SAKURA・Lemon

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8/31/2024, 4:08:42 AM

‐香水‐

俺はこの匂いが大嫌いだ。

甘ったるくて、鼻をツンと刺すような匂い。

教室の窓際の席。
俺の前の席に彼女が座っている。

大嫌いな香水の甘い香りが、
後ろの方まで漂ってくる。

俺は彼女の後ろで睨もうとした。

だがその瞬間、彼女がふと俺の方を向いた。

俺は一瞬ドキッとして
戸惑ってから彼女に話しかけた。

「あの、何か用?」

緊張してだか声のトーンがいつもよりちょっと低くなった。

「いや、その、、、私今、髪に香水付けてて、後ろの席の貴方が不快になってないかなぁと思って、、、」

そう言って彼女は長いロン毛を耳に掛けて
クールのわりには、ふにゃっと笑って見せた。

彼女が動くと同時に、髪がフワッと優しく動く。

その度に甘い匂いが俺を包むようにして流れてくる。

俺はこの匂いが嫌いだった。

だからちょうどいい機会だと思い、
彼女にぶつけるように言う。

そんなつもりのはずなのに、

「いや、別に、、、いいんじゃない」

想定外だった。

まさか自分の口からこんな、、、

「、、、なら良かったです、‪ෆ‪」

安心したかのようにフワッと前を向く彼女。

一体何だったのか、

はっ、まさか俺が香水苦手なことバレてた?!

いや、まだそんな事言ったことねーし、

、、、もう1つ、疑問ができた

彼女に言うチャンスだったのに、

どうして否定出来なかったんだか、、、

彼女の香水の匂い、痛いぐらいに嫌いなのに、

この時、この瞬間、初めて思えた

彼女がつける香水の匂い、ちょっと好きかも.


なんてな.




7/16/2024, 4:28:00 AM

_終わりにしよう_


「…もう、終わりにしよう。」

彼のその一言だけで、私たちの関係は終わってしまった。

「…そうだよね、わかった。」

彼が終わりを告げ、私はそれを受け入れた。

最近、彼の素っ気ない態度が気になって仕方がなかった。
帰りの時間も遅くなっている。

理由を聞いたら、

「…何でもない。」

それだけ。

どうせ、他の女の子と遊んでいたんでしょう?

私なんか、こんな芋なんかと一緒にいただけで貴方の恥になるもの。

…じゃあなんで、あの時、貴方は私にあんなこと言ったの?

"貴方を一生大切にします。"

バカだなぁ…。
一