No.23:手紙の行方
(不穏注意)
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拝啓____へ
こうして手紙を書くのは、何気に初めてだよね
君は今何をしてるのかな?そっちでも元気かな?
こっちは君が居なくててんやわんやでさ
「寂しい」「悲しい」「辛い」
皆口では言わないけど、顔で分かっちゃうの
普段は顔に出ない人もそうだから、それだけだったら僕は喜んでたんだろうね
「表情筋はちゃんとあったんだ」って
...でも、何だか今は気持ちが乗らなくて
忘れる為に仕事してたら、過労で倒れて周りに怒られちゃった(笑)
多分、君も怒るんだろうね、と言うか何回も怒られたし
...でも、仕方ないんだよ
君の居ない日々を紛らわす為には、何かに没頭してないと気がおかしくなりそうでさ
会いたくて会いたくて、堪らなくなるの
今だって、そうで...
...ねぇ、今すぐ君の所にいきたいよ
会って、抱きしめて、話したいの
...でも、そしたら、僕が抱きつく前に、君に怒られちゃうよね、
「追ってこないでね」って、「来たら絶縁だ」って言ってたもんね、
...嗚呼、ねぇ、なんで?どうして?
僕を置いていってりしたの?
会いたいよ、会いたいよ...
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...気が付くと、僕は眠っていた様だった
顔の下にある書いていた手紙の半分は、何故だか滲んでいて読めなかった
...まぁ、別に良いか
必死で書いていたはずなのに、頭は妙に冷めていた
...だって、手紙を宛てた君は...
宛先も、居場所も分からないんだもの
後悔したって、叫んだって、何したって
「もう、遅いんだもんなぁ...」
薄暗く、荒れた部屋の中で、写真の中に映る君を見詰めながら、一人そんな事を呟いていた
2/18/2025, 11:27:41 AM