SAKURA・Lemon

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6/4/2024, 11:41:47 AM

_狭い部屋_

「…は、?」

突然、猛烈な睡魔に襲われそこで意識が途切れた。
目が覚めると、先に視界に入ったのが、真っ黒な壁、壁。
いったいここは何処なんだ?
状況を整理しよう…。まさか、突然の睡魔は計画されてて、俺を眠らせている間、知らない場所に連れてきたんだろうか、それとも、これは何かのTV番組なのか…。

突然の出来事で、焦りと不安で考え込んでいたので周りを見ていなくて分からなかったが、この狭い部屋には数名の人が居た。明らかにサラリーマンな男性。高校生に、中学生ぐらいの子供。若い女性までお年寄りまでいた。
みんな不安そうに、狂ったように焦っている奴もいる。まぁ俺みたいに冷静でいられるのもおかしいけどな。(笑)

すると、さっきまで怪しかったモニターから、なにやらサーカスのような被り物を着た人物が現れた。
「‼︎…お、おいッ!一体どうなっているんだッ…?!」
モニターにいるサーカスのような奴に向かって知らない男性が叫んでいた。
「そ、そうよ!私はなにもやっていない…‼︎気づいたらここにッ…!」
なるほど、やはりここにいる奴らは気を失って気づいたらここに居た〜みたいな感じか。
【ご安心を、私は決して悪いものではありません。皆様は選ばれしものなのです。】
いやいや、どう見ても怪しいものだろ。

「…ど、どう見ても怪しいと思いますよ…?。」
おっ俺の代わりに言ってくれたな。
彼女は高校生ぐらいだろうか。クールで真面目そうな、感じをしていて、比べてサラサラなロング髪だった。

【ははっやはりそうですか。まさにその通りですよ。わたしは怪しいものですよね!でも大丈夫です。!】
意味わからん。なんだこいつ、開き直って笑ってるぞ。
「意味わからん…」
おっと、口に出てしまった。
すると俺の独り言を聞いたのか、さっきの綺麗なロング髪の女子が俺に近づいてきた。
「あの…皆さんも知らないうちにここに…?」
「あぁ、突然の睡魔に襲われてな。」
「やっぱりそうですか…。」
それだけ言って、後はもう口を開かなかった。

【ここでは、皆さんの好きなようにしてください。そう。皆さんのゲームです。】
「は?好きにしろって…真っ黒な壁に狭い部屋だぞ?」
【そうですねぇ!!まぁ、それを考えるのは貴方達自身なんですが】
「ふざけんじゃねぇッ!早くこっから出せ!!」
【そう荒々しくなさずに。では、失礼しました。】
最後にそう言い、モニターがプツンと音を立てて真っ暗になった。
「…ん〜、なにか出られる手口があるかもしれないですねぇ。多分…。」
んー…なにをすれば良いのか…。
すると、またさっきの女子が近づいてきた。
「…なにをすれば良いのでしょうか…?あの方は一体何を企んでいるのでしょう…」
まさに俺が今考えていた事だった。こいつ、なかなかやるな。奥でも女性と男性が話をしていた。
『はぁ…早く帰りたいな…』
『…仕事とかなにされてますか?』
『私は営業マンをしてるよ!貴方は?』
『いいですね、!俺は____』
皆あいつの言ったように好きなようにしているな。
「…その、貴方は学生さん、ですか?」
「んぇ?」
急に話しかけられて変な声がでてしまった。
恥ずかしさで咄嗟に顔を手で覆った。
「す、すまん。」
「…ふふ、面白いですね。」
彼女の初めての笑顔でなんだか心がふわふわとしたきもちになった。…いやこっちからしては何も面白くないんだが。
それから、俺は彼女と時間を忘れて沢山話をした。
お互いの話を沢山教えあったりして、彼女の名前、何処に住んでいるか、趣味はなんなのか、、、この人数ではとても狭い部屋の中で、とにかく沢山話した。

「…あの、もし良かったら…今度お会いしませんか…?私、貴方に会ってみたいです。」
「っ!勿論です。俺もこんなところじゃなくてしっかり貴方とお会いしたいです。」
お互いに会うことを約束したその時だった。数時間前と同じ、突然の睡魔に襲われ、そこで俺の意識が途切れた。

