【無色の世界】
全部許してほしかった。
今までにしたこと
これからするかもしれないこと
何もかも許されて、そこから始められたら
全部丸く収まったのに。
許してほしいと言っても、
何か心当たりがある訳じゃない。
でも何もしてないとは言いきれないから。
自分では正しいと思っていても、
誰かにとっては間違っているかもしれない。
考え出したら終わらないけど
無意識に誰かを傷つけていると思うと
怖くて仕方がない。
怖いから逃げて、
逃げれなかったら嘘をついて、
嘘がバレたら、違う嘘で上塗りする。
本当に最低な生き方だ。
傷つけたくないといいながら、
自分を守ることしか考えていない
ただの自己中だ。
ちゃんと向き合えないところ、嘘つきなところ
逃げてばかりなところ、弱虫なところ
どうか許してほしい。
そう癖づいてしまっている。
真っ白な紙に、真っ黒なインクを垂らしたら、
もう元には戻れないように。
嬉しいこと、楽しいこと、
悲しいこと、苦しいこと、
全部溜め込んで誰にも言わずに
嘘で塗り替えてしまうのは、
私自身がもう戻れないからなんだ。
それも含めて全部、許してくれたら、
また無色に戻れるのかな。
嘘をつかずに本音で、、
いや、
実は自分が一番戻りたくないのかも。
本当は誰よりも傷ついてなくて、
みんなより苦しくないのに、
こうやって辛そうにしてるって思われたら
何が正しいのか分からなくなってしまうから。
せめて間違いだって思わせて。
【言葉にできない】
言葉にしていないことを察してくれる人は
信頼できる人だと知った。
言葉にしたことを覚えてくれる人は
親しくなれる人だと知った。
言葉にしてはいけないことを教えてくれる人は
手放してはいけない人だと知った。
言葉にしなければいけないことを伝えるべき人は
大切な人だと知った。
失ってから、知ったこと。
これが言葉にできなかった人の末路だ。
言葉にしなきゃ伝わらない。
そんなことは知っている。
思いを言葉にすること
受け入れてくれると信じること
それがどれだけ難しいか。
思いを言葉にできないこと
受け入れられずに裏切られること
それがどれだけ恐ろしいか。
言葉にしなきゃ伝わらない。
その言葉が酷く重く感じるのに
実行する勇気が出ないこと。
それがどれだけ悔しいか。
そう思うことしかできない自分を
何よりも恨めしい。
これを不器用で片付けていいものなのか
私にもよく分からない。
心配しなくても大丈夫だと、必ず受け入れてあげると、
なんと言われようと私は本音を吐き出せないだろう。
誰の耳にも届かなかったこと
簡単にへし折られたこと
大切な人に悪口を伝えられたこと
それを自分が言ったことにされたこと
この最悪が私の中に根付いている限りは、
誰とも本音で話せない。
いや、本音というよりかは、
本当に話したいこと、相談したいこと、
たくさんあるはずなのに言葉に詰まってしまう。
おかげで私が正しく言葉を使えるなんて
思いたくはないけど、実際そうなんだろうな。
嫌な過去ばかり覚えている。
人格を記憶ごと変えて、全部消せたらいいのに。
私にこの過去は辛すぎる。
ほんと、忘れてしまいたい。
【それでいい】
過去に縛られたままだと
目標の成功の可能性が下がるらしい。
また同じ失敗しないように、
次はどうにかできるように、
なんだか成功しそうな気がするけれど
違うようだ。
何も縛られず、その目標ひとつにまっすぐ取り組める
それが出来なきゃ、大きい壁は越えられないみたい。
心の健康というのは能力の調子に大きく関わる。
いつも調子が良くても、
急に友達と関係が悪くなった。
それだけで調子は変わってくる。
それを踏まえると
常に心の内に過去の過ちがあれば
仕方の無いことかもしれない。
私も髪を切ってから少しだけ調子が良くなった。
髪を伸ばして欲しい なんて過去に言われたことがある
いつか私の髪をお洒落に飾り付けたかったらしい
髪の長い自分は、その言葉を思い出させる。
鏡を見る度にあの夏を思い返してしまう
心が持たない。
でもそれは髪を切るに至らなかった。
あの頃を覚えていることは私の罪だったから。
少しでも償えたらって、これでいいって思えたから。
髪を切ったきっかけは単純だった。
忘れてしまいたい。ただそれだけ。
時間はもう十分過ぎて、新しい友人とも出会えた。
その友人に申し訳ないとも思ったんだ。
ずっと過去に縛られて、
しっかり向き合うことができないのは、
償いを理由にただ逃げてるだけだと思ったから
償う理由ごと忘れてしまえば、
今の友人達と向き合うことができるだろうか。
