはしない。」


私はただ君を強く抱き締めて、涙を拭い、
そう繰り返す事しか出来ない。



…こちらの世界の方が夢だなんて言ったら、
君はどうなってしまうのだろう。

絶対に言えない。



何故、この夢の中でだけ、
また君に会えるようになったのか。
せっかく一緒に居られるのに、
どうして君と笑い合うことが出来ないのか。



…君を置いて行った罰なのかな。



どうしようもない気持ちになり、
私まで泣きたくなってくる。



「ねぇ、泣かないでよ、--。
 私は君の笑った顔が好きなんだ。
 だから、君の笑顔が見たいんだ。」



涙を堪えて震える声で、
祈るように君に言葉を掛け続ける。



「…夢の中では一緒に居られなくても、
 私はずっと君のそばに居るから。
 ずっと、君のことを見ているから。だから。」



他の誰でもない、私の大切な君の毎日を。
幸せに生きて欲しいんだ。
私と、一緒に…。





・・・--そこで目が覚めて、私の現実に帰ってきた。




目元に滲んでいた涙を拭い、身体を起こす。



私は君を置いて行った時、
君は私の事を嫌いになると思った。
嫌われてしまえばいいんだと、思っていた。


なのに。


今の私は、何を恐れている?


いつか君に忘れられてしまうことを。

もう夢の中でも会えなくなってしまうかもしれないことを。


とてもこわいと、思っている。



…怖がりなのは、私の方かも知れないな。


まだ朝の日が登り切らない、
薄暗い部屋で一人、自嘲した。


3/15/2023, 11:35:30 PM

星が溢れる夜空。


星なんて、宇宙空間でいつも見ているはずなのに。
この星に降り立って見上げる空の、
何と美しいことか。


最近購入したばかりの、小旅行用の小さな2人用の宇宙船で淹れたコーヒーを片手に、川や森に囲まれた小高い崖の上に座って星空を眺めていた。

お昼に2人で釣りを楽しんだ湖の浅瀬で、君が足をつけてぱしゃぱしゃと水遊びをする音が聞こえる。


暖かくなって来た時期とはいえ、夜は冷える。
そろそろ水遊びはやめて、一緒に星を見ようと誘えば、君はこちらに来てくれるだろうか。

声を掛けようと振り向いて、驚いた。


白いワンピースを着て、楽しそうな笑顔でくるくると回りながら、湖の上でステップを踏む君。
舞い上がる雫は、湖に浮かぶ月の光に照らされて、さながら小さな星達が君と一緒に踊っているようで。

あまりに綺麗で、非現実的で。
少しの間ぼーっと眺めていると、こちらの視線に気付いたのか、目が合った。
…これは自惚れじゃないと思うんだけど。君は私だけに向ける特別な笑顔で、私の名前を呼んだ。


「どうしたの?一緒に遊びたくなった?」


「…うん、そうだね。一緒に遊ぼうか。」


一緒に星を見ようと誘うはずだったのに、つい絆されてしまった。

崖のすぐ後ろにある湖のほとりまで歩いていき、
ブーツと靴下を脱いで、ボトムスの裾を捲る。
浅瀬に足をつけてみると。
…そこまで冷たくはないけど、やはり薄着で長時間触れていると君には寒いんじゃないかな。
そばまで近づいて、自分が身につけていたストールを君の肩に掛けて。背中と膝裏に触れ、君をふわりと持ち上げた。君は驚いて、また私の名前を呼んで。


「…ふふっ。
 そろそろ足が冷たくなって来たんじゃない?」


今度は私が踊るから、どうすればいいか教えて?


君はきょとんとした後、嬉しそうに笑って。
その瞳が、きらめく星のように輝いて見えて。


私の心まで、きらきらと小さな星で満ちていくような気がして。


星と遊ぶように、心ゆくまで踊って過ごした。



星が溢れるこの場所で、君と一緒に。



3/14/2023, 1:50:36 PM

安らかな瞳、というと。


眠る前の少しの時間に見られる、
あなたの穏やかな瞳だろうか。


わたしたちには決まりがある。


ともに同じベッドへ入り、
寝る前には手を繋いで、目を合わせ、
おやすみを言い合う。

一瞬のことではあるが、特別で大事な時間だ。


一日の終わりには必ずあなたと目を合わせ、
言葉を交わす。


あなたの柔らかな声を聴いて、
その安らかな瞳を見ることで、
私の心は解きほぐれ。


また今日もよく眠れるような、そんな気がするのだ。

3/13/2023, 12:51:32 PM

ずっと隣で、一緒に生きていきたいなぁ。


あなたがそこにいるって、
なんて幸せなことなんだろう。


だって、あなたがいれば、それだけで毎日が楽しい。


そばにいれば、触れることができて。

擦り寄せた頬の柔らかい感触。

抱き締めた身体の質量。

あなたはここに居るんだと実感できる、幸せな感覚。


その姿を見ているだけでも、
愛おしさで心が柔らかくなるのに。


別々のことをしていても、時折感じる視線。

あなたが身だしなみを整えている音。

語りかけてくる、優しい声。

それに加えて、あなたが同じ家で
ともに生活をしている気配が、
至るところに散らばっていて。


…ああ、なんて幸せなんだろうな。


私の心は、間違えようもなくそう感じている。


これから先、ずっと隣で。

それが叶うだなんて。

夢の中よりも夢らしくて。


にわかには信じがたくて、
長く過ごさないうちにこの時間が壊れてしまうんじゃないかと、不安だったけれど。


ああ、私たち、家族になってきたんだなぁ。
この家が、今の私が帰ってくる、私の家なんだなぁ。


あれからそんな風に、
この日常を、日常であると感じられるくらい、
生きられている。



あなたと私、ずっと隣で。





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関係ない話になりますが、
母の話を読んでくださっていた方々にご報告です!

