#冬のはじまり
季節の変わり目は、とても曖昧だと思う。気づいたら秋が終わって、冬を連れてきてた。でも、そうだな。気づいたらって言うのかいい。
朝晩の底冷えする寒さとか、暖かいスープが身体の芯にまで染み渡るとか、ふわふわのニットに包まれていつもより何倍も可愛い女の子とか、澄んだ夜空に輝く月とか。
暮らしの中で、当たりまえになって見逃してしまっているものたちの変化に気づいたとき。「あ、いいな」って思うの。
季節を感じることがとても嬉しいような。それがなぜなのかは分からないけど、寒いから嫌だなってだけじゃない良さをふとした時に感じて気づいた時に、心が満たされる感じ。素敵もの見つけちゃった、って。
「ここから冬です」と決まってないのがいい。期限がないのがいい。曖昧で、限りがないから、どう思うのかは自由なところがいい。
冬の夜空を見上げて、身体の中の不要なものを全部一掃するみたいに冷たい空気で呼吸する隣には愛しい人がいて、どんなに寒くても私の心だけは温かいまま。はあ、と白い息をまじえて「寒いね」って笑い合ったら、私より少しだけ熱を持った手に包まれる。濁りのない透き通った冬の空の下では、月の光が辺りを照らしてて、恥ずかしそうにはにかんだ笑顔がよく見えた。
寒いからって言い訳は、しばらく使えそう。
冬はまだはじまったばかりだから。
はじまって、終わるころに、またはじまって。
ぐるぐる回る季節。私たちみたいに。
11/30/2023, 9:51:18 AM