濃紺の帳が降りてポツポツと淡い灯りが遠くに見えた
その光はきっと優しく全てのモノを包みこみ
温めてくれるのだろう
灯りは小さくても心を安らげてくれることを知っている
淡い光
きらめく光
あらゆる光があの街を灯しながら包みこんでいく
やがて来る暗闇から守るように
眼前に広がる淡い優しげな光に包まれゆく街に
自分の居場所はなく
足元は暗く何も見えなくて
振り返れば漆黒の闇がひっそりと後ろにつけていた
灯りに向かって歩を進めたい衝動に駆られる
しかし足は動かなかった
まるで足枷がこの両足にはめられているかのように
優しいヒカリの浮かぶ街は
まるで透明な柔らかな膜に覆われているように
それでいて硬い強固な壁で阻むように
拒絶する
何者でもない自分を
伸ばした手の先に掴むことの出来ない何かを隠すように
もう二度と戻れないと踵を返し
背後に広がっている闇に向かう
さっきまで重かった足が嘘のように軽く動いて
歩みは止まらない
バイバイ
サヨナラ
俺を産んだ街
バイバイ
サヨナラ
俺を殺した街
2024.6.12/街/
病んでる風を出したかったのだけれど、お題「街」から離れてしまった感じになっちゃいました
オチル…らしい
意志を持ってはいけなかったらしい
生まれた瞬間には全てが決まっていて
レールの上を歩かされる
それは禁忌だった
知らなかった
誰も教えてくれなかった
なぜならそれはこの命が芽生えた瞬間に結ばれた契約で、この身に繋がれた鎖
〘人間に恋をしてはいけない〙
ただ健気に生きている慎ましやかな命の輝きが美しくて
そばに在りたいと願った
迷いがあれば正しい道へ導くのが僕たちに科せられた仕事だけれど
言葉に応えたくて
その身体に触れたくて
身を焦がす
それは恋だった
それは愛だった
決して抱いてはならない想いだった
求めあってはならなかった
罪だと知ったけれど
止めることは出来なかった
罰が下される
ここから堕ちるのだ
罪を犯した者や意に沿わない者が落とされる世界へ
白い翼が黒くなったとしても
愛しい人への想いを無いものするくらいなら
堕ちていい
本望だ
僕の瞳は君しか映さない
君のそばで甘く囁やこう
うっとりするような甘やかな声で
君の身体に浸透していくように
あの世界では許されなかった事も今は出来るから
優しくその手をとって
甘く甘く、君の肌に触れよう
君の口から漏れる甘やかな吐息も
全部全部僕のモノ
堕とされてようやく手に入れられた愛
一緒に堕ちていこう…どこまでも…
ここでは誰も僕らを責めないから…
2023.6.19/落下
帰り道の途中、人気のない公園の雨に濡れたベンチに腰を下ろす。
重苦しい空を見上げながら目を閉じて雨に打たれた。
雫が頬を伝って落ちていく。
暫くそうして濡れて、項垂れて開いた視界の先。足元には小さな可愛らしい白い花が何輪か咲いていた。
ベンチは雨避けになってはくれなかったらしい。僕と同じように濡れていた。
なんとなく手にとって、『スキ』『キライ』と雨に打たれながら白い花の花びらを一枚一枚取っていく。
最後に残る一枚に手をかけて取ることをやめる。
最後の一枚を取ればそれは予定調和と希望的観測。
それに気づいたのはいつだったか。
そんなはずないと分かっているのに、可憐な花を手折って占って、一喜一憂して、現実で失望と絶望を突きつけられる。
『好きだよ』
『オレもスキスキッ』
振り向きざまに満面の笑みで返されたその言葉に、僕の欲しい意味は含まれていない。
どこまで行っても平行線で、交わることはないと知っている。
ポトリ、と一枚残った白い花を手から離せば、足元に出来た水たまりに落ちる。小さな波紋が起きて、その周りには散り散りなった花びらたち。
もうひとつ手折って、また繰り返す。
『スキ』から始めて、今度は残さずすべての花びらを取って、『スキ』で終わる。
これは希望的観測ではない僕の想い。
花占いの犠牲になった小さな花たちの残骸は足元の水たまりに揺らめく。
『好き』になって…ゴメン
『嫌い』になれなくて…ゴメン
2023.6.13/好き嫌い
やりたいこと、したいこと
たくさんあって、でもどれも中途半端
新品同様のプラモに
未開封のプラバン
ペーパークラフトやレジンの材料
刺繍糸にビーズ
某人形のための色々な生地やムック本に材料買って
例えばイラスト描きたいなってなって
下手くそだけど周辺のちょっとしたもの買って
ちょこちょこって描いてみて
例えば小説書きたいなって思って
色々なアプリ入れてみて
ワイヤレスのキーボード購入して眠らせて
全部、宝の持ち腐れ状態
多分そういうのもっとある
あ、でも今キーボード使えてる
これ打ってるし
時々制御出来なくて『あ』しか打ってないのに『あああああ』ってなって実際に「あああああっ」って声に出しちゃう
うん、小説には程遠いけどやりたいことひとつは出来てるかな
続けたい
続けるの苦手だけど
あぁ髪、切りたい
2023.6.11/やりたいこと
沈まない太陽があるとしても
西からは太陽が昇ることはない
自然の摂理に則れば
己の存在はそれに反するものでしかない
夜の闇に息をして
昼の光に息を潜め
朝陽に憧れを抱く
どれだけの時が流れても
君の温もりを忘れた日は一度たりもない
氷のように冷たい私の皮膚に触れる君の温かさは
私のすべてを優しく包み込む
その温もりを
もうどれだけ感じていないだろう
君に触れたくて
君を想う
だから
朝陽に身を曝すのだ
この躰がどうなろうとも
温かな
君を想い出す
2023.6.10/朝日の温もり