récit

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妖精がジェルブロワの秘密の庭をふわふわ漂っていた。
夢の中を彷徨うように。

家の窓辺では、丸くなって寝たふりをした賢い猫がその様子を薄目で見つめていた。

妖精は、
「ボンソワール、賢い猫さん。今宵一緒に踊りませんか?」
とふわふわと声をかける。

賢い猫は、
「いいね、ちょうど今音楽が降ってきたところだよ」
と神秘的な緑の目を向けて身を起こす。

それから妖精と賢い猫はふわふわ踊り始める。

風に乗る旋律が、庭に咲く秋薔薇の香りと深い緑を包み込む。

秋薔薇の棘は、秘密を隠すように二人の踊りを見守っていた。

「踊りませんか?」

10/4/2024, 11:28:41 PM