彗星

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異世界崩壊事変 ーロゼッタ編ー 第一話:墓地の館

 ロゼッタは、星杖を掲げ飛行魔法を発動させると、ゆっくりと降り立った。
ロゼッタ「ここは……」
 ロゼッタは辺りを見回す。
 薄く霧がかかって少し視界が悪いが、墓石のようなものがたくさん並んでいた。
ロゼッタ(墓地……)
 その墓石ひとつひとつの前には、赤いほおずきが供えられていた。
 ロゼッタはほおずきに触れる。
 見かけ倒しなほおずきを、小さい頃誤って食べた記憶がある。
ロゼッタ「苦かったんだっけ」
 ロゼッタはふっと笑うと、立ち上がった。
 遠くに大きな館が見える。
 とりあえずあそこに向かえば人に会えると思ったのだ。
 枯れた木の枝が揺れ、鳥がバサバサと飛ぶ。
ロゼッタ(気味が悪い……)
 一刻も早くあの館に向かわねばと、ロゼッタは急いだ。

✧ ✧ ✧

 館の扉の前まで来て、ロゼッタは立ち止まった。
 近くで見ると、さらに大きい。
 ロゼッタがコンコン、とノックすると、扉が開いた。
 だが、どういうわけか、誰もいなかった。
ロゼッタ「失礼します……」
 ロゼッタは小声で言うと、館の中に入っていった。
 進んでいくロゼッタの背後で、扉が静かに閉まった。
 そんなことには気づかず、廊下を歩き続ける。
ロゼッタ「!」
 だが、人の気配を感じ、ロゼッタは振り返った。
 しかし、いたのは優しそうに目を細めた女の人だった。
女性「あらあら、どうされたのです?そんなに警戒されて……」
 その女性は手を頬に当て、困ったような顔をする。
ロゼッタ(幽霊……じゃないですよね……)
女性「きっと何かあったんでしょう。どうでしょう、一緒にお茶でも?」
 女性は柔らかく微笑む。
ロゼッタ「……よ、よろしいのですか?」
女性「ええ、ぜひぜひ!」
ロゼッタ「……なら……お言葉に甘えて……」
女性「ふふっ、決まりですね!」
 女性は楽しそうに歩いていく。
 その後ろをロゼッタは着いていくが、微笑んだ時のあの赤い瞳が妙に脳裏に焼き付いた。

5/12/2026, 11:37:27 AM