No.52:君と見た景色
#人外Rさんと、人外Dさん
手の届かない、雲の上の存在
彼奴に対する第一印象を、今でもハッキリ覚えていた
焔を宿した赤い眼に
燃える様な、キラキラとした朱色の翼
綺麗だと思った
自分には縁遠い、キラキラとしたものだったから尚更
そしてどうしようもなく、手を伸ばしたくなった
...でも、届かなかった。
物理的に近くなれても、精神的には、何処までも離れている様な気がした。
「ほら何してんのさ!早く行くよ〇〇殿!」
「!あ、あぁ...」
こうして、手を引かれてる今だって
(...嗚呼、遠いい...)
どうしようもないくらい、埋まらない溝に阻まれている様な気がした。
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「ねーぇ〜!!許してよ〜!!」
「煩いですね、その口塞ますよ?」
「なんかトキメクセリフなはずなのに今すっごい寒気したよ!?」
でも、今はどうだろう
「良い勘ですね、本当にその通りにしてやろうか?」
「ひぃっ!〇〇ちゃん怖いよ〜!!許してよ〜!!」
今はこいつから、私に擦り寄って来ている。
「...仕方ないですね、貴方が私の事どう思ってるか言ってくれたら、特別に許してやります」
「え...なにその遠回しなデレ可愛すぎでしょ!?」
「いやなら口を...」
「嫌なわけないじゃん!!!」
食い気味に私から少し離れると、昔と変わらない赤い瞳が、私を射抜いた
「好き、大好きだよ、〇〇ちゃん」
「ッ...」
こうして、真剣に言葉を伝えてくれる様にまでなった。
それが喜ばしくて、恥ずかしくて、ごちゃまぜで。
でも確かに、心の溝はない。
何時も隣で、同じ景色を見ていられる様な気がした
「...ふん、良いですよ、許してあげます」
「これで本当に良いの?もっと言えるよ?」
「結構です!!」
たったそれだけの事が、たまらなく嬉しかった
「照れてるの可愛い〜♡」
「本当にその口縫いますよ?」
「ごめんて!!!」
3/21/2025, 11:00:27 AM