コヤ

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2/22/2025, 12:13:07 PM

No.27:君と見た虹


空に掛かる七色に乗り、その先に行けたなら
幸せだと感じられるのだろうか

”幸運の兆し“と言う意味があると知った時
ふと、そんな事を思った。

ただ流れていく時を。恵まれているとは言われるけれど、”つまらない“と感じてしまうこの時を。終わらせる事ができるのだろうか

青に戻った空を眺め、そんな事を考えていた

---


「ねぇ□□君!今日は何もないから、一緒に帰ろ♪」

「うん、勿論いいよ」

「やったぁ!」

「......ふふ、」

「?どうしたの?」

「...いや、なんでもないよ」

きょとりとした顔を浮かべる彼を見て、つい笑が溢れてしまった。
...もしかしたら、あの虹はこの時を表していたのかもしれない。
彼と出会えて、何気ない日常が。
楽しくて、嬉しくて

虹の先は分からないけれど。
門のようなそれは、幸せを招いてくれたんだなぁ...っと、

「ただ、幸せだなぁ...ってね♪」

微笑みかけながら、心底そう思ったのでした。

2/21/2025, 12:02:56 PM


No.26:夜空を駆ける


闇を流れる星々を、ただぼーっと眺めていた。
終点が近いのに、それでも眩く、美しいそれ。


そうして窓の外を眺めていると、不意に背中へ温もりが乗った。

「...どうしたんだよ?」

独り言のように、背中のぬくもりへ呟く

「...君が、星に連れてかれるかと思った」

何時ものらりくらりとしている彼奴が、あまりにも突然ファンタジーチックな事を言うものだから、思わず笑が零れる。

「...何言ってんだよ」

窓枠から身体を離し、彼奴の方へ身体を向ける

「俺は何処にも行かねぇし、今更離れるつもりは無い」
「...素直なの珍し...」
「殴るぞ?」
「わぁごめんごめん!謝るから拳しまって!」

両手で降参のポーズをとる彼奴をみて、取り敢えず拳はしまっておくことにした
全く、何時も都合のいい事ばかりで...



















「ありがとう、□□」
「!」

驚いて振り返る私を見て、彼奴は面白がるようにクスリと笑った

2/20/2025, 12:01:56 PM

No.25:ひそかな想い


雲の上の様な

一等眩く星の様な

決して届く事の無い彼に抱いた

それこそ、憧れに近いそれ



...そう、思っていたのに

彼が顔を赤らめて

はにかむ様に笑うものだから

「ッッ、」

気が付きたくなかったそれに
気が付いてしまったではないか

2/19/2025, 10:58:41 AM

No.24:あなたは誰


記憶の中で巣食う貴方

顔も、声も、何も覚えていないのに

心の喪失感だけは、確かにあって

その白さが、唯一貴方の輪郭をなぞって

ねぇ、貴方はだれなの?

教えてよ、おしえてよ、

ねぇ__________


























「先生!あの子は...あの子は大丈夫なのですか!?」
「...体調に問題はありませんが...
























一部の記憶が欠落してしまっている様です。恐らく□□さんが亡くなった影響かと」
「そう...ですか...」

2/18/2025, 11:27:41 AM

No.23:手紙の行方




(不穏注意)






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拝啓____へ


こうして手紙を書くのは、何気に初めてだよね
君は今何をしてるのかな?そっちでも元気かな?
こっちは君が居なくててんやわんやでさ

「寂しい」「悲しい」「辛い」
皆口では言わないけど、顔で分かっちゃうの
普段は顔に出ない人もそうだから、それだけだったら僕は喜んでたんだろうね
「表情筋はちゃんとあったんだ」って

...でも、何だか今は気持ちが乗らなくて
忘れる為に仕事してたら、過労で倒れて周りに怒られちゃった(笑)
多分、君も怒るんだろうね、と言うか何回も怒られたし

...でも、仕方ないんだよ
君の居ない日々を紛らわす為には、何かに没頭してないと気がおかしくなりそうでさ
会いたくて会いたくて、堪らなくなるの
今だって、そうで...
...ねぇ、今すぐ君の所にいきたいよ
会って、抱きしめて、話したいの
...でも、そしたら、僕が抱きつく前に、君に怒られちゃうよね、
「追ってこないでね」って、「来たら絶縁だ」って言ってたもんね、

...嗚呼、ねぇ、なんで?どうして?
僕を置いていってりしたの?
会いたいよ、会いたいよ...


____________________



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...気が付くと、僕は眠っていた様だった
顔の下にある書いていた手紙の半分は、何故だか滲んでいて読めなかった

...まぁ、別に良いか

必死で書いていたはずなのに、頭は妙に冷めていた

...だって、手紙を宛てた君は...
宛先も、居場所も分からないんだもの

後悔したって、叫んだって、何したって



「もう、遅いんだもんなぁ...」



薄暗く、荒れた部屋の中で、写真の中に映る君を見詰めながら、一人そんな事を呟いていた

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