本日母の検査があり、結果が出ました。

結論から言うと、大丈夫でした。

母の話では、
癌や白血病のような重大な病気ではなく、
胃の中の一部が白くなっていて、
それは自然となるものだったらしく?

今のまま週3回のビタミンB12の注射を続けていけば良くなる、減っていたヘモグロビンも徐々に回復してきているとの事で、本当に良かったです。

安心しました。

1週間後くらいには退院できるはずなので、
様子を見て、元気そうであればまた帰って、
一緒に桜を観に行けたらと思っています。

韓国語の勉強も再開できそうで、嬉しいです。

一緒になって心配したり、
無事を願ったりしてくださっていた方が
いらっしゃいましたら、
本当にありがとうございました!

これからもここで書いていけたらと思っているので、
お付き合い頂ける方はよろしくお願いいたします。


(ちなみに今回のお題の文は、
推しのぬいぐるみへの気持ちと
推しそのものへの気持ちと実話が混じっているので、
フィクションとノンフィクションが半々です笑)

(もう、大好きなその対象を推しという単語で表すには、この一言では言い表せぬ気持ちに対して、
その言葉から感じる印象では些か軽過ぎて合わないのでは無いかと、
その人を自分にとって何であると表現すればこの気持ちに相応しく端的に言い表せるのかと、
考えあぐねてしまいつつも
推しと表記しています…\(^o^)/)

3/13/2023, 7:55:00 AM

もっと知りたいな。

あなたのことを。


私はあなたのことがこんなにも好きなのに、
よく考えてみれば、あなたについて知っていることは本当に少ないんだなと思った。


全然知らないあなたについて、
私が知っている僅かなことは。


猫を可愛いと思っていること。

コーヒーが好きなこと。


そして、人を助けることを、
当たり前だと思っていること。


当たり前どころか、自分がやるべきことだ、
とすら思っていそうだけれど。

そのくらい、あなたは真っ直ぐに、正しく、
陽の当たる明るい場所で生きている人だ。


私を助けてくれたあの雨の日だってそう。
傘を忘れた私が困っているのを見て、
何の躊躇も無く自分の傘を差し出してくれた。

突然差し出された傘に戸惑いながら
思わず受け取ると、あなたは微笑み、一つ頷いて、
声をかける間もなく手提げの鞄で雨を避けながら、
走り去って行ってしまった。


あれから私は、あなたに傘を返そうと、
あの日出会ったこの喫茶店へ、
雨が降るたびに足を運んでいるけれど。

あなたは私にとって、あまりにも眩し過ぎて、
影から見ていることしか出来ない。

あなたにとって他人である私が、
あなたが猫を可愛いと思っていることを知ったのも、
コーヒーが好きだということを知ったのも、
この店であなたがマスターと話しているのを
聞いたことがあったからだ。

そして、このカフェへ傘を返しに来るお客さんの、
なんと多いこと。
人助けを当たり前だと思っているということも、
そこから知ったこと。
その証拠に、あなたにとって私は、
大多数の人の中の一人でしか無いからでしょうね。

何度も顔を合わせているのに、
あなたは微笑んで会釈をするだけで、
きっと私があなたに傘を借りているということに
気付きもしていないもの。


ああ、いつか勇気が出たら、
ちゃんと向かい合って、お礼を言って。
少しだけでもお話しができたらと思っていたけれど。


いつまでも傘を借りているのも悪いよね。


意気地の無い自分を恨めしく思いながら、
もうすぐ姿を見せるであろう、
あなたがいつも座っている
窓際の隅っこのテーブルへ傘を置いた。

メッセージカードに感謝の言葉を添え、
マスターに一声掛けて、店を出る。


いつの間にか雨は上がり、空には虹が架かっていて、
晴れやかな気持ちで路地を歩いた。



・・・---

「あれ?マスター。いつもの子、居ないね?」

「いつもの子、とは、どの子のことかな?」

「…意地悪言わないでくれよ、マスター。
 わかってるだろ?ほら、あの子だよ…
 いつもここに座ってる、猫みたいに可愛い…。」

「ふむ。その子なら、先ほど出て行ったばかりだよ。
 ほら、そこに置き土産を残してね。
 …コーヒーは淹れておくから、
 冷めないうちに追いかけて来たらどうだい?」

「…!!ごめん、マスター。ありがとう!!」




あなたのことを、もっと知りたい。


…その願いが叶うまで、あと数秒。

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