濃紺の帳が降りてポツポツと淡い灯りが遠くに見えた
その光はきっと優しく全てのモノを包みこみ
温めてくれるのだろう
灯りは小さくても心を安らげてくれることを知っている
淡い光
きらめく光
あらゆる光があの街を灯しながら包みこんでいく
やがて来る暗闇から守るように
眼前に広がる淡い優しげな光に包まれゆく街に
自分の居場所はなく
足元は暗く何も見えなくて
振り返れば漆黒の闇がひっそりと後ろにつけていた
灯りに向かって歩を進めたい衝動に駆られる
しかし足は動かなかった
まるで足枷がこの両足にはめられているかのように
優しいヒカリの浮かぶ街は
まるで透明な柔らかな膜に覆われているように
それでいて硬い強固な壁で阻むように
拒絶する
何者でもない自分を
伸ばした手の先に掴むことの出来ない何かを隠すように
もう二度と戻れないと踵を返し
背後に広がっている闇に向かう
さっきまで重かった足が嘘のように軽く動いて
歩みは止まらない
バイバイ
サヨナラ
俺を産んだ街
バイバイ
サヨナラ
俺を殺した街
2024.6.12/街/
病んでる風を出したかったのだけれど、お題「街」から離れてしまった感じになっちゃいました
6/12/2024, 8:37:38 AM