No.28:魔法
「ちちんぷいぷい、□□よ笑顔になーれ♪」
気持ちが落ち込んでいた時
悩み事があった時
彼奴はよくそんな事を口にしていた
最初はよく分からなかったし、この歳でちちんぷいぷいとか...なんて思ってた
「...ふはっ、またそれかよ」
「あ!笑ってくれた〜!やっぱり僕は魔法使いだね♪」
「は?笑ってねぇーよ」
「もー、ツンデレちゃって♪」
「ツンデレじゃねぇよ!」
本人に言えた事はなかったけれど、その言葉を聞くと、何故だか笑う事が出来た。
少しだけ、気持ちを落ち着かせられた
...今思えば、それは彼奴が言うからなのだと嫌という程実感する
「なぁ、だからさ、また言ってくれよ□□、ちちんぷいぷいとかって」
「それが無いと...俺が笑えねぇじゃねぇか...」
眠る彼奴を前に、俺は小さく呟いた
2/23/2025, 12:39:24 PM