彗星

Open App
5/17/2026, 11:51:03 AM

異世界崩壊事変ーリンク編ー 第二話:いつか

 リンクはシーカーストーンの能力の一つである『マグネキャッチ』で、金属製の本棚をどかした。
 すると、通路が隠されていた。
リンク(ここが通路というのが分かるように金属製にしたのか……?)
 リンクは警戒しながら手にした松明で照らしながら進んでいく。
 通路を抜けると、水の上に木の橋が浮かんでいた。
リンク(船着き場か)
 ここから入ることもできたな、と悔やみながら引き返して図書館に戻る。
 そして、他にも金属製の本棚をどかしてみる。
リンク(こっちは古代注が出たところ……でこっちは……)
 リンクは中を覗いて驚いた。
 なぜなら、そこが王の書斎だったからだ。
リンク(こんなところにあるんだな……じゃなくて!さすがに入れん!!)
 一応一通り見てみて特に重要そうな物が無かったので、図書館を後にした。

❄︎ ❄︎ ❄︎

 リンクは外に出た。
 すると、またあのジジジッという音。
リンク「またかよッ!」
 リンクは転がるようにしてビームを避けると、本丸へ駆けていく。
 しかし、上から朽ちたガーディアンが落ちてきた。
リンク「えっ!?」
 ギリギリ止まって直撃を避けるが、あの落下速度と重さの物が当たっていたらと想像するだけで震えた。
 その後は慎重に進んでいくが、至る所に砲台型がいて、気が抜けない。しかも砲台型は照準から発射までが早いため、なおさらだ。
 砲台型から逃げるため、ドーム状の建物に入る。
リンク「さすがにこの建物を破壊できるとは思えないが……」
 すると、リンクの背後で格子状の扉が閉じた。
リンク「!?」
 リンクは慌てて開けようとするが、さすがに重すぎる。マグネキャッチも使えない。
 閉じ込められたと思ったとき、上から魔物が落ちてきた。
リンク「………」
 リンクは目の前の敵を呆然と見上げた。
 白髪のたてがみに立派な角、屈強な体。
 白髪のライネルである。
 正直、ガーディアンよりも戦いたくない相手だ。
 しかし、倒さないと出られなさそうだ。
リンク「ッ……」
 リンクは白髪のライネルを見据えてマスターソードを抜く。
 白髪のライネルの咆哮が響き渡った。

5/17/2026, 6:52:17 AM

異世界崩壊事変ーキノピーチ編ー 第二話:幽霊船

キノピーチ「うーん……」
 キノピーチは、顔に当たる冷たい感触で目を覚ました。
 そのままむくりと起き上がる。
キノピーチ「確か、引き摺り込まれたんだっけ……」
 キノピーチは、あのたくさんの白い手を思い出し、身震いした。
 上を見れば、雨が降っている。
 そして何より、キノピーチがいるところが船なのだ。
キノピーチ(いつの間に……それにボロボロ……)
 床には穴があき、帆も原型を留めていない。何か書いてあったのだろうか、線のようなものが見えなくもない。
 気味悪く思ったキノピーチはすぐにでも出たかったが、その術が分からない。
 キノピーチは、仕方なく中に入ることにした。

⋈ ⋈ ⋈

 木の扉を開けて中に入る。
 すると、背後で木の扉が倒れた。
キノピーチ「ひっ!」
 慌てて振り返るが、木の扉が粉々になっていただけで、あとは何も無かった。
 結局、キノピーチは劣化で壊れたのだと思い込むことにした。
 船内は暗く、ほとんど何も見えない。
 近くにあったランタンにマッチで火を灯すと、その手を掲げた。
 案の定、中も物が散乱して悲惨だったが、光源がある分、少し安心感があった。
 すると、奥の棚にある少し蓋の開いた箱から何かが覗いていた。
 キノピーチは近づいて蓋を開けた。すると、その拍子に棚が倒れてきた。
 後ろに飛び退って躱すと、散らばった物の中から、紅く輝く宝石を拾い上げた。
 それを目線の位置まで持ってくると、まじまじと見つめた。
キノピーチ(濁ってない……それに、傷一つついてない……)
 宝石はランタンの光を反射して、紅く光った。

