No.54:もう二度と
大切な人を作らないと決めた。
広く浅くをモットーに、これまで生きてきた
...失ってしまうのは、辛いから、苦しいから
でも、君は違った
そんな僕の気持ちを知ってか...いや、多分知らずに
僕のテリトリーに踏み込んで、爪痕を残していく
こっちの事なんて気にせず、構いに来ていた
それを断るのは渋られて、でも何となく、理由を聞いてみた。
「は?んなの...お前がそうして欲しそうな顔してたからに決まってんだろ」
驚いてしまった
僕は、そんな顔をしていたのだろうか
失いたくないと決めた日から、そんな事思うことはやめたはずなのに。
「...それとも、俺に構われるのは嫌か?」
そう言われてしまって、僕は何も言えなかった。
いや...言えなかったのだ
「...ふはっ、なんつー顔してんだよ」
そう言って、君は僕の事を抱き締めた
それが暖かくて、心地好くて
震えていた何かが、じんわりと落ち着いていくような、そんな感じで。
嗚呼、彼はなんて狡いんだろう
これじゃあ、もう
「離れられないじゃないか...」
3/24/2025, 12:55:33 PM