【欲望】
才能があって、環境も良くて、
ストイックで、努力家で、
どれだけ努力しても届かないような
住む世界が違う人達。
いわば憧れの存在。
いくら手を伸ばしても届かない。
背伸びしても、跳んでも、同じことだ。
遠い遠い場所にいる。
星を掴もうとするくらい無謀な行為だ。
それでも手を伸ばすのを辞められないのは、
あの輝きから目を逸らすことはできないのは、
私が欲張りだからでしょうか。
才能もないし、努力すらまともにできない
そんな夢想家に叶うはずないって、
分かってるよ。
興味のある知識を吸収しても、
珍しい知識を学ぼうとしても
全部浅い所で終わってしまう。
浅く知ったところで何ができると言うんだ。
私はどうせ何も成せない。
興味のあることが才能というのならば、
私は興味の無いものに出会ったことがない。
全部知りたくて、みんな欲しくて、
好奇心が止まらない。
でもどうせそんな時間はなくて、
諦めちゃうんだ。
一つを学んでしまえば、
他のことはもう出会えないと思って、
浅くてもいいから全部を知る。
だから深く知識のある人達は
努力なんて諦めてる私には届かない。
分からない、知りたい、教えてくれ。
音楽も、学問も、趣味も、友人も、
等しく深く広く知りたい。
一芸じゃ物足りないから、
二も三もそれ以上を求めてしまう。
私は、この世で一番強欲な人間だ。
あの日見た夜空が忘れられない。
それはそれは美しい星空だった。
見た誰しもがあんな星になりたいと思うだろうよ。
だから私は星空になりたかった。
これは とても素敵なことで、本当に残酷なことだ。
【0からの】
過去にやってしまったことは消えないという。
そして、それが皆に知られているとしたら
もう取り返しがつかないだろう。
たとえ更生して自分を変えようと動いたとしても、
誰も許してはくれない。
どれだけ変わろうとしても、
許してくれと乞い願おうとも、
過去は消えないし、罪も無くならない。
無くならない限り、許してくれる人もいない。
私も重い罪を犯したことがある。
誰にも知られてはいない。
いや。二人だけが知っている。
取り返しがつかないほどの重罪だ。
謝ったとしても、自己満だと非難され、
謝らなくても、罪を理解していないと謝罪を要求される
一度広まってしまえば、
私はもう二度と社会には戻れない
だから関係を絶って、お互いが知らないところで
好きなように生きていく。
それが最善だった。
あの子がまた被害者にならないことを願う。
もしも、本当に罪が広まってしまったら、
友人たちは私から離れていくだろうか。
若しくは、私を信じてくれるのだろうか。
どちらかは分からない。
でも、私は変わろうとしている。
罪だけを見たら、私は確かに犯罪者だ。
友人たちは今の変わろうとしている私を見ている
偽善だと言って離れる。
罪こそが嘘だと言って信じる。
過去の罪から学んでいると言って許す。
どんなにせよ、あの頃から変わった私を見てるのだ。
ちゃんと私を見ようとしてくれるだろう。
過去は変えられない。
それが罪なら誰も許してはくれない
終わってしまったものは、もうふりだしには戻れない
でもこれから変わろうとすることができる。
もし罪が露見しても、
こんなことする奴じゃない
という信頼さえあれば、
それは罪が軽くなったと思っていいのではないか
少しは楽になっていいんじゃないだろうか
ほんとに少しだけだけれどね。
罪という自覚があるなら、罪悪感を背負って
これから生きていくことは絶対だ。
でもそれが重すぎたら、
結局、何も始められない。
反省しながらずっと生きて、
変わろうとする努力をしたら、
ほんの少しだけ許してくれるだろう。
そこからまた進んでいけばいい。
【誰よりも】
誰も私の事なんて見ていない。
何をしようと、どう頑張ろうと、
だれも見向きもしない。
別に見られなくてもいいと強がったり
どうせ見てもらえたとて、と諦めたりして、
どうにか自分を納得させていた。
そうだとして、血反吐を吐くくらい努力して
心が折れても諦めずに進んでも、誰も見てくれない。
そんな世界が嫌にならない訳がない。
だから努力なんてしたく無くなった。
どうせ見てもらえないなら、
落ちぶれても同じこどだろう。
努力をしなくても、人並みにはできるものがあった。
