星が溢れる夜空。
星なんて、宇宙空間でいつも見ているはずなのに。
この星に降り立って見上げる空の、
何と美しいことか。
最近購入したばかりの、小旅行用の小さな2人用の宇宙船で淹れたコーヒーを片手に、川や森に囲まれた小高い崖の上に座って星空を眺めていた。
お昼に2人で釣りを楽しんだ湖の浅瀬で、君が足をつけてぱしゃぱしゃと水遊びをする音が聞こえる。
暖かくなって来た時期とはいえ、夜は冷える。
そろそろ水遊びはやめて、一緒に星を見ようと誘えば、君はこちらに来てくれるだろうか。
声を掛けようと振り向いて、驚いた。
白いワンピースを着て、楽しそうな笑顔でくるくると回りながら、湖の上でステップを踏む君。
舞い上がる雫は、湖に浮かぶ月の光に照らされて、さながら小さな星達が君と一緒に踊っているようで。
あまりに綺麗で、非現実的で。
少しの間ぼーっと眺めていると、こちらの視線に気付いたのか、目が合った。
…これは自惚れじゃないと思うんだけど。君は私だけに向ける特別な笑顔で、私の名前を呼んだ。
「どうしたの?一緒に遊びたくなった?」
「…うん、そうだね。一緒に遊ぼうか。」
一緒に星を見ようと誘うはずだったのに、つい絆されてしまった。
崖のすぐ後ろにある湖のほとりまで歩いていき、
ブーツと靴下を脱いで、ボトムスの裾を捲る。
浅瀬に足をつけてみると。
…そこまで冷たくはないけど、やはり薄着で長時間触れていると君には寒いんじゃないかな。
そばまで近づいて、自分が身につけていたストールを君の肩に掛けて。背中と膝裏に触れ、君をふわりと持ち上げた。君は驚いて、また私の名前を呼んで。
「…ふふっ。
そろそろ足が冷たくなって来たんじゃない?」
今度は私が踊るから、どうすればいいか教えて?
君はきょとんとした後、嬉しそうに笑って。
その瞳が、きらめく星のように輝いて見えて。
私の心まで、きらきらと小さな星で満ちていくような気がして。
星と遊ぶように、心ゆくまで踊って過ごした。
星が溢れるこの場所で、君と一緒に。
3/15/2023, 11:35:30 PM