5/12/2026, 11:37:27 AM

異世界崩壊事変 ーロゼッタ編ー 第一話:墓地の館

 ロゼッタは、星杖を掲げ飛行魔法を発動させると、ゆっくりと降り立った。
ロゼッタ「ここは……」
 ロゼッタは辺りを見回す。
 薄く霧がかかって少し視界が悪いが、墓石のようなものがたくさん並んでいた。
ロゼッタ(墓地……)
 その墓石ひとつひとつの前には、赤いほおずきが供えられていた。
 ロゼッタはほおずきに触れる。
 見かけ倒しなほおずきを、小さい頃誤って食べた記憶がある。
ロゼッタ「苦かったんだっけ」
 ロゼッタはふっと笑うと、立ち上がった。
 遠くに大きな館が見える。
 とりあえずあそこに向かえば人に会えると思ったのだ。
 枯れた木の枝が揺れ、鳥がバサバサと飛ぶ。
ロゼッタ(気味が悪い……)
 一刻も早くあの館に向かわねばと、ロゼッタは急いだ。

✧ ✧ ✧

 館の扉の前まで来て、ロゼッタは立ち止まった。
 近くで見ると、さらに大きい。
 ロゼッタがコンコン、とノックすると、扉が開いた。
 だが、どういうわけか、誰もいなかった。
ロゼッタ「失礼します……」
 ロゼッタは小声で言うと、館の中に入っていった。
 進んでいくロゼッタの背後で、扉が静かに閉まった。
 そんなことには気づかず、廊下を歩き続ける。
ロゼッタ「!」
 だが、人の気配を感じ、ロゼッタは振り返った。
 しかし、いたのは優しそうに目を細めた女の人だった。
女性「あらあら、どうされたのです?そんなに警戒されて……」
 その女性は手を頬に当て、困ったような顔をする。
ロゼッタ(幽霊……じゃないですよね……)
女性「きっと何かあったんでしょう。どうでしょう、一緒にお茶でも?」
 女性は柔らかく微笑む。
ロゼッタ「……よ、よろしいのですか?」
女性「ええ、ぜひぜひ!」
ロゼッタ「……なら……お言葉に甘えて……」
女性「ふふっ、決まりですね!」
 女性は楽しそうに歩いていく。
 その後ろをロゼッタは着いていくが、微笑んだ時のあの赤い瞳が妙に脳裏に焼き付いた。

5/10/2026, 10:31:08 AM

異世界崩壊事変ーリンク編ー 第一話:嵐の中のハイラル城

 地面に衝突する直前にパラセールを開いて衝突を免れたリンクは、上を見上げた。
 雨が降りしきる中、目の前には、大きな城がある。
リンク「ハイラル城……」
 だが、ハイラル城は瓦礫が散乱し、魔物が棲み着いている。
 リンクが城に入るか迷っていると、ふいに赤い光の中に入った。
 続いて、赤い光が消えると、ジジジッという音も聞こえる。
 リンクがバッと顔を上げると、真上には飛行型ガーディアンが、リンクに照準を当てていた。
リンク「ガーディアンッ!?」
 リンクは飛行型のビームを避けると、門を潜って走り出した。
 中にも、ガーディアンがたくさんいる。それらは、リンクを視認すると照準を当て、ビームを撃ってくる。
リンク「クソッ……!」
リンク(確か東の坑道から図書館に行けたはず……!)
 記憶を頼りに走っていくと、東の坑道を見つけた。
 リンクはそこに駆け込むと、息を潜めた。
 照準の音はしない。坑道内も特に敵はいない。
リンク「ん?」
 リンクはしゃがみ込んだ。
リンク「なんで鍋があるんだろう……?」
 まあいいかと、壁にたてかけてあった松明に火をつけ進んでいく。
 しかし、行き止まりだった。
 リンクは上へ登れないかと壁を触ったが、ぬるぬるとしていて登れそうにない。
リンク(どうする……?さすがにまたあの危険地帯を抜けるのは嫌だぞ……)
 リンクな途方に暮れていると、地面が揺れた。
リンク「!?」
 リンクは伏せて揺れに耐える。
 後ろの岩が起き上がった。
 リンクは振り返り、嫌そうに顔をしかめた。
リンク「イワロック……」
 イワロックの巨体を見上げると、先手必勝とばかりにリンクはマスターソードを抜いて飛び上がった。
 イワロックの弱点はついている鉱床――そこを叩けばいい。
 リンクは素早く上に乗ると、鉱床を斬りつける。
 だが、さすがとも言うべきか、なかなか鉱床は壊れない。イワロックはリンクを振り下ろした。
 リンクは着地すると、群がってくるイシロックをはらいのける。
 そして今度はリモコンバクダンを取り出すと、イワロックの腕を破壊した。
 そうすれば、しばらくはダウン状態だ。
 リンクは威力の高い大剣に持ち替えると、高く飛んだ。
 そこから落下の勢いで大剣を叩きつける!
リンク「はあぁっ!!」
 大剣は鉱床を粉砕し、イワロックは消滅した。
 リンクはイワロックが消滅したことで封じられていた上昇気流が発生し、リンクはパラセールで上昇気流にのった。
 着地すると怨念の目がいたが、マスターソードで倒すと、怨念が消え、図書館に出た。
リンク「ふぅ……」
 リンクは図書館の探索を始める。
 そこで見つけた、開いた状態の書物に目が留まった。
『ゼルダ姫はフルーツケーキがお好きらしい。食べると研究に集中できるのだとか。』
リンク「……そう、なんだ……」
 残念ながら、リンクはゼルダ姫という人物を知らない。
 ただ、何か大切なことを忘れているような気がしてならないのだ。

