No.45:君を探して
#人外Rさんと、人外Dさん
探し出したかったのだ。
会って、一言だけでも交わしたかったのだ
俺のせいで、彼奴は持っていた何もかもを失った
力も、地位も、あの綺麗な色だって。
全て、俺が彼奴から奪った様なものである。
...冷めた目で見られるかもしれない
殴られるかもしれない、
多分、怒られるのだと思う。
...それでも、俺はどうしようもなく彼奴に会いたかったのだ。
最低で身勝手だと言われてもいい。
ただ、一目だけ会えればそれで。
一人で、生きているのかも分からない彼奴を想うのは、あまりにも痛く苦しかったから。
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ドンッ!!
「だっていうのにさぁ!!?俺が探しても見つかんなかった癖に、再開した場所がお前が不法侵入した俺の家だとかふざけてんのか!?あ!?」
「どーどー、〇〇ちゃん落ち着いて〜」
苦笑いを浮かべつつ、僕は彼から空になったビール缶を取り上げた。
全く、酔うとすーぐ愚痴っぽくなるのだから。
それに、もう僕が彼の家に不法侵入するなど日常茶飯事じゃん。
「う〜ッ、返せよ〜...」
「ダーメ、もう水飲もう?」
「ん〜」
唸る彼を後目に、水を取りに行こうと僕は立ち上がった
「や、」
「!?いたっ、」
その時、突然後ろ袖を引かれ、対応しきれず尻もちを着いてしまった。
見てみれば、彼が僕の袖を引っ張っている。
「あ、〇〇ちゃん?」
「...何処にも行くな...バカ...」
「!!」
それだけ言うと、彼は尻もちを着いた僕に抱きつき、寝息を立て始めてしまった。
「...んもぉ〜、〇〇ちゃんは狡いなぁ〜」
...多分、この行動は今日の愚痴内容が原因だろう。
時たま酒の席で聞いていた話だけれど、何度聴いても口角が上がるのを辞められない。
何百年も、僕を気にして、探してくれたんだと
そう思えるのが何より嬉しかった。
「探してくれてありがとう、〇〇ちゃん」
もうどこにも行かないから
君が、寂しい想いをしたまま探し回らなくて、もういいからね。
「今はお眠り、〇〇ちゃん」
そう言い聞かせるように、僕は小さく呟いたのだった
No.44:透明
#人外Tさんと
愛とか、恋だとか
それらは、目に見えない感情の一つだ
けれど、けれど。
色も、形も無い筈なのに。
確かに、それは僕の心の中にあって。
彼の顔を見るだけでドキドキして
胸がいっぱいになって。
「可愛いなぁ」
つい、口から零れたりしちゃって
「ッ///!!?」
それに顔を真っ赤に染めちゃう彼に、胸がキュッと締め付けられて、顔がだらしなくなっちゃって
嗚呼、好きだなぁ...って思うのだ
No.43:終わり、また始まる、
#人外Rさんと
...あの時、自身の目標の為、僕に縋ってきた彼の顔が、今でも目に焼き付いている。
僕の手で死を与え
僕の手で生を施した
...代償は、勿論軽くはなかった。
彼は、僕じゃない相手を追いかけてもいた。
けれどそれ以上に、この先も彼は生き続け、僕は隣に居る事が出来るのだと。真っ先に、僕を頼ってくれた事が嬉しかった。
だから、あれは僕への戒めのようなものだ
「...ね、〇〇ちゃん」
だから泣かないで
あの時の僕を思い出して
僕は、君と同じ生を生きられて、幸せなのだから
No.42:星
#人外Rさんと
どれだけ手を伸ばしても、手の届かない
僕は何処までも飛んで行けるのに、彼をこの手に留めて置く事が出来ない。
まるで流星のよう。
そこにいたと思ったら、生き急ぐ様に先へゆき、いつ間にか目の前から消えている。
それが、彼だった。
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美しい満月が、空を彩る夜だった。
彼と僕は、小洒落た雰囲気に似合わない缶ビールを開けながら、月見をしていた。
...まぁ、僕は別に空の星には興味が無いのだけれど。
「〇〇ちゃーん?飲み過ぎだよ〜?」
「ん...もぉしゅこし...」
「いや呂律回ってないからね??」
僕がそう言っている間も缶を煽るものだから、流石にマズいと取り上げた。
すると酔っているせいか、こちらに顔を近付けながら、拗ね全開に頬をプクりと膨らませるものだから本当勘弁して欲しい。
「ん〜...」
「......」
彼の顔が僕の真正面に来た事で、彼の星が良く見えるようになった。
「...星が綺麗だねぇ...」
ふと、そんな言葉が口を滑った。
...気が付いたら頃にはもう遅くて、彼はぽかんっとした顔を浮かべていた。
「あ、〇〇ちゃんっ、これは、その、」
「なぁに、いってんだよ...今夜は月のが...きれい...だろうが...」
「!!?」
うわ言のように呟いた彼は、そのまま僕の胸に倒れ込み、眠って立ててしまった。
辺りには、彼の寝息と優しい風の音だけが響いている
「......あー...もぉ...」
少し経って、僕は片手で顔を覆った。
彼は酔っていたのだ。多分明日には記憶もないし、言葉に深い意味などないのだろう。
...でも、でも、
...少しだけ、ドキドキしてしまった僕がいた
「...はぁぁぁ...」
本当、狡い、ズルすぎるよ、〇〇ちゃんは
「...君は、僕の気持ちなんて知らないのにね」
そう呟きながら、僕は胸元に収まる彼の頭をそっと撫でた
...どうか、この出来事をもう思い出さないでと願いながら
No.42:願いが1つ叶うならば
#?????
彼らの生きる未来を、共に過ごしたかった
...変えられぬ未来を視た。
自分が死に、変わりに彼らが、僕の願いを叶える為、未来で奮闘する未来を
...それでも、幸せそうに笑っている未来を
未練なんてないと思ってた
自分一人が死ぬことで彼らが未来を生きれるなら、それでいいと思ってた
...なのに、なのに
幸せそうに笑う、未来の彼らを視て
僕がいる事を当たり前に、地位も何も関係なく接してくれる今の彼らを見て
少しだけ、心が揺らいでしまった
「__...嗚呼、もっともっと、一緒に居たかったなぁ...」
騒ぐ周りと、真っ赤に染まった自身の身体を見て
僕は、小さく呟いた