SAKURA・Lemon

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5/29/2024, 1:51:36 PM


__ごめんね__


初めて大喧嘩した夜、思わず家を飛び出してしまった。
数時間程経って、私を見つけてくれた。まだ怒っているらしい。君は私を、物凄い目で睨んでいる。そりゃそうか。
「…どこ行ってたんですか…」
そう言って、私の手を掴んで、家に帰る道を歩く。やっぱり怒ってる。こんな時間に迷惑かけるな。って言いたいんだろうな。
でも君は、黙って私の手を引く。
外の景色はもう暗くて、私が飛び出した時よりも凄く暗くなっている。車の音が聞こえるのに、なぜか凄く周りがシン…っとしているような気がした。そのせいで、君の荒い息の音が聞こえてくる。私の事をどれぐらい探し回ったんだろう。
"ごめんなさい。"
言わなきゃ。言わなきゃいけないのに、声が出ない。
手を引っ張る力が弱くなるのを感じた。ちょっとだけ緊張がほぐれて、ふと空を見上げた。夏の夜空には、星が細かく散りばめられたみたいになっていた。月も雲ひとつない空だったから、私たちを思う存分照らしていた。
「空、綺麗だね。」
ごめんなさい。でも、ありがとうでもない発言に、君は思わず振り向いてしまったかのようにこっちを見た。そしてすぐに前を向く。
「誰かさんが突然いなくなってずっと探して走り回ってたから。今、初めて空見た。」
「そ、そっか…」
「…夜遅くに家を出るのはやめろ。危ないだろ。」
「うん…。その、どのくらい探してくれたの…?」
「…さぁな」
そう言った君の斜め後ろからみた君の横顔は、いつもの優しい顔に戻っているように見えた。私が家を出ていってから、数時間程経ってる。その時間ずっとに探し回ってくれたんだよね…。
「…今日はごめんね。」
謝るのってやっぱりちょっと意地が出ちゃって、ちょっぴり照れ臭い感じ。でも、言うなら今だと思って、言葉にした。
「いや…俺も、その…悪かった。」
ぎこちなく言う君。そんな君を見て、なんだか嬉しくなって握っていた手を少し強く握った。さっきまで君の後ろを歩いていた歩幅を、同じくらいにする。
謝るのって簡単に見えて、実は凄く難しいものだね。
でも、謝った後のもっと好きになれたな、と感じるこの安心感。なんて言えばいいんだろう。でも、今日の喧嘩とごめんねでもっと好きになれた気がする。
互いに仲直りをし、夜空を見ながら、ゆっくりと夜道を歩いて家に帰ったとさ。

5/29/2024, 9:43:10 AM

最近は暑くなるのがかなり早くなってきている。
だってまだ6月だよ?まだ夏なのか分からない時期だよね。
学校でも、もう半袖の友達いるし。
半袖だと、動きやすいし涼しいからいいよね〜って思う人も数多く居るよね。
でも、私的に、半袖はあまり着たくない派だ。
だって、日焼けしちゃうし、蚊に刺されるのも増えるし。
まぁ確かに。動きやすいのと涼しいのは凄くわかる。
そこで長袖派の私。
長袖だと、まぁ少し暑いけどさ、
なんだか包まれるような安心感があったりするんだよ。
わかる人いるかなぁ。笑
ま、夏祭りとか海行くってなった時、
結局は半袖が勝つんだよね。

5/27/2024, 12:45:13 PM

__天国と地獄__

「…君はきっと、天国に行けるよ。」

…静かな声で君に伝える。

「…天国があったとして…私が天国に行けたら、貴方も天国にあいにきてね…。」

震えて、今にも消えそうな声で、俺に、必死に伝えていた。

「…あぁ、…。」

その言葉を最後に、妻は息を引き取った。

元から病弱だった妻は、よく病院に行って度々検査をしなければならなかった。
俺がプロポーズをした時に、自分が病気になっているということを、全て告白してくれた。自分が、いつ体調が急激に悪くなるのか分からない状況だと言うこと。だから最初の頃は、俺に迷惑をかけたくなく、あえてプロポーズを拒否っていたらしい。
それでも俺は、めげずに伝える。君を愛す。一生守る。君にそう誓った。
そして君は、初めて俺に涙を見せた。


