14歳の僕は、頭と心臓にドラムが鳴り響いているような恋をしていた。
だから安らぐ夜空を眺めたくて、外に飛び出していた。
悲しみや喜びが交差する星座の物語を、ゆっくりと読み取っていたんだ。
だって、僕とあの子もいつか離れ離れになってしまう。
さざ波のように、少しずつ離れていくんだ。
だけどそれも今は思い出。
誰もが前に進む物語になるんだ。
「星座」
☆創作
妖精がジェルブロワの秘密の庭をふわふわ漂っていた。
夢の中を彷徨うように。
家の窓辺では、丸くなって寝たふりをした賢い猫がその様子を薄目で見つめていた。
妖精は、
「ボンソワール、賢い猫さん。今宵一緒に踊りませんか?」
とふわふわと声をかける。
賢い猫は、
「いいね、ちょうど今音楽が降ってきたところだよ」
と神秘的な緑の目を向けて身を起こす。
それから妖精と賢い猫はふわふわ踊り始める。
風に乗る旋律が、庭に咲く秋薔薇の香りと深い緑を包み込む。
秋薔薇の棘は、秘密を隠すように二人の踊りを見守っていた。
「踊りませんか?」
僕は砂漠のメリーゴーランドに乗って思う。
この奇跡の星の地球には自然の摂理が存在している。
その摂理を理解すること自体が一つの奇跡なのかもしれない。
それなら奇跡は回転して巡る。
美しい地球の景色を目の前にして、僕らが人生の摂理、つまり愛だの幸せだのを見出すことができれば、それもまた奇跡と言えるだろう。
心の準備が整った瞬間、奇跡は再び訪れる。
「奇跡をもう一度」
たそがれ爺さんは、どこぞの木の上に住んでいる。
爺さんは独り木の上で一日中新聞を隅から隅まで読みふけっている。
時事ネタに関してはコメンテーター顔負けだ。
夕暮れ時に爺さんは、人々がスマホを見ながら道を急ぐ姿を、木の上から見つめている。
人々は迷子のように自分の中に足りないものを感じている。
その時、たそがれ爺さんは、彼らの背中に灯りをともすように、読み終えた新聞を放り投げる。
それはバサバサと音を立てて人々の頭に落下し、黄昏の一瞬の道しるべとなる。
そして彼らはスマホをしまって淡々と岐路につくのだった。
「たそがれ」
彼女は子ども時代、さみしくても涙をこぼすことができなかったんだ。
まるで小さな玄い雲が空を仰ぎながら雨を我慢しているかのように。
本当は泣きたい気持ちが渦巻いていたかもしれないのにね。
彼女はとても負けず嫌いで勝ち気な少女だったんだよ。
でも大人になるにつれて、人生は勝ち負けではないことに気づいていく。
青い夜が訪れ愛の哀しみを知り、朱い昼の明るさの中で温かさや輝きを感じることで、彼女はやっと心から泣くことができるようになった。
涙は、彼女の心のひび割れを癒す優しい雨になった。
充分な時が経ち、さらにもっと大人になった彼女は、人生の意味を知り世界は白く穏やかになる。
そうしてきっと明日もまた、世界に感謝を捧げながら涙を流すのだろう。
「きっと明日も」