気づいた時にはベットの上に寝転んでいた。ただの夢だったのかもしれない。そう思うと、また眠気が出てきた。
けれど夢の中の彼女の事を思い出すと、何処か寂しさも覚えていた。

謎に包まれた事件から数年が経った。俺は仕事につき、社会人として生きていた。仕事にはラブラブなカップルがいて、『はぁ、早く家に帰りたいよ〜』『早く終わらせて、カフェでも寄りますか』『!やった!』などラブラブカップルの話を盗み聞きしながらパソコンに向かう。そんな毎日だった。そしてあの不思議な出来事は途切れ途切れだが、忘れかけていた。

ある日、仕事で新しく女性が入ってきた。仕事で先輩だった俺はその女性に色々と教える係になった。
その女性は物静かで、綺麗なロング髪で…。
と、妙な既新感を覚えた。この女性何処かで会った気が…。
変なことを思っていると。
「…あ、あの。色々とお世話になります。よろしくお願いします。」
「…っ!」
思い出した。夢の中で不思議な狭い狭い部屋の中で会い、一目惚れしたあの女性に似ているのだ。あの夢のなかの女性と瓜二つだ。
ぐるぐると色々な考えが浮かぶ中をグッとこらえ、
彼女に今までで一番優しい笑顔を向けた。
「こちらこそ。よろしくお願いします。」

それから彼女とは仕事で話していくうちに、趣味や笑いのツボがおかしいぐらいに合い、急激に仲良くなり、月日が経ち、幸せな気持ちで結婚をしたのはまた別の話___。

6/3/2024, 11:31:47 AM



"好きです"
この一言。伝えたかっただけ。
「ごめんね。」
報われないなんて、最初からわかってた。 
好きになって、勝手に期待しちゃって、勝手に嫉妬して。
いつもいつも、思ってたのは私だけで。
それでも、彼は私に話しかけてくれて、
思わせぶりな態度しないでよ。
違うね。私が勝手に好きになったんだよね。
私は、貴方のヒロインにはなれなかったらしい。
漫画のヒロインみたいに、素敵な一目惚れから始まって、互いに想いを惹き合うみたいな…。
そんなヒロインを思い浮かべてたのはやっぱり私の妄想で。
こちらこそ、ごめんなさい。
でもやっぱり好きなんですよ。
なんか、気づいた時には涙いっぱい流してました。
だから、次の恋にいくのはかなり難易度高いです。

__失恋

6/1/2024, 12:10:02 PM


_梅雨_

「はぁー、今日も雨だよぉ〜…」

今日は彼とデートする予定だったのに…最悪だ…。

「そうですね…。また、今度にしますか。」
そう言って、彼は少し悲しげに眉を八の字にして優しい笑顔を向けてくれた。
いつもはカフェやショッピングデートだったけど、今日は、いつもとは違うスケジュールでしかも外デート。今日に限って大雨だ。いや、ここ最近ずっと雨だったから怪しかったけどね。

「はぁー…」
思わず大きなため息をつく。だって今日のために何を着るか沢山悩んでたし、彼と久しぶりの外デートだったから、凄く楽しみにしてたのに…。
「残念ですね…でも次があります。また今度にしましょう。」
さっきと同じように優しい声で、優しい笑顔で励ましてくれる。それを見ているとなんだかこっちも微笑ましくなって暖かくなる。
「…今日のお出かけは残念でしたが、今日はゆっくりのんびりお家デートしましょうよ。」

いつもは、お互いに用事があったり、仕事で都合が合わなかったりと2人の時間が前よりも少なくなっていたりしたし…家に2人でずっといるのも悪くないかも。
「…ふふ。そうしよっか。」

