No.53:bye bye...
惜しくなってしまったのだ、と。
過去の自分が聞いたら、一体どんな反応をするだろう。
明日の分からぬ人生
居なくなる同業者
別れを惜しむ間もなく、巡りゆく日々。
...だから、期待するのは辞めた
「じゃ、バイバイ」
極力笑って、別れを告げるようになった
互いに、明日会うことが叶わなくても良いように
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「ん?お前また来たのかよ」
「え〜、そんな邪険にしないでよ〜」
なのに、彼と出会って変わってしまった
...いや、”変えられてしまった“
「今日は顔見に来ただけだよ〜、この後も仕事あるし」
「ふーん、物好きなやつ」
つっけんどうに言うものの、何処か可笑しそうに笑う彼
そこから、面倒臭そうに少しだけ僕と戯れてくれる彼
...その顔を見る度に、らしくない不安が顔を出す
「......んじゃ、僕もう行くから」
流石に時間があるので、その場を離れようとドアに手を掛ける。
「あ!おい待て!」
その声に弾かれる様に振り返ると、
「またな!」
「!」
純粋に、次がある前提の言葉。
僕が恐るようになってしまった、たった三文字。
...彼はそれを、平然と口にする。
最初こそ歓迎していなくても、必ず満面の笑みで言ってくれる言葉。
「...うん、」
...だから、なのだろうか。
期待など、惜しむ心など、とうの昔に捨てたはずなのに
「またね」
君にだけは、そう返すようになってしまった
次もまた、彼の笑顔を見れますように。
そんな小さな願いを、抱きながら
3/22/2025, 11:35:05 AM