hama

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他の誰かに言えない想いを抱えた私達は
同士で戦友のようだった。

君の目に映るのは私の大嫌いなアイツで。
私の目に映るのは君の大嫌いなあの子で。

別にお互いの想いを吐露しあったことなんてない
『目は口ほどに物を言う』ていう言葉があるように
それは本当だと君を見て思う。
多分、君の目にも私はそう映っていたかも知れない。

目の前で繰り広げられる
目にしたくもない恋愛模様に辟易していた。

目を逸らすようにそっぽを向いて
空を見つめ小さく息を吐いてきた、何度も。何度も。
きっと君も同じだったと思う。
時々、その肩が寂しそうだったことを覚えてる。


今までずっと手放すことが出来なかった想いも
今日をもって空に還すよ。

すべてがキラキラ輝いていた。
あの子と過ごす時間が。
辛くて苦しくっても。
幸せだった。

あの子を幸せにするのは私の大っ嫌いなアイツしかいないって嫌でも知ってるから。

君も辛くて苦しかった?
でもきっと幸せだったときもあるでしょ?

ちらりと見えたアイツから受け取ったブートニア。
アイツからの感謝の気持ちだったかも知れない。次はお前な、的なものだったかも知れないけれど、同士のような私から見れば、最後の引導を渡されたようなものだ。
きっと、私の受け取ったブーケと君の受け取ったブートニアの行き先はきっといっしょ。
でも吹っ切れたように見えたのか気のせいかな。

ありがとう。
同士と思える君がいたから、私はあの娘の知る私でいられたよ。
ありがとう。
私のあの子への想いに気づかぬふりをしてくれて。

いつかのあの日のよう空を見つめて息を吐く。
誰にも言えない秘密(想い)に、さようなら。



2023.6.6/誰にも言えない秘密

6/6/2023, 3:35:59 AM