その後、2人でたくさんお喋りをして、テレビで映画を鑑賞したりと、時間を忘れて気づけば夕方。

「…もうこんな時間ですね、そろそろ夕食の準備をしなくちゃいけませんね。」
もうそんな時間なの?まだまだ彼とお話ししたい事が沢山あるのに…。
しょんぼりしている私を彼は見逃さなかった。
「ふふ、大丈夫ですよ。今日はまだ終わってませんから。」
そう言う彼は、やっぱり優しい表情。
こんなに優しい彼なんだから、ここに太陽があってもいいくらいだった。
窓の外からは、雨が優しい音を立ててさしている。
まるで彼のように優しい音だった。今日一日中見せてくれた、あの笑顔に優しい声色。全てにおいて太陽のような存在。だけど、どこか静かに音を立てている雨にも似ていた。
私はキッチンに行き、彼と仲良く夕飯の準備をした。

5/31/2024, 12:26:00 PM

_無垢_


現在21歳、私には6年程付き合っている彼氏がいた。
今日も、いつものように彼の家にお邪魔する。
「いらっしゃい。」
いつもの優しい笑顔で出迎えてくれた。
リビングにあるソファーに腰掛ける。特にすることも無いので勝手にテレビをつけてのんびり過ごしていた。
と、そこでとある番組で芸能人が結婚したと言うニュースが流れてきた。花嫁さんは綺麗な白無垢姿をしていた。
「わぁ…」
知らないうちに声が漏れていた。私も結婚式をあげるとなったら、こんな綺麗な姿でむかえれたらな。と思った。
そこで私は、キッチンでなにか作業していた彼に、
「もし、結婚式を挙げるとなれば、ドレス姿と白無垢姿、どっちがいいと思う?」
結構サラッと言ったように見えるが、私にとっては至って真剣だった。少し前に彼と結婚の話を何回かした事がある。けれど、まだ早いと思った私は、
もう少し待ってくれませんか。
と、言っていたのだ。
こんなにも長い付き合いなのに何を言っているんだ。と思ったかもしれない。"結婚"という言葉を聞くと、やっぱり何処か不安になって逃げてしまっていた。それからと言うこと、彼は私に気を遣っているのか、結婚の話に距離をとってくれるようになった。しなくなった事はそうだけど、これからの生活や、家族関連の事を沢山考えてくれているのは確かだった。
だから今度は私から、もう彼に結婚の事を考えてもいいと思わせるように仕向けたのだ。

「んー…俺的にはドレス姿もとても素敵だと思うけど、白無垢姿も素敵なので、悩みますね。…」
彼は、「ドレスの方がいいと思う…」「白無垢も意味が込められているし、とってもいい…」など、独り言を呟いては、
考え込むように腕を組んだ。
何度もうなされている彼を見て、凄く考えてくれているのがわかった。すると彼が緊張しながら
「…考えとくからさ、君も結婚の事を考えてくれないかな。…」
待ってました!と、小さくガッツポーズをつくる。
そして私はなぜか早口で言う。
「うん。そうなの。今凄い考えてた。」
「え、あ、そうだったの…?!」
「今というか、ここ最近ずぅっと。」
凄くびっくりしたように彼は目を見開いて体を飛び跳ねた。
「ふふっ、ずっと待たせてごめんなさいね。改めて、お互いの両親にもう一度会ってみませんか?」
私から言うのはなんだと思ったけれど、今回は私が彼の先にこの言葉を言ってみたかった。
「え、はい…!ぜひもう一度お会いしたいです!」
まだ驚いているように見えるけど、彼はやっとの事かのように目を輝かせていた。さて、これから忙しくなるよ!
そう彼に言い聞かせた。


数ヶ月が過ぎていき
彼からもう一度、しっかりとしたプロポーズを受け、
私たちの結婚式では、素敵な白無垢を着て、新しい生活、新しい幸せを、貴方色に染まるために、この真っ白な白無垢に込めて、
素敵なパートナーの隣に立つ事を誓い合いました。

