世界の終わりは突然告げられて
いつの間にかカウントダウンが始まってたらしい。
隣に立つ君を見上げる。
「滅びの呪文、誰か唱えたのかな」
なんて言えば
「アレか?オレらも言おうぜ!」
て、適当な石を一緒に握って呪文唱えた。
クスクスという小さな2つの笑いはアハハと大きくなったと。
パラパラと崩壊していく世界はどこか現実味がなく、儚くて美しいと感じた。
「世界なんて滅びてしまえばいいって思ってたんだ」
そう言ったボクの目からポロリと雫が落ちた。
少し、いやかなり強引なキミと出会って、世界はあっという間に色づいて。
何もなかった灰色の世界は鮮やかに彩られた。
だから。
告げられた終わりのくる世界が恨めしくて。
訳も分からない悔しさが込み上げる。
キミのいる世界が愛しくて。
キミといる世界が愛しくて。
もっとこの美しい世界をキミといたかった。
キミと過ごしたかった。
「回復魔法とか再生魔法とか言っとこ!」
なんてポーズ取りながら叫んで。
泣き笑いになった。
背後から抱きしめられて、肩口に頭が埋められた。頬に柔らかな髪の毛が触れて擽ったくて。少し振り向けば、優しいキスが降ってきた。
「世界の終わりにオマエといれて嬉しいよ。もう誰にも邪魔されない。世界が終わってもーーー」
ーーーー『ずっと一緒だ』
2023.6.8/世界の終わりに君と
6/8/2023, 8:49:25 AM