その後、すぐに結婚し、幸せな日々をスタートさせた。
それから、日が経っても妻の体調が悪くなることはなく、このまま、幸せな家庭を築け、子供も授かり、幸せな日々を送り続けていくのだろうか。


…そう思っていた。
__________


結婚をして間もない頃。
仕事に帰ってきたところ、倒れている妻を発見した。
俺は急いで救急に連絡し、妻を乗せた救急車を追いかけるように、急いで車を出した。
焦る。震える。視界がぼやけはじめた。

早くも、一週間後、妻は天国に旅立っていった。

___________________

妻が亡くなって数ヶ月が経った。
あれから、君のことで更にいっぱいになっていた。
もういないのに。この世を探し歩いても。

俺は、まだ君に、何もしてあげられていない。まったくもって。…

突然、玄関前のポスト口から一通の手紙が入れられていた。
読んでみると、病院から来たもので、妻からの手紙だった。

"私は貴方に、残り少ない人生の中で、沢山愛を貰いました。たった数ヶ月の貴方との幸せが、一生の愛で、貴方との日々が天国のようでした。貴方は、私が居なくなってから、新しい人と隣に立つのでしょうか?それとも、私がいなくなって、まるで地獄にいるかのような日々を送るのでしょうか、?私がいない一生を、貴方にはそこが地獄であって欲しい。酷いですよね。だから、貴方にはそこが天国であって欲しいんです。どうか私を忘れて、新たな幸せを築き上げて下さいね。
___天国で待っています。"

読み終えた後、涙で滲んだ手紙を気にせず、何度も何度も読み返した。涙が落ち、字が歪む。

気がつけば、泣き叫んでいた。
会いたい。また、君に会いたい。

辛かったよな。
苦しかったよな。
ごめんな。

君は言ったよな。君がいない日々を俺にとって地獄であってほしい…ってね。

俺は君みたいに天国に行けるか分からないけど。
君は、最後に俺に幸せになって欲しいって言ってたけど。

幸せになれねーよ。
俺にとって、ここが地獄だから。






「…今から、会いに行きます。」



__天国と地獄__

5/27/2024, 10:29:42 AM

__月に願いを__


「星よりもさ、月に願い事をしたら叶いそうだよね。」

考えもしなかった、突然の疑問に思わず吹き出す。
俺は付き合って間もない彼女と6月の夜中道を歩いていた。
空には丁度満月が飾ってある。
その光景が、多分彼女にその発想を作ったのだろう。

「急に何言ってんだよwまぁ、分からなくもないけど…」

「だよね!良く皆んなは『星に願う』とか、なんとか言うじゃない?でも、今日の満月を見て思ったの。月ってこんなに大きいんだなぁって。」

「おぉ。で、それがどうやってあんなアホな発想にたどり着くんだ?」

「アホ言うなし。ほら、お月様って凄く大きいし、とっても綺麗だよね。だから星よりも何倍も願いを叶える力があるんじゃないかなぁってね。」

少しふざけたような口調で言う。でも、そんな彼女の瞳にはキラキラと光る、希望に満ちた目をしていた。なんだか愛らしいな…。
でも、月がデカいって、そりゃあそこら辺に散らばってる星と比べたら、こんな近くから見てんだし月が大きく見えるに違いない。
俺は良く、彼女の考えに驚かせられる。天然か。って思う時だってあるし、たまーに、は?。って思う時だってある。笑
でも、そこが可愛いんだよ。