5/30/2024, 12:32:56 PM

私達はこの世界で終わりなき旅をしている。
空には大きな蝶が飛んで、森には精霊が住み、村の奴らは少し人間とは異なる者がいる。
君らの世界ではとてもありえない、そんなファンタジーな世界を、今日も私とカイトとラーナ、へんてこな動物とで旅をする。そして今、深い森の中の川で一休みをしていた。
「…ドラゴンの居場所は把握出来た?」
「うん!この大草原を抜けて山を登った先に洞窟があるだろう。そこに邪悪なドラゴンがいるみたいだよ〜!」
「フムフム…よぉし!!!じゃあ装備を集めてすぐそこに向かおうじゃないか!!」
「うんっ…!」
「ニョンニョン、!」
私達の目的は、この世界を自由に旅をしながら危険を及ぼす怪物やヴィラン達を倒す事。ヘヘっ正義のヒーローみたいだよね。
一休みを終えた所、できる限りの準備をしてすぐさま目的地を目指す。
「…なぁ、ルリア。」
「ん〜?なぁに?カイト。」
「…今回のドラゴン党閥は非常に危険らしい。だからその、無茶な真似したら…二度と戦わせないからな。」
「はぁいキャプテンー。心してかかりまーす。」
カイトの方は真剣に言っているけど、少しふざけて言ったから少し睨まれてしまった。
カイトの心配性?に最近ではうんざりしていた。
だってさ、私達、戦うのこれで何度目だと思ってるの?ありえないほどこの世界を救ってきたんだよ?今更そんなの考えてられないわ。心の中でカイトにグサグサ言ってやった。
「まったく、お前って奴は…。」
心の中で言ったつもりがいつのまにか漏れていたらしい。
これはまずいぞ。
「だ、だいたい。カイトはちょっと考えすぎなの!たかがドラゴンなんかに怯えてたってどうしようもないわよ!」
「怯えてなんかいない。俺はな、お前のためを思って…」
でた。私のためを思ってって言う言い訳。

「だからっそれがもういいって言ってるの!」

だんだんやり取りに腹が立ってきて、少し強めに言ってしまった。いや少しどころじゃない。かなり。
私はハッとしてカイトの方を見た。

いつものクールさもありつつ、どこか傷ついた表情をしていた。
やってしまった…。私はその場にいてもたってもいられなくなって、咄嗟にその場から離れてしまった。
「ルリ!!」
仲間の1人であるラーナが私の名前を呼んだけど、聞きもしないで走り去った。
さっきの元いた川に戻り、私はいつの間にか泣いていた。
あんなカイトにはうんざりしてる。けど、カイトを傷つけるのは嫌だ。ごちゃごちゃな感情がうるさくて、また1人泣いた。どれぐらい泣いていただろう。気づけばすっかり暗くなっていた。誰もいない森の中を歩いていたら、突然後ろから気配を感じた。カイト達…ではない感じがする。
あの怪物。ドラゴンがいた。
私は咄嗟に武器を構え、戦闘の体制をとる。
周りが暗くて前が見えず、思う存分戦えない。手が震えていることに気がつく。暗くて1人が怖いのもある。けど、やっぱりカイト達が居ないから。自信がない。怖い。助けて。
躓いて後ろに倒れてしまった。このままじゃ、やられる。
殺される…っ!。私は覚悟を決め、両手で顔の前にバリアを作る。すると、何かが前に飛び出してきた。怪物が光に包まれ、爆発音と共に倒れ込む音が聞こえた。
静かに目を開けると、そこにはラーナ達の心配した顔と、
目の前に、優しく手を差し出されていた。カイトだった。
その表情は怒っても居なく、ただただ心配しているようにも見え、焦っている表情にも見えた。
そして私はまた、カイトの胸の中で泣きじゃくった。
ごめんなさい。私はやっぱり1人じゃ無理なんだ。って。
泣いて泣いて、時間が経ち、たちまち静まり返った森。
そんな中でカイトが口を開いた。
「…ルリアが俺にうんざりするのは、良くわかってる。
嫌われてもいい。…けど、もうアイツと同じにさせたくなかったんだ…。」
昔、カイトと冒険していた一人の相棒が、一人で戦いに行って、帰らぬ人となったと言う。そこで彼との希望に溢れていた旅は終わったんだって。…
「…私のためだったんだね。」
「前からそう言っている。特にお前みたいなそそっかしいやつは。後先考えず行動するから尚更な。」
「確かに…」
ラーナが急に共感するように口を開いた。皆んなして静かな森の中で大笑いした。カイトこそ、嫌いになんかならないよ。
心が軽くなるのを覚えた。
まだまだ私たちの旅は終わらない。
明日もまた長い長い旅が始まる。

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