私はずっと前から私だった
無力で泣き虫な臆病者なんて知らない。
そんなものは最初からいないよ。
昔から強くなりたくて頑張る私だ。
弱き者を救える強い自分になりたい
でもそう思うようなったきっかけは
よく思い出せない。
完璧になりたいから、褒められたいから、
誰かに見てほしいから、
そんな理由じゃなかった気がする
過去が嫌いすぎて、今を迷って、
未来へ進む気力が無くなった昔の私は、
どうして頑張ろうと思ったんだろう……
元々は努力なんてしても潰されるだけの環境にいた
全てを否定されて、周りには敵しかいない。
その空気に呑まれた私は、自分のすべてが嫌いだった。
どれだけ虐められようが、何を否定されようが
弱い自分が悪いと、周りに従おうと思った。
結果、私は大切なものを失った。
苦しくて、辛くて、悔しかった。
弱者は自分の大切なものすら守れない、
このままでは自分で幸せを遠ざけてしまう、
でも弱者の私は本物の強者にはなれないし、
大切なものを守れない、
だから、私をどん底に落とした奴くらいは
後悔させたかったんだ。
そんなこともあったかな。
弱くて何も出来ない過去を見て
少しは見返せてるかなって思えたら
強者に近づけてるのだろうか。
最初からいないよ、弱い私なんか。
誰にも見せちゃいけない。
ただ強くなりたいから、強くなるだけ。
誰も見ていない誰も知らない過去の秘密は
強く優しい仮面の中身かもしれない。
誰にも力を振らない臆病者が
密かに罠をしかけていたのはまた別のお話。
【消えない焔】
私はいつまでやり続けるつもりだろう。
どうせ将来使わないのに、
こんなことに時間を使うくらいなら
もっと他のことを頑張った方が何倍もいい。
今までもそうしてきたはずだ。
いくら興味のあるものでも、
将来いらないものなら切り捨てる。
それが一番いいんだ。
きっとこれでいいんだ。
ならここまでやってきた、
音楽だって辞めてしまえばいい
プロになる訳じゃあるまいし、いらないだろう
これさえ無くなれば、
私はもっと自分を磨ける、完璧に近づける。
早く消してしまおう。
無くさなければならない。
でもそんな音楽を
私は決断できずにズルズルと続けている
いくら続けたって私じゃ何も成せないことも、
時間の無駄だから辞めた方がいいことだって、
全部、わかってるんだよ。
なんでかな、辞めようとする度、
体に力が入らなくなって、
何にもやる気が出なくなるんだ。
もう十分やったから、これ以上は苦しいから、
これくらいで辞めるくらいがちょうどいい
どんな理由を探しても、
本気で辞める気にはなれなかった
いくら無意味なことでも、
どれだけいらないことだとしても
私は音楽がやりたかった。
それ以外は捨ててしまったから、
音楽まで失ってしまったら、
私は何のために生きているか分からなくなる
何を失ってもいいから、どれだけ間違えてもいいから、
私は音楽をしたいのかもしれない。
消そうとしても消すことのできない
何かがあるのだろうな。
音楽をやってきた長い道のりは
どんな炎でも燃えることの無い大樹として
私に深く根ずいている。
もし、辞めることになったいつかが来たらなら
私自身が樹に焔をつけよう。
その火傷は死ぬまで痛むことだろう。
【終わらない問い】
私は完璧にならなければいけない
好きな物を奪われてしまうから、
大切なものを守れないから、
全てが無くなってしまうから。
人には頼らず、自分の力だけで生きていけるように
もしもの時でも、這い上がれるくらいに
力をつけなければならない。
これはできたが、あれができない。
ならばもっと努力をしなければならない。
疲れを感じている。やる気が出ない。
まだまだ未熟な証だ。
これくらい耐えなければ、完璧にはなれない
また間違えた。次も失敗した。
チャンスは一度しか無いかもしれないのに
これではダメだ。
一度でできるようにならなければ、
完璧にはなれない
私は疲れていない。
自分に甘えては強くなれない。
もっと、もっと頑張らないと。
まだ何も出来てない。何も成せてない。
なんでこんなにできないんだろう。
甘えてないで、もっと努力しなきゃダメだ。
誰も私を見ていない。
どうせ誰も助けてくれないんだから、
自分で自分を守れるようにならないと。
そういえば、強いってなんだろう。
私は誰に見てもらうために頑張っているの?
本当に傷つきたくないなら
誰も見てない方がいいんじゃないの?
完璧になれば誰が見ても傷つかない。
でも私自身が私を傷だらけにしてしまう。
見てほしくない人に見てもらって何がいいの?
見てほしい人に見てもらえば、いいんじゃないの?
どうして?なんで?
わからない。
もう疲れた。何も考えたくない。
いつまで頑張ればいいんだろう。
目を瞑って、息を吸って
自分だけの世界に閉じこもる。
誰もいない一人の世界。
全部思い通りで完璧な妄想世界
私は私で、誰でもない人。
きっとそれだけでいい。また考えればいい。
今はまだ、必要ない。
【friends】
私は常に友達を疑っている。
もちろん君も、ある友だって、
本当に信じられるのか。
親しい者ほど疑え。
実際にそれを言ってみた友は
少し悲しい顔をしていた。
でもそれが私なのだと、
嫌いな訳ではないから許してほしいと言えば、
嬉しいような悲しいような声色で
わかったよ。と返事をした。
とても心苦しいが、
これが私流の人との関わり方なのだ。
過去に囚われすぎて、今が大事すぎて
未来へ進むのが怖いんだ。
今が続くように、でもすぐに逃げられるように、
大切な人達を疑い続ける。
ある友は、私に言った。
大好きだと、その言葉に嘘偽りはないと。
でも私はそれを信じきれないから
ありがとうだけしか言えなくて、
好きを返せないんだ。
臆病でごめんよ、嘘つきでごめんよ、
信じられなくてごめんよ。
小さい頃、
周りの友達に何を言っても否定されたことがあってさ
誰かと関わる度、その記憶が脳裏にちらつくんだ。
誰かに手を伸ばされても、
嬉しいんだけどその手をとることはできない。
本当にごめんね。
信じているよ。
信じていたから、信じられないんだ。
【光と霧の狭間で】
ずっと届かない光があったんだ。
それは、真面目に努力を続ければ何にでもなれる
小さい頃からの信念を簡単に否定した。
そして僕は、光のない場所へと落ちていった。
努力さえすれば誰でも何にでもなれるなら
この世に面接や選抜なんて必要ない
ただ努力を続けるやつだけ選べばいい。
でもそんな世界じゃないから
真面目が損をする。
才能のあるクズと努力を続ける真面目とで
クズのがすごいと言われる世界で、
自分の才能を探して、いくら嫌いなものでも
適応することをしていた方が儲かるなら
どうして努力を続けようと思えるのか
ある友に聞いたことがある。
才能がないならやめた方がいいだろうかと。
少し考えた後、こう答えた。
嫌なら続ける必要は無い。
しかし好きならばそれだけで続ける価値はある
才能があろうがなかろうが、やめたら皆等しく負けだ
やりたいことをしたらいいと思うよ、綺麗事だけどね
どうして努力を続けられるのか
それがわかった気がした。
まぁそれで頑張ろうって思えるほど
立派な人間じゃないけれど
頑張る意味があるなら少しだけやってみようって思えた
努力するのは苦手だけどさ
手を伸ばすくらいは許してほしいかな。