#夢と現実
夢のなかでなら、私は何者にもなれる。自由な空間、制限のない関係。望むまま、思うがままに、私はあなたの隣を願える。
愛おしさが溢れんばかりのやさしい笑顔が私に向いていたらと。
容易に想像できてしまうから、心臓が鼓動を緩めない。
あなたの隣は私。
強く願えば願うほど、私の姿はぐにゃりと曲がって歪んで、
いつの間にか知らないあの子に変わってた。
夢でなら、私はあなたを願えてた。それすらも幻想だったみたい。最初から、あなたの隣にいたのは私じゃなくて、あの子だった。
夢の終わりはいつだってそう。
あなたを思い胸を焦がして、叶わぬことに切なくなる。
でも、私じゃなかった現実を見るたびに、
――ああ、やっぱりね、って
ホッとするのはなぜなのだろう。
夢の世界でも、そこに居るのは私。
幻想に現実の姿を投影しているのなら、はじめから勝ち目なんてなかった。
悲しい。
それでも、現実のこの世界に生きる私は、
あなたの夢を見ているときだけは、息をすることができるから。
どうか、今日も笑っていて欲しい。
世界のどこかで微かに息をしていて。
12/5/2023, 7:26:25 AM