それだけで皆は私をすごいと称える。
でも私はすごいとは思えなかった。
あの時、血反吐を吐くまでやってきたことは
無駄だったのかな。
このままほとんど何もせずに居ていいのかな。
そんなことばかりが思い浮かぶ。
才能があって褒められるならそれでいいはずなのに
どうしてこんなも悲しいんだろう。
誰よりも努力して手に入れた力よりも
努力しなくても元々持っている力の方が
褒められてしまう世界なんて、どうでもいい。
嗚呼、誰でもいいから私を否定してくれ。
才能だけじゃダメだってことを、
それを伸ばす努力が必要だって。
才能がなくても好きなことをしていいんだって。
これじゃ、私は才能しか信じなくなる。
努力の強さと才能の弱さを知らずに
どうして素晴らしい人間になれようか。
好きなことを努力しても見てもらないけど
嫌いなことでも才能があれば見てもられえる。
この世界で生きて行くなら、
少しくらいの我慢が必要なのかな
努力してでも手にいれるものに価値なんてない。
自分の才能を見つけて、
それに合うことをすればいい
それで何がいけないの。
なんで胸が苦しくなるの。
ねぇ、誰か助けて。
【バレンタイン】
甘いものを食べて、
なんだか幸せな気分になった。
あぁ、楽園はここにあったんだ。
しかし、やる事が山ずみなのをふと思い出して
現実に戻される。
幸せは長く続かぬものか。
今日くらいは現実なんて忘れて、
溶けてしまいたい…
努力なんてしなくとも成功して
全てが上手くいく。
好かれたい人に好かれて、
嫌いな人には嫌われる。
好きなものを好きなだけ食べても
病気にならないし、
やりたいことやって、好きなことしても
誰にも悪く言われない。
そんな甘すぎる世界だったら
苦い現実もそう悪くはないかもしれないな。
努力をしても、報われる訳じゃない
何もかも簡単にはいかない。
嫌いなことでもやらなければならない
やりたいことが自由にできるとは限らない
こんな理不尽に立ち向かったとしても
誰かが褒めてくれる訳でもない。
これだけ苦い世界なのに、
誰も変えられないし、消えることもない。
人が甘いものが食べたくなるのは、
現実が苦すぎるからなのかもね。
【この場所で】
『桜が綺麗ですね。』
この場所でまた会いましょう という意味らしい
返し方は忘れてしまったけれど。
そんな綺麗な言葉を紡げるような人になりたかった
綺麗な言葉が似合う人間になりたかった。
継ぎ接ぎで中身のない、
言葉とすら言えないような叫びを並べて、
もうどうしようもないことを嘆く
見るに堪えない醜い人間だ。
"桜が綺麗ですね"なんて言われていたとしても
きっと私は覚えていないんだろうな。
似合わないのも当然か。
大人になったら__
そんな約束をどこかしたような。
何をするかという肝心な部分はあまり覚えがない
その子に、髪を伸ばしてって言われていた気がする
ずっとずっと伸ばしてて、背中が隠れるくらいまで。
最近バッサリ切ってしまった。
髪を切ってみると色々と楽で、結構気に入った
なんで今まで伸ばしていたんだろう。
ずっと切りたいとは思っていたんだよな。
話が逸れてしまったな。
私が髪を少し切るだけで怒っていたっけ
なんでなのか教えてくれた記憶はある。
服や髪に無頓着だった頃の私だから、
そんな特に印象に残らなかったのだろうか。
確かその子が"桜が綺麗ですね"って言っていた
綺麗な言葉が似合うひとだった。
大人っていつからなのかはよく分からないし、
どこで会うかも忘れてしまったけれど、
多分会っては行けない人だ。
なんでなのかは分からない。
全部、覚えがない。
でもほんとに忘れたことにするのはどこか寂しい
…わかっているんだ。本当は。
後悔してもどうしようもないことも
頭ではわかってるんだよ。
あの子も、あの言葉も、あの場所も。
覚えていないことにしたくて、
もう思い出したくなくて、
でも本当になかったことにするなんて、
消え去ることなんてできないよ。
私はあの子の象徴とも言える髪を切ってしまった。
どこかスッキリしたのも、そのせいだろう。
あの夏から少しずつ前へ進んでいる
きっとそうに違いない。
またひとつ、あの子の名残が消えてしまった。
悲しいような、嬉しいような、
髪を切った後の私なら私だって気付かれずに
貴女に会えるだろうか。
『桜、綺麗でしたね。』