No.27:君と見た虹
空に掛かる七色に乗り、その先に行けたなら
幸せだと感じられるのだろうか
”幸運の兆し“と言う意味があると知った時
ふと、そんな事を思った。
ただ流れていく時を。恵まれているとは言われるけれど、”つまらない“と感じてしまうこの時を。終わらせる事ができるのだろうか
青に戻った空を眺め、そんな事を考えていた
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「ねぇ□□君!今日は何もないから、一緒に帰ろ♪」
「うん、勿論いいよ」
「やったぁ!」
「......ふふ、」
「?どうしたの?」
「...いや、なんでもないよ」
きょとりとした顔を浮かべる彼を見て、つい笑が溢れてしまった。
...もしかしたら、あの虹はこの時を表していたのかもしれない。
彼と出会えて、何気ない日常が。
楽しくて、嬉しくて
虹の先は分からないけれど。
門のようなそれは、幸せを招いてくれたんだなぁ...っと、
「ただ、幸せだなぁ...ってね♪」
微笑みかけながら、心底そう思ったのでした。
No.26:夜空を駆ける
闇を流れる星々を、ただぼーっと眺めていた。
終点が近いのに、それでも眩く、美しいそれ。
そうして窓の外を眺めていると、不意に背中へ温もりが乗った。
「...どうしたんだよ?」
独り言のように、背中のぬくもりへ呟く
「...君が、星に連れてかれるかと思った」
何時ものらりくらりとしている彼奴が、あまりにも突然ファンタジーチックな事を言うものだから、思わず笑が零れる。
「...何言ってんだよ」
窓枠から身体を離し、彼奴の方へ身体を向ける
「俺は何処にも行かねぇし、今更離れるつもりは無い」
「...素直なの珍し...」
「殴るぞ?」
「わぁごめんごめん!謝るから拳しまって!」
両手で降参のポーズをとる彼奴をみて、取り敢えず拳はしまっておくことにした
全く、何時も都合のいい事ばかりで...
「ありがとう、□□」
「!」
驚いて振り返る私を見て、彼奴は面白がるようにクスリと笑った
No.25:ひそかな想い
雲の上の様な
一等眩く星の様な
決して届く事の無い彼に抱いた
それこそ、憧れに近いそれ
...そう、思っていたのに
彼が顔を赤らめて
はにかむ様に笑うものだから
「ッッ、」
気が付きたくなかったそれに
気が付いてしまったではないか
No.24:あなたは誰
記憶の中で巣食う貴方
顔も、声も、何も覚えていないのに
心の喪失感だけは、確かにあって
その白さが、唯一貴方の輪郭をなぞって
ねぇ、貴方はだれなの?
教えてよ、おしえてよ、
ねぇ__________
「先生!あの子は...あの子は大丈夫なのですか!?」
「...体調に問題はありませんが...
一部の記憶が欠落してしまっている様です。恐らく□□さんが亡くなった影響かと」
「そう...ですか...」
No.23:手紙の行方
(不穏注意)
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拝啓____へ
こうして手紙を書くのは、何気に初めてだよね
君は今何をしてるのかな?そっちでも元気かな?
こっちは君が居なくててんやわんやでさ
「寂しい」「悲しい」「辛い」
皆口では言わないけど、顔で分かっちゃうの
普段は顔に出ない人もそうだから、それだけだったら僕は喜んでたんだろうね
「表情筋はちゃんとあったんだ」って
...でも、何だか今は気持ちが乗らなくて
忘れる為に仕事してたら、過労で倒れて周りに怒られちゃった(笑)
多分、君も怒るんだろうね、と言うか何回も怒られたし
...でも、仕方ないんだよ
君の居ない日々を紛らわす為には、何かに没頭してないと気がおかしくなりそうでさ
会いたくて会いたくて、堪らなくなるの
今だって、そうで...
...ねぇ、今すぐ君の所にいきたいよ
会って、抱きしめて、話したいの
...でも、そしたら、僕が抱きつく前に、君に怒られちゃうよね、
「追ってこないでね」って、「来たら絶縁だ」って言ってたもんね、
...嗚呼、ねぇ、なんで?どうして?
僕を置いていってりしたの?
会いたいよ、会いたいよ...
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...気が付くと、僕は眠っていた様だった
顔の下にある書いていた手紙の半分は、何故だか滲んでいて読めなかった
...まぁ、別に良いか
必死で書いていたはずなのに、頭は妙に冷めていた
...だって、手紙を宛てた君は...
宛先も、居場所も分からないんだもの
後悔したって、叫んだって、何したって
「もう、遅いんだもんなぁ...」
薄暗く、荒れた部屋の中で、写真の中に映る君を見詰めながら、一人そんな事を呟いていた