5/9/2026, 4:08:28 PM

異世界崩壊事変ーキノピーチ編ー 第一話:死者の入り江

キノピーチ「きゃあああーーー!ぶふっ」
 ぼふっと砂埃をあげて地面に顔から落ちたキノピーチは、ゆっくりと起き上がった。
キノピーチ「……砂浜?」
 頭をふるふると振って砂を落とすと、辺りを見回した。
 砂は柔らかく温かで、貝殻が落ちている。小さなカニもいる。
 そして、目線の先には、見慣れた緑の物体。
キノピーチ「土管がある……」
 キノピーチは立ち上がると、土管へ向かっていった。
 湖を渡らないといけないが、キノピーチは、特殊能力――二段ジャンプで越えていった。
 キノピーチは土管の縁に立つと、おそるおそる足を伸ばして、ゆっくりと入っていった。

⋈ ⋈ ⋈

 土管から出ると、また湖が続いていた。
 キノピーチは浮き輪で浮いて寝ていたクリボーを踏んで砂浜に着地すると、次の湖も越えていった。
 しかし、先がなく、下の方の海に飛び込むしかなさそうだった。
キノピーチ「腹をくくれ……!…スウゥ……。…ッ!」
 キノピーチは大きく息を吸うと、意を決して海に飛び込んだ。
 目をゆっくりと開ける。
 目に水が入って滲んでいるが、色とりどりのサンゴ礁が広がっていた。
 キノピーチの口の隙間から、少しの泡が出ていく。
 慌てて口を閉じると、腕でかきわけるようにして前に進んでいく。
 海の中には、プクプクやゲッソーがいた。あと、初めて見るトゲの生えた大きな丸い魚も。そいつはキノピーチを見つけると追いかけてくるので、キノピーチはサンゴ礁などを上手く利用して撒いていた。
 しばらく泳いでいると、透明な土管を見つけた。
 底に降りて大丈夫かどうか確認したあと、キノピーチは入っていった。
 どうやら、土管の中には水がなく、息ができた。
 やがて海中が見えてくる。
キノピーチ「わあ………」
 キノピーチが大きく開いた視線のさきには、ボロボロの4隻の沈没船だった。
 キノピーチは初めて見る大きな沈没船たちに、目を輝かせた。
 しかし、見惚れているときに、ガクンと体が止まった。
キノピーチ「……へ?」
 足を何かに掴まれているような気がして振り返ると……。
 手首から下がないたくさんの白い手が、キノピーチの足を掴んでいた。
キノピーチ「きゃああっ!!」
 キノピーチは咄嗟にもう片方の足で蹴ろうとしたが、頭を抑えつけられてしまった。
キノピーチ「ぐッ……!」
 何とか抵抗しようとするが、何も意味は無かった。
 土管にピキピキと亀裂が入っていく。
キノピーチ「う、そ……ッ」
 キノピーチが声を震わせて言うと、土管がバリンッ、と割れた。
 藻掻くが、それも無意味で底に引き摺り込まれていく。
キノピーチ「だ………ごふっ……!」
 暗い海中で引き摺り込まれていくキノピーチを、魚たちは無情に横切るだけだった。

Next