「なるほどねぇ。…でも、そんな大胆な考えが思いつくって事だから、何か叶えたい願いとかあったりする?」
「えっ…い、いや別に願い事ってわけでもないんだけど…」

戸惑い出す彼女。さっきからどうした。笑

「えっとねっ……アッ…!。あ、貴方なら『I love you』を何と表す〜、??」

「なんだよ急に。話が変わりすぎだろ。」
「い、良いから良いから〜」

絶対誤魔化された。まぁ良いや。

「アイラブユーを俺なりに例えろってこと?」
「そゆことそゆこと。」

「んー…"死んでも一生離さない"…?」

「え……フフッ、アハハ!w」
「なんだよっ!お前が表せって言ったじゃないか!笑///」

俺の愛の表し方に爆笑する彼女。
まったく、人がせっかく一生懸命考えてやったと言うのに、失礼だな。
「フフッ…ごめんごめん。それが貴方の表し方だもんね。」
「笑う要素どこにもなかった気がする。」

…よし話を戻すか。

「話が脱線したな。で、君の願い事ってのはなんだよ。」

彼女に聞く。でも、どうせ彼女の事だし、たいした願い事でも無さそうだな。そう思っていたが、考えもしなかった言葉がよぎる。
小さく、優しい静かな声で伝えてきた。周りが異様に静かすぎるせいで小さな音でもエコーがかかったかのように響き渡る。

「"月が綺麗ですね。"」

初めは冗談かと思った。けれども彼女の紅色に染められた頬を見て、少なからず冗談ではないと思えた。
咄嗟に下を向く彼女。
そんな彼女を見てると、また笑いそうになる。

「…何よ…」
「いや、今になってそんな言葉で赤くなんなくてもって思っただけ、。」
「何さぁ…」
どこかいたずらそうに笑う君。

「…だって綺麗な満月が目の前にあるんだよ?なんだか言いたくなっちゃって…。ほら、今日は絶好の月だよ」
「はぁ…。」

返事を待っているのか、俺の方をチラチラと見てくる。
いつも見ている横顔なのに。
月明かりに照らされる彼女はどこか綺麗で…。

「…そうだねぇ…。」
「えっ、?」

別に"星が綺麗ですね"でも良かったんじゃないかって辺なことを考える。
でも、今は、『月が綺麗ですね』が、あってる。と思えた。

彼女が俺を真っ直ぐに見る。俺は満月を真っ直ぐ見た。
ここで初めて、自分も頬を赤くしている事に気がついた。



「…ずっと前から月は綺麗だよ。」

__月に願いを__

5/25/2024, 2:12:09 PM

        __降り止まない雨__


 昇降口の前で、夕焼けの茜色の空とともに、土砂降りな雨、ジトジトとした湿った空気が嫌ったらしい、けどなんだか落ち着く、不思議な気持ち。私は、決心して彼の名前を呼んだ。
____________________

 私、「望月 奏」は図書委員会だ。しかも、委員会では委員長をやっていた。いつものように委員会の仕事で図書室に向かう。午後4時の図書室に。

ーガラガラー

 図書室に入ると、とある光景が、目に入る。いつもの時間に、いつもの場所で、ただ静かに本を読んでいる、同じクラスの秋山くん。ー秋山 智也ーが、一番奥の椅子に座っていた。ちょうどこの時間帯になると、そこにはまるで、秋山くんにスポットライトが当たっているかのように、夕焼け空から、茜色の太陽の光が当たっていた。でも今日はいつもとは違く、綺麗な空の光がさしているのに、雨がザーザーと降っていた。
私はその光景に思わず目が離せなくなっていた。そう私は秋山くんに片想いをしている。きっかけは…。正解。この図書室だよ。


 私が図書委員会になってすぐのことだった。いつからだろう、私の図書室の当番の時間帯に、必ず例の椅子に座って、たんたんと本を読んでいる秋山くんの姿があった。
それからということ、毎度この時間に図書室を利用していることに気がついた。
当番だった私に、よく秋山くんが本の場所を教えてほしいと聞いてくるようになった。いつからか、本の場所を教えるだけでなくて、普通の会話をしていくようになった。
 そうやってごく普通の他愛のないやり取りをしていくにつれ、私は秋山くんがどんな人なのか知りたくてたまらなくなっていた。


