SAKURA・Lemon

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__月に願いを__


「星よりもさ、月に願い事をしたら叶いそうだよね。」

考えもしなかった、突然の疑問に思わず吹き出す。
俺は付き合って間もない彼女と6月の夜中道を歩いていた。
空には丁度満月が飾ってある。
その光景が、多分彼女にその発想を作ったのだろう。

「急に何言ってんだよwまぁ、分からなくもないけど…」

「だよね!良く皆んなは『星に願う』とか、なんとか言うじゃない?でも、今日の満月を見て思ったの。月ってこんなに大きいんだなぁって。」

「おぉ。で、それがどうやってあんなアホな発想にたどり着くんだ?」

「アホ言うなし。ほら、お月様って凄く大きいし、とっても綺麗だよね。だから星よりも何倍も願いを叶える力があるんじゃないかなぁってね。」

少しふざけたような口調で言う。でも、そんな彼女の瞳にはキラキラと光る、希望に満ちた目をしていた。なんだか愛らしいな…。
でも、月がデカいって、そりゃあそこら辺に散らばってる星と比べたら、こんな近くから見てんだし月が大きく見えるに違いない。
俺は良く、彼女の考えに驚かせられる。天然か。って思う時だってあるし、たまーに、は?。って思う時だってある。笑
でも、そこが可愛いんだよ。

「なるほどねぇ。…でも、そんな大胆な考えが思いつくって事だから、何か叶えたい願いとかあったりする?」
「えっ…い、いや別に願い事ってわけでもないんだけど…」

戸惑い出す彼女。さっきからどうした。笑

「えっとねっ……アッ…!。あ、貴方なら『I love you』を何と表す〜、??」

「なんだよ急に。話が変わりすぎだろ。」
「い、良いから良いから〜」

絶対誤魔化された。まぁ良いや。

「アイラブユーを俺なりに例えろってこと?」
「そゆことそゆこと。」

「んー…"死んでも一生離さない"…?」

「え……フフッ、アハハ!w」
「なんだよっ!お前が表せって言ったじゃないか!笑///」

俺の愛の表し方に爆笑する彼女。
まったく、人がせっかく一生懸命考えてやったと言うのに、失礼だな。
「フフッ…ごめんごめん。それが貴方の表し方だもんね。」
「笑う要素どこにもなかった気がする。」

…よし話を戻すか。

「話が脱線したな。で、君の願い事ってのはなんだよ。」

彼女に聞く。でも、どうせ彼女の事だし、たいした願い事でも無さそうだな。そう思っていたが、考えもしなかった言葉がよぎる。
小さく、優しい静かな声で伝えてきた。周りが異様に静かすぎるせいで小さな音でもエコーがかかったかのように響き渡る。

「"月が綺麗ですね。"」

初めは冗談かと思った。けれども彼女の紅色に染められた頬を見て、少なからず冗談ではないと思えた。
咄嗟に下を向く彼女。
そんな彼女を見てると、また笑いそうになる。

「…何よ…」
「いや、今になってそんな言葉で赤くなんなくてもって思っただけ、。」
「何さぁ…」
どこかいたずらそうに笑う君。

「…だって綺麗な満月が目の前にあるんだよ?なんだか言いたくなっちゃって…。ほら、今日は絶好の月だよ」
「はぁ…。」

返事を待っているのか、俺の方をチラチラと見てくる。
いつも見ている横顔なのに。
月明かりに照らされる彼女はどこか綺麗で…。

「…そうだねぇ…。」
「えっ、?」

別に"星が綺麗ですね"でも良かったんじゃないかって辺なことを考える。
でも、今は、『月が綺麗ですね』が、あってる。と思えた。

彼女が俺を真っ直ぐに見る。俺は満月を真っ直ぐ見た。
ここで初めて、自分も頬を赤くしている事に気がついた。



「…ずっと前から月は綺麗だよ。」

__月に願いを__

5/27/2024, 10:29:42 AM