彗星

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異世界崩壊事変ーキノピーチ編ー 第一話:死者の入り江

キノピーチ「きゃあああーーー!ぶふっ」
 ぼふっと砂埃をあげて地面に顔から落ちたキノピーチは、ゆっくりと起き上がった。
キノピーチ「……砂浜?」
 頭をふるふると振って砂を落とすと、辺りを見回した。
 砂は柔らかく温かで、貝殻が落ちている。小さなカニもいる。
 そして、目線の先には、見慣れた緑の物体。
キノピーチ「土管がある……」
 キノピーチは立ち上がると、土管へ向かっていった。
 湖を渡らないといけないが、キノピーチは、特殊能力――二段ジャンプで越えていった。
 キノピーチは土管の縁に立つと、おそるおそる足を伸ばして、ゆっくりと入っていった。

⋈ ⋈ ⋈

 土管から出ると、また湖が続いていた。
 キノピーチは浮き輪で浮いて寝ていたクリボーを踏んで砂浜に着地すると、次の湖も越えていった。
 しかし、先がなく、下の方の海に飛び込むしかなさそうだった。
キノピーチ「腹をくくれ……!…スウゥ……。…ッ!」
 キノピーチは大きく息を吸うと、意を決して海に飛び込んだ。
 目をゆっくりと開ける。
 目に水が入って滲んでいるが、色とりどりのサンゴ礁が広がっていた。
 キノピーチの口の隙間から、少しの泡が出ていく。
 慌てて口を閉じると、腕でかきわけるようにして前に進んでいく。
 海の中には、プクプクやゲッソーがいた。あと、初めて見るトゲの生えた大きな丸い魚も。そいつはキノピーチを見つけると追いかけてくるので、キノピーチはサンゴ礁などを上手く利用して撒いていた。
 しばらく泳いでいると、透明な土管を見つけた。
 底に降りて大丈夫かどうか確認したあと、キノピーチは入っていった。
 どうやら、土管の中には水がなく、息ができた。
 やがて海中が見えてくる。
キノピーチ「わあ………」
 キノピーチが大きく開いた視線のさきには、ボロボロの4隻の沈没船だった。
 キノピーチは初めて見る大きな沈没船たちに、目を輝かせた。
 しかし、見惚れているときに、ガクンと体が止まった。
キノピーチ「……へ?」
 足を何かに掴まれているような気がして振り返ると……。
 手首から下がないたくさんの白い手が、キノピーチの足を掴んでいた。
キノピーチ「きゃああっ!!」
 キノピーチは咄嗟にもう片方の足で蹴ろうとしたが、頭を抑えつけられてしまった。
キノピーチ「ぐッ……!」
 何とか抵抗しようとするが、何も意味は無かった。
 土管にピキピキと亀裂が入っていく。
キノピーチ「う、そ……ッ」
 キノピーチが声を震わせて言うと、土管がバリンッ、と割れた。
 藻掻くが、それも無意味で底に引き摺り込まれていく。
キノピーチ「だ………ごふっ……!」
 暗い海中で引き摺り込まれていくキノピーチを、魚たちは無情に横切るだけだった。

5/9/2026, 4:08:28 PM