ソラシド

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12/5/2023, 7:26:25 AM

#夢と現実

夢のなかでなら、私は何者にもなれる。自由な空間、制限のない関係。望むまま、思うがままに、私はあなたの隣を願える。

愛おしさが溢れんばかりのやさしい笑顔が私に向いていたらと。
容易に想像できてしまうから、心臓が鼓動を緩めない。

あなたの隣は私。

強く願えば願うほど、私の姿はぐにゃりと曲がって歪んで、
いつの間にか知らないあの子に変わってた。

夢でなら、私はあなたを願えてた。それすらも幻想だったみたい。最初から、あなたの隣にいたのは私じゃなくて、あの子だった。

夢の終わりはいつだってそう。

あなたを思い胸を焦がして、叶わぬことに切なくなる。
でも、私じゃなかった現実を見るたびに、

――ああ、やっぱりね、って

ホッとするのはなぜなのだろう。

夢の世界でも、そこに居るのは私。
幻想に現実の姿を投影しているのなら、はじめから勝ち目なんてなかった。

悲しい。
それでも、現実のこの世界に生きる私は、
あなたの夢を見ているときだけは、息をすることができるから。
どうか、今日も笑っていて欲しい。
世界のどこかで微かに息をしていて。

12/3/2023, 4:41:20 AM

#光と闇の狭間で

言葉の雰囲気でイメージするのは、光が明るくて、闇は暗いみたいなこと。
たくさんのものを表す言葉が存在するけれど、イメージってとても強い刷り込みだと思うのです。りんごと言ったら、赤いものを頭に思い浮かべるみたいに。
光の言葉で、希望や夢や未来の言葉を用いられる。綺麗な言葉は、とても美しくて、眩しくて、それさえあれば無敵で、「正義でしょう」とでも言いたげに堂々と立っている感じ。

暗いより、明るい方がいい。
平凡より、充実の方がいい。
劣っているより、優れている方がいい。

光と闇みたいに対義する言葉があると、どちらが正しいかを求めなければいけないような感じがする。ただ言葉としてあるだけなのだけれど、選ばれなかった片方が悪であるみたい。

光の持つ輝かしい印象を好ましく思う人もいれば、あまりに眩しくて苦しくなっちゃう人もいるから、結局、ポジティブがいいとか、ネガティブがだめなんてことの勝敗をつける必要はなくてもいいと思うのです。

綺麗な言葉は美しいけれど、時々、少しやさしくない。

暗闇の中にいるからこそ、見える光はある。
けれど、ずっとひとりぼっちで息を潜めておくには寂しい。

自分が見たいようにしか、この瞳には映らないみたい。

12/2/2023, 9:10:38 AM

#距離

近づいてみないと分からないこともある。
怖いから、知らないから、不安だから、傷つきたくないから。いろんな理由を盾にして、大切な自分のこころを守ってきた。
私を脅かすものからは、離れて、全力で逃げて、「どうせまた」と決めつけて、そうやって守ってきたの。

繊細で、敏感な、脆いこころには、
愛が眩しすぎて、離れたくなる。

愛されたいのに、愛されることを恐れて、
愛されない、愛されないって泣いてるの。

優しい手も、暖かな温もりも、慈しむ愛も、たしかにあるのに。
自分を守っていた盾は、いつしか自分を傷つけるための矛になっていたね。

遠ざかるほどに孤独は感じるけれど、近づいたから感じる暖かさもある。

近づくほどに目を瞑りたい光もあるし、遠く離れるほどに見える星もある。

どの距離が一番いい心地よいのか分からなくて、
分からないまま、振り子みたいに行ったり来たり。

私が見えて、貴方を感じられる距離が、きっと私たちを大切にできる距離感だよね。

11/30/2023, 9:51:18 AM

#冬のはじまり

季節の変わり目は、とても曖昧だと思う。気づいたら秋が終わって、冬を連れてきてた。でも、そうだな。気づいたらって言うのかいい。
朝晩の底冷えする寒さとか、暖かいスープが身体の芯にまで染み渡るとか、ふわふわのニットに包まれていつもより何倍も可愛い女の子とか、澄んだ夜空に輝く月とか。
暮らしの中で、当たりまえになって見逃してしまっているものたちの変化に気づいたとき。「あ、いいな」って思うの。
季節を感じることがとても嬉しいような。それがなぜなのかは分からないけど、寒いから嫌だなってだけじゃない良さをふとした時に感じて気づいた時に、心が満たされる感じ。素敵もの見つけちゃった、って。
「ここから冬です」と決まってないのがいい。期限がないのがいい。曖昧で、限りがないから、どう思うのかは自由なところがいい。

冬の夜空を見上げて、身体の中の不要なものを全部一掃するみたいに冷たい空気で呼吸する隣には愛しい人がいて、どんなに寒くても私の心だけは温かいまま。はあ、と白い息をまじえて「寒いね」って笑い合ったら、私より少しだけ熱を持った手に包まれる。濁りのない透き通った冬の空の下では、月の光が辺りを照らしてて、恥ずかしそうにはにかんだ笑顔がよく見えた。
寒いからって言い訳は、しばらく使えそう。
冬はまだはじまったばかりだから。

はじまって、終わるころに、またはじまって。
ぐるぐる回る季節。私たちみたいに。

11/26/2023, 11:21:38 AM

#微熱

「好きだけど、付き合わない」

人を好きになったら付き合うという恋の一般常識の中に、こんな選択肢があると知ってから、大分と心が楽になった。
恋が全く分からないわけではない。初恋だって、ちゃんとあった。幼稚園でいつもお弁当を食べる班の隣だった男の子。まだあどけない顔つきの子どもたちの中でも、一際目を引く美少年だった。
残念ながら彼とは学区が違って別々の小学校に上がることになったけれど、小学校になってからはまた別の子を好きになったし、6年間、一途に恋心を向けていた。
10代の青春時代に、しっかりと恋という感情に熱くなって、切なくなって、胸を高鳴らせていたにも関わらず、だ。

その先の欲望が全くといっていいほどない。
好きな人は、見ているだけで幸せ。話せたらすごく嬉しいし、優しくされたら自分に好意があるのではと自惚れるくらいチョロい。
笑顔で微笑まれた日なんかは、心臓がギュンと音を立てて――キュンではない、ギュン――全身が麻痺する。

自分のものにならなくても、別にいい。見てるだけで幸せだから。
そう思う裏には、あの人には自分よりもいい人がいるから、という思いがあるのかもしれないんだけど。
だから、「好きだけど付き合わない」選択は、自分を守るための盾。

「彼のこと、好きなんだよね」

意図せずに耳に入ってきた隣のグループの会話に、ドキッとして息をのんだ。
まさか、あいつを好きになるやつなんているのか。幼なじみのポジションに甘えていた自分の中に、ふつふつと熱が湧く。
誰かのものになる。
こんな時に、いやでも思い知らされる。

自分の中に絶えず宿っていた微熱に、自分のものにしたい欲望があるだなんて。

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