「あなたはどのルートを行きますか?」
ポッーンと目の前に看板が現れた。
分かたれた道にはどちらにも何かを指し示すものは何もなかった。
例えば「こちらは茨です」
例えば「こちらはバラ色です」
例えば「とくに何の代わり映えしない平々凡々です」
みたいな。
ただそこには分かれ道が存在しているだけだった。
胡座をかいて考え込む。
ウンウンと唸ってみる。
悩んでみる。
とまぁ、そんな素振りをしてみても、答えは最初から決まってる。
人生を左右するとか重要なとかそんな事は誰に言われなくても重々承知している。
これはすべて自分の選択で覚悟だ。
平々凡々でも
茨のでも
バラ色のでも
その全ての道において共に歩むのはアイツしかいない。
アイツの手を取らないという選択肢はない。
分かれ道だと思ってたいた道は
最初から道は一つしかなかった
待ち受けるルートで何が起きても
アイツが側にいれば
それだけでいい
2023.6.9/岐路
世界の終わりは突然告げられて
いつの間にかカウントダウンが始まってたらしい。
隣に立つ君を見上げる。
「滅びの呪文、誰か唱えたのかな」
なんて言えば
「アレか?オレらも言おうぜ!」
て、適当な石を一緒に握って呪文唱えた。
クスクスという小さな2つの笑いはアハハと大きくなったと。
パラパラと崩壊していく世界はどこか現実味がなく、儚くて美しいと感じた。
「世界なんて滅びてしまえばいいって思ってたんだ」
そう言ったボクの目からポロリと雫が落ちた。
少し、いやかなり強引なキミと出会って、世界はあっという間に色づいて。
何もなかった灰色の世界は鮮やかに彩られた。
だから。
告げられた終わりのくる世界が恨めしくて。
訳も分からない悔しさが込み上げる。
キミのいる世界が愛しくて。
キミといる世界が愛しくて。
もっとこの美しい世界をキミといたかった。
キミと過ごしたかった。
「回復魔法とか再生魔法とか言っとこ!」
なんてポーズ取りながら叫んで。
泣き笑いになった。
背後から抱きしめられて、肩口に頭が埋められた。頬に柔らかな髪の毛が触れて擽ったくて。少し振り向けば、優しいキスが降ってきた。
「世界の終わりにオマエといれて嬉しいよ。もう誰にも邪魔されない。世界が終わってもーーー」
ーーーー『ずっと一緒だ』
2023.6.8/世界の終わりに君と
ちょっと水こぼしで「サイアク〜」
醤油が飛んで染付ついて「サイアク〜」
なんて日々の中で数ある小さな最悪な出来事は
今日も今日とで起きるものである。
ポチポチ ポチポチ
画面をタップしてフリックして文字を入力していく
行き当たりばったりの文字の羅列
好き勝手に薄ーい想像力を掻き立てて語彙力皆無の文を打ち込んでいて
なんかだんだんその入力方法に面倒くさくなってきたら
bluetoothでキーボード繋げてサクサクいきますか〜
なんて呑気に思って徐ろにキーボードを【on】にする
一瞬で切り替わって、さぁ続き続き!
って画面見て絶句。
お題の下は真っ白け。
マジかぁ~
たった数行だったけどさぁ、
そんな大した文でもなかったけどさぁ、
『さぁ!どうぞ!お書きください!』
なんて言葉聞こえては来ないけどね
うん、さっきまで書いたモノ、行き当たりばったりであんま覚えてないのよ。
バックアップ?なにそれ状態。
同じ文、書けないのよね、うん。
スクショしとけば良かったのよ、うん、今更ながら思いまふ。ちょっと反省。
うん、あーでもほんと最悪。
サ·イ·ア·ク。
無に帰してしまった画面上の文字の羅列たちよりも
記憶力悪すぎる自分が最悪。
だから今日は途中でキーボード繋げずに最後まで入力して、速攻で【OK】を押すことにする
「消える」「消してしまう」という最悪は回避できるかな
2023.6.7/最悪
他の誰かに言えない想いを抱えた私達は
同士で戦友のようだった。
君の目に映るのは私の大嫌いなアイツで。
私の目に映るのは君の大嫌いなあの子で。
別にお互いの想いを吐露しあったことなんてない
『目は口ほどに物を言う』ていう言葉があるように
それは本当だと君を見て思う。
多分、君の目にも私はそう映っていたかも知れない。
目の前で繰り広げられる
目にしたくもない恋愛模様に辟易していた。
目を逸らすようにそっぽを向いて
空を見つめ小さく息を吐いてきた、何度も。何度も。
きっと君も同じだったと思う。
時々、その肩が寂しそうだったことを覚えてる。
今までずっと手放すことが出来なかった想いも
今日をもって空に還すよ。
すべてがキラキラ輝いていた。
あの子と過ごす時間が。
辛くて苦しくっても。
幸せだった。
あの子を幸せにするのは私の大っ嫌いなアイツしかいないって嫌でも知ってるから。
君も辛くて苦しかった?
でもきっと幸せだったときもあるでしょ?
ちらりと見えたアイツから受け取ったブートニア。
アイツからの感謝の気持ちだったかも知れない。次はお前な、的なものだったかも知れないけれど、同士のような私から見れば、最後の引導を渡されたようなものだ。
きっと、私の受け取ったブーケと君の受け取ったブートニアの行き先はきっといっしょ。
でも吹っ切れたように見えたのか気のせいかな。
ありがとう。
同士と思える君がいたから、私はあの娘の知る私でいられたよ。
ありがとう。
私のあの子への想いに気づかぬふりをしてくれて。
いつかのあの日のよう空を見つめて息を吐く。
誰にも言えない秘密(想い)に、さようなら。
2023.6.6/誰にも言えない秘密
静かに押入れの襖を内から閉める
光が徐々に閉ざされて行って闇に塗れる
全然窮屈じゃないよ
息苦しさなんて感じないし
むしろボクには丁度いい感じ
目を閉じるとね
すべての感覚が失われていけるような感じになるんだ
投げ出すほど広くはないけど
四肢を投げだして脱力する
ボクは閉所恐怖症でも暗所恐怖症でもないから
押し入れは全然平気
時々生きてることに苦しくなって
どうしようもなくなって
急に立ち止まりたくなる
外の色んなことから逃げたくなって
別に実際に逃げられるわけじゃないけど
遮断したくて籠もるんだ
光の差し込まない押入れという空間で
心を落ち着ける
投げ出して、小さく蹲ってを繰り返す
苦しくなったときのルーティン
ボクを『0』にしてくれる押入れという狭い部屋
2023.6.5/狭い部屋