ソラシド

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3/12/2025, 6:39:34 AM

星を数えてた。
どこまで数えたか分からない。
無数にある星を、ひとつ、ひとつ指でなぞっていた。

眠れない夜は大抵星を数えていた。
目を閉じても眠気なんて一向に来なくて、頭の中でぐるぐると渦巻いている些細なことが膨らんで、目の前を不安で黒く染まらせていった。スマホの光も眩しい。音楽もうるさい。でも、眠るのは嫌だ。
そっとベットから這い出て、窓を開けると、生暖かい風が頬を撫でた。春の匂い。南の空の高いところに、三日月が弧を描いている。
月がひとつ。
星は、無数だ。
月の見える明るい日、私のところから星を見つけるのは難しい。
ひとつ、ふたつ、みっつ。空を目指して数をかぞえた。
見えないだけで、たしかにある星。
虚しくなるほど途方もない星遊び。

あの星が私に落っこちてくればいいのに。

#「星」 そしてこの夜の闇から、光り輝く星の海に連れ出して。

2/23/2025, 12:48:02 PM

金平糖をもらいました。
金平糖って、星屑みたいだなって思いました。

私は夜空が好きで、夜空に浮かぶ無数の星に何度思いを馳せたんだろう。

あの星が落っこちて、世界で滅亡すればいい。
あの星に手が届けばいいのに。
あの星のひとつくらい、落っこちて空っぽの心が埋まればいいのに。
あの星の今見えている光が、何光年もかけてようやく届いているのだと思うと、涙が出てくる。

金平糖は空から落ちてきた星。流れ星に祈った願い事は消えてなくなるんじゃなくて、こうして私の手の中に。まるで「あなたの願いを聞いて、やってきました」って言ってるみたいで、また涙が溢れた。

一方で、
「金平糖ってさ、金の糖でしょ。砂糖の塊だよ。あと平らって書くし」
と、情緒もくそもないことを言われて、少し、いや大分悲しくなりました。悲しいというか、ショックというか、なんだろう。
なんでわざわざそんなこというんだろうっていう、やっぱり悲しみだったのかな。

この感覚を分かってほしいとは思えないけど、
ただそうなんだねって、言ってほしかったなあ。

2/21/2025, 3:39:10 PM

「あ、流れ星」
キラリと瞬いた星は、既に夜の深い海に消えていく。夜空を駆けていったようで、私の目に留まることはなかった。ぼんやりと空を見つめていると、隣にいた人物が素っ頓狂な声を上げた。
「見つけられなかったぁ」
「そりゃあ残念」
残念そうに声を震わす彼女を一瞥する。ガックリと肩を落として、頭を垂れていた。ブルーシートの上で待ち続けてかれこれ数時間だが、待望の瞬間を逃したことへの落胆としてはいささか大袈裟な気がした。
「いつから天体観測が趣味になったの?」
パーカーを羽織り直しながら彼女に言った。夏と言えど、夜の山は冷える。地上よりも空が近くにあるから、肉眼でも小さな星がよく見えた。
「そんなんじゃないけど、たまに見たくなる」
ゆっくりと顔を上げた彼女の視線を追っていく。数多くの星々で埋めつくされた空。あんなにあるのに、私たちの手元にはひとつも落ちてこない。ずっとその場から離れられずに、自由になった光は燃えながら夜の中に消えてしまう。まるで空に囚われた星。ひとつひとつが僅かな光で自分たちの存在を知らせているようだった。
「ひとつくらい、落ちてきたっていいのにね」
彼女の呟きに、なんだか無性に胸を締め付けられた気分だった。
「あの威力で落ちてきたら、きっと怪我じゃすまないだろうよ」
「リアリストだなあ」
ため息まじりに、彼女はブルーシートに寝転がった。
「いつか、届くよ」
彼女の瞳が大きく見開かれる。ほろりと音もなくこぼれていく涙が、流れ星ように頬を伝っていった。

#夜空を駆ける、星と涙

1/10/2025, 3:27:10 PM

#未来への鍵

どうしてそんなに一生懸命に生きられるんだろう。
生きようって思えるんだろう。
自分を大切にとか、自分らしくとか、楽しむとか、
結局自分次第なわけだけど、
変わる気力とないし、生きる気力もない。
今の状況がつらいけど、行動するのはめんどくさい。
行動する気力もない。生きたくないって、放棄してしまいたい。
いつまで経っても、他人軸で生きてて、自分の人生に責任負いたくないから。自分のせいでこうなってて、こうなってる自分も嫌だし、嫌だって言って、何もしない自分も情けないし、もう何もかもつらくてしんどいから、逃げたい。
どうやったら、生きようって思えるんだろう。
みんな、なんで必死に生きようとできるの。
私はずっと生きたくないです。つらいです。ずっと、一生つらいって言いながら時間だけが過ぎてく。未来の鍵を壊して、このまま最初から居ませんでしたってことにして、消えたい。

1/7/2025, 10:16:34 AM

ずっと一緒にいたい、と涙を流したあの人とは、満開の桜を見ることはできなかった。私と一緒にいることに、役目が終わったとでもいうように、あの人は別れを告げた。「ごめん」と、たった一言だけ言って、あとは何も言わなかった。ずっと一緒にいたいと言ってくれた時と同じ表情で、今にも泣き出しそうなほど顔を歪めていたけれど、泣きそうなだけで、あの人は最後まで涙を見せなかった。緊張すると鼻を触る癖があった。私はあの人が何回触るのかを数えるのに夢中で、どうして別れという選択をしたのか、肝心な理由を聞きそびれた。そもそもあの人が誰だったのか、私はちゃんと知っているのか分からない。その程度の関係。その程度の存在といってしまえば、そうなのかもしれない。
目を開けると、黒光りした墓石に私の姿がぼんやりと映る。夢を見ているようだった。墓誌の一番最後に刻まれた名前をそっとなぞる。
「ずっと一緒にって言ったくせに」
指先で感じる凹凸に、あの人の姿を脳裏に思い出す。私のそばで生きていた、あの人のことを。
寂しさとか虚しさとか漠然とした不安とか、そういう見えないものの存在を忘れるほど、きっと、あの人が私の心をそばで守ってくれていた。
ふいに、風が吹く。満開になった桜の木が花びらを撒き散らして、美しい花吹雪を起こした。
「ねぇ。見てる?」
そう言って、ゆっくりと墓石を振り返る。静かな沈黙が自分に跳ね返ってくるだけだった。
「嘘つき」
ぽつり、と涙が頬を伝った。

#君と一緒に 「明日も明後日も、その先も」

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