ソラシド

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星を数えてた。
どこまで数えたか分からない。
無数にある星を、ひとつ、ひとつ指でなぞっていた。

眠れない夜は大抵星を数えていた。
目を閉じても眠気なんて一向に来なくて、頭の中でぐるぐると渦巻いている些細なことが膨らんで、目の前を不安で黒く染まらせていった。スマホの光も眩しい。音楽もうるさい。でも、眠るのは嫌だ。
そっとベットから這い出て、窓を開けると、生暖かい風が頬を撫でた。春の匂い。南の空の高いところに、三日月が弧を描いている。
月がひとつ。
星は、無数だ。
月の見える明るい日、私のところから星を見つけるのは難しい。
ひとつ、ふたつ、みっつ。空を目指して数をかぞえた。
見えないだけで、たしかにある星。
虚しくなるほど途方もない星遊び。

あの星が私に落っこちてくればいいのに。

#「星」 そしてこの夜の闇から、光り輝く星の海に連れ出して。

3/12/2025, 6:39:34 AM