コヤ

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2/27/2025, 12:01:27 PM

No.31:cute!


僕の恋人はとっても可愛い
いつもはそう言うと右ストレートが飛んでくるから高頻度では言えないけれど。
溢れちゃうと自然と口から出てしまうし
殴る時も耳が真っ赤なのを知っているから、僕にしてみれば痛みなんてツンデレで可愛いな〜に変換されるのだが

「ん、ん〜...」

...そんなツンデレが可愛い恋人は、僕の膝で疲れと酒に沈むまま、ツンデレのデレを発揮していた
酔って赤らんだ頬
暑い、なんて言って少しはだけさせた服装
+眠気によってトロリと潤んだ瞳

...ハッキリ言って、理性を保ててる僕に感謝して欲しい。
と言うかプッツンしそう、なんなのこの可愛い生き物

「ん...□□?」
「?どーしたの?もう寝るの?」
「ん〜...や、...□□...褒めろ...」

おや、今日はどうやら褒めて褒めてデーらしい
仕事とかストレスが限界突破するとよく発動する甘えたデー。
こういう時はめいいっぱい甘やかして、褒めてあげなくてはならない。

「△△は凄いねぇ、何時もお仕事頑張って、今日も交渉上手く出来たんでしょ?偉いねぇ」

そう言いながら頭を撫でると、嬉しそうに手に擦り寄って来るのが可愛くて、ずーっと撫でていたくなってしまう。

「んふ、もっと褒めろ...」
「ふふ、△△可愛〜い♡」
「?可愛いの?」
「うん、可愛いの♡」
「くふ、そっかぁ」

え、何この生き物可愛い(2度目)
うーん...うーん...よし





__プツッ






「今日はここまで、△△の可愛い所、ちょっと見せたから良いでしょ?」
「ここからは、二人きりで楽しみたいから♡」



「それじゃ、またね」


2/26/2025, 11:38:20 AM

No.30:記録


忘れられない様に、どんなに正確に綴っても
必ず綻びが生まれて、間違った情報が伝わっていく


書かれた文面をなぞりながら、私はひしひしとそれを感じていた。

彼はこんなに謙遜者じゃなくて、もっと自信家だったし
苦い珈琲より、甘いココアが好きだった。

ここはあってる、ここもあってる。
でもここが違う。ここも、ここも違う。


私の知ってる自信家で、甘いもの好きな勇者じゃなくて、優しくて、しっかりした、力強い勇者しかいなかった


本物の彼は、もう私の中にしかいないんだね

少し優越感を感じると思っていたのに
綺麗な勇者像を指摘して、違うよなんて笑ってやるつもりだったのに

私はいつの間にか、頬を濡らしていた

2/25/2025, 12:16:30 PM

No.29:さぁ冒険だ


「ね、僕と一緒に逃げ出しちゃおうよ」

何時もは真面目を装ってる此奴が、急にそんな事を言い出してきた。

「...いや、もうすぐ授業なんだが?」

今は休み時間で、あと数分もしない内に授業開始の鈴が鳴る
そりゃあ面倒臭い授業なんて抜け出したいが、そんな事をしたら職員室直行案件である

「えー、良いじゃない。君だって前サボってたじゃない」

そんな事も分かってないのか、少し不貞腐れたように口を開いている。
いや、だから実体験なんだって。
一度屋上でサボっていただけで2時間も放課後居残り説教をされたのだ。あんな経験はもうコリゴリである

「今は自重してるわ、怒られんの面倒臭いし」
「なら僕が無理やり連れ出したって事にすればいい」
「日頃の行い的に俺だって思われるだろ」
「ニッコリ笑えば聞いてくれるよ?」
「お前のそれは圧って言うんだよ」
「まぁまぁ、気にしない気にしない♪」

カラカラと笑った彼奴は、俺の返答も聞かず手を掴むと、何食わぬ顔で下駄箱前まで引っ張られた

「っおい...!だから俺は...!」
「”自重“してるだけで、逃げ出したくないとは言わないじゃない」
「ッ、」
「ね?本気で嫌なら手を振りほどいて見てよ」

まるで俺の本心を見透かす様に問う此奴に腹が立つ。
真底、癪に障る...が、俺は手を振り解け無かった
...あくまで、授業が面倒臭いと言うだけである

「ふふ、じゃあ行こっか。ちょっとした穴場スポットがあるからさ♪」
「つまらん場所だったら鼻で笑ってやるよ」
「大丈夫、君もきっと気にいるよ」

そうして振りほどかなかった手を握り直され、開始の鈴の音を背に、俺達はちょっとした逃走劇を初めたのだった

2/24/2025, 11:46:45 AM

No.28:一輪の花


”立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿はユリの花“

何処かで見た記事が、頭に過ぎった

「?どうしたの?」

「...なんでも」

見ていた此奴に言うのは癪で、俺はそっぽを向いた
3つの花を持つ、一輪の花みたいな此奴。

人目見た時から、今まで、ずっとそう思っていた


「くふふ、そっか」

「笑うな気持ち悪い」

「酷いなぁ」


全くそう思ってなさそうに呟く彼奴には、言ってやらないけれど

2/23/2025, 12:39:24 PM

No.28:魔法


「ちちんぷいぷい、□□よ笑顔になーれ♪」


気持ちが落ち込んでいた時
悩み事があった時


彼奴はよくそんな事を口にしていた
最初はよく分からなかったし、この歳でちちんぷいぷいとか...なんて思ってた


「...ふはっ、またそれかよ」

「あ!笑ってくれた〜!やっぱり僕は魔法使いだね♪」

「は?笑ってねぇーよ」

「もー、ツンデレちゃって♪」

「ツンデレじゃねぇよ!」


本人に言えた事はなかったけれど、その言葉を聞くと、何故だか笑う事が出来た。
少しだけ、気持ちを落ち着かせられた

...今思えば、それは彼奴が言うからなのだと嫌という程実感する

























「なぁ、だからさ、また言ってくれよ□□、ちちんぷいぷいとかって」
「それが無いと...俺が笑えねぇじゃねぇか...」

眠る彼奴を前に、俺は小さく呟いた

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