あの夏の日が起こったのは、
私があの子とちゃんと向き合えなかったからだ。
だから今度は間違えない。
いや、間違えてもしっかり向き合いたい。
あの夏の罪は忘れていいのだろうか
こんな私が前に進んでもいいのだろうか。
これは、それでいいって誰にも言われない。
この罪は私とあの子しか知らない。
私かあの子しか許しを与えられない。
そして絶対にあの子は許してはくれない
自分自身がそれでいいんだって言うしかない
その選択に胸を張れずとも、
後ろを振り返ることがあるとしても、
それでいいって言うしかない。
自分が自分を一番許せなくても、
また同じ失敗をしたとしても、
それでいいって思うしかない。
後ろを向いて歩くより、
前を向いて振り向きながらの方が歩きやすい。
誰もが知っている。
失敗を繰り返したくないのはみんな同じだから、
過去を思いながら歩くことは誰だってしてしまう。
まだ未練があってもいい。
自分を許せなくてもいい。
前だけでも向いてみて。
それでいい。
きっとそれだけいいんだ。
【エイプリルフール】
嘘は泥棒の始まり。
人を騙し、傷つけることは許されない。
それほどまでに重い罪なのだ。
でも今日だけは、その禁忌を犯していいみたいだ。
もし相手を傷つける結果になったとしても
エイプリルフールだからと許される
それって良いことなのか悪いことなのか分からないけど
罪を犯してもいい日を作ったのは、
誰しも、一度は悪いことをしてみたいと
心のどこかで思っているのだろう。
普段はいけないことを、してもいいことになる。
この上ない極上の快感だ。
今のままで十分幸せで、何不自由していないのに、
足りなくて、満たされないのは、
そういうことなのだろうね。
幸せを求めている訳じゃない。
昨日と同じじゃつまらない。
いつもとかけ離れた物。非日常がほしい。
楽しい楽しい毎日が。
嘘をつける日ということは、
そんな欲望を叶える重要な日なんだ。
嘘をつくことが日常になったこの国は
こんな素敵な日を気にもしていないだろうけどね。
嘘は方便なんて抜かすくらいだ。
まぁそんなこと私が一番言えないか、
誰かを楽しませるために、本来の自分隠すために、
利己的で最低な嘘をばらまいている。
この盾なしで、私が世の真実に耐えられるはずもない。
どこかで聞いた無知な方が幸せというのは
嘘では無いのだろう。
吸って吐くように嘘をつかなきゃ生きていけない
この世界の方がよっぽど嘘であって欲しかった。
そう思ってしまう私は世界よりも罪深いかもしれない。
【幸せに】
同じような性格の人間が、
それぞれが全く違う環境で過ごしたら
どちらの方が幸せだろうか。
どちらも平等に恵まれ、平等に恵まれないこと
その上で環境が全く異なることを条件とする。
ここでの環境は家庭、友人、学校や職場などの
"人間関係"のこと。
そんな実験でもされているかのような
誰も知ることのない、知る必要もないお話。
一人は家族に愛され、何不自由ない生活を送ったが
周りに恵まれず、絶望へ堕ちてしまった。
『家族以外誰も信じたくない。
友人も、親友も、所詮ただの他人なんだ。』
もう一人は周りに愛され、楽しい毎日を送ったが、
家族に恵まれず、既に絶望へ染まってしまった。
『家族なんて所詮縁の切れない他人だ。
特別な時間を過ごした友人こそ信じたい。』
二人は全く違う人間のように思える。
一生出会うことのない、相容れない二人だろう。
しかし、類は友を呼ぶという
縁とは不思議なものだな。
絶望の底で出会った二人は、
どちらより深く、暗い絶望の底にいるかを
競っているようだった。
お互いが当たり前のように幸せだった環境を
相手が持っていないことに心底驚いていた。
同じくらいの深さで、同じくらいの暗い場所で、
絶望に染まった顔一つせず、
幸せそうに、自分たちの闇を語り合っていた。
二人が出会うことで、
お互いの恵まれなかった所が報われるのでしょうか。
どちらも絶望へ堕ちるという不幸にはなったが、
本人たちは幸せそうだったため、
どちらも幸せである。
優劣は考えられなかった。と結論付ける
※この話は全てフィクションです。
あとがき (読まなくても大丈夫です。)
本当は物語にしたくて、シリーズ物的な感じで
お題に合わせながら、終わるまで書いていく
みたいなことをしたかったのですが、
書きたい時に書きたいことが書けなくなって
自分の重荷になると思ってやめちゃいました。
だから今回は終わり方が変な感じする。
まぁいいか。書きたいこと書けたし。
めでたしめでたし。