 そしてまた、今日も秋山くんが私に、本を探して欲しいと聞いてきた。まるでそれは、わざと私に聞いてきているんじゃないかって、勝手に思ってしまったり。なんてね。
でも、秋山くんからこうやって場所を聞きにきてくれるのはもの凄く嬉しかった。なにせ好きな人から頼られてるんだし。今日も頼れる図書委員長として頑張らなきゃ。
確か、"降り止まない雨"だよね。
だけど、ちょっと困ったな、私もその本が分からないのだ。
普通は索引で調べれば分かるんだけど、どうやらここにはないらしい。

「あれ。前はあったと思ったんだけどな。」

 秋山くん情報からは、つい最近、ここの図書室でその本を見つけたらしい。どうしてその本を覚えているのか聞いてみたところ、題名だけで心が惹かれて、妙に不思議な気持ちになったという。
だけど図書室の時間が時間で、読むタイミングがなかったため、後々読もうとしていたらしい。
 もしかしたら、他の人が借りていっちゃったのかもしれない。今回は諦めてもらわないとな…
 そう告げると、秋山くんはどこか悲しげな表情で、

「そっか…。わかった。ありがとう。」

 と、言ってくれた。
うん。やっぱり秋山くんの声は優しいなぁ。そう呑気な事を考えていると、突然秋山くんが、

「…俺さ、この時間帯の図書室が好きなんだ。」

「…えっ、あ、そうなんだ」

突然だったからと気を抜いていたから少し、戸惑ったようなぎこちない返事になってしまった。

「ほら。俺がよく座ってる椅子。太陽の光がさしてるでしょ。そこから見る窓の景色、本を読んでる時よく見るんだけど、凄く綺麗なんだ。」

しってるよ。いつもいるもんね。きっとあの場所が好きなんだろうな…。と何回思ったことか。

(本を読んでる秋山くんも素敵だよ。)
私は心の中でそう伝えた。そして、その気持ちは飲み込んだ。でも、いつかこの気持ちも秋山くん本人に届いて欲しい。伝えたかった。

「それと、今日の雨凄いよな。空が光ってるのに、結構な大雨だよ。」

「ね。私もちょっと不思議だなって思ってたんだ。」

「あ、そういえば、その"降り止まない雨"?ってどういう本なの?」

「俺も、まだ詳しくは読んでないから分からないけど、雨の時の詩が書いてあったり、1分で読める結末があったり、雨をテーマにしてるんだ。」

「一つだけ、主人公が恋をして、恋の相手と少しずつ、想いを寄せ合い、そして、雨の中遂に互いに想いを…。っていう話しがあった気がするよ。」

「恋愛小説みたいだね。」
「多分、そうだね。」
 
 本の内容を聞いて、少し不安な気持ちになった。私の恋は、果たして叶うのだろうか。ただの勘違いだったら?
大雨の音が私の心にささっているように感じて、そう思うと、だんだん胸が苦しくなってきた。


ーキーンコーンカーンコーン…ー

チャイムだ…。そろそろ帰らなきゃな。
「私、そろそろ帰るね。同時に図書室も閉めるから。」
「わかった。俺も準備する。」

そういって、2人同時に帰る支度をする。


 階段を降りて玄関に向かう。外からザーザーとうるさい音がなっている。梅雨が近いだからだろう。
 ここ一週間ずっと雨が降っている。

2人同時に傘をさす。秋山くんの傘は私の傘より少し大きめの黒色の傘だった。

大雨のせいで前が見ずらかった。なのに、茜色の空だけクッキリと光が差していた。変な天気だなぁ。
でも、この景色、なんだか見覚えがある感覚になった。
 オレンジ色に照らされる大粒の雨の中。私は決意を決め、秋山くんの名前を呼ぶ。伝えるなら今だ。そう感じた。


私は、雨に負けないぐらい、少し大きめの声で彼の名前を呼ぶ。大雨のせいで声があまり届かない。

だけど、微かに聞こえた、優しい声色。彼が私の名前を呼んだ。

そして、2人同時に口を開いた。











_______________
"降り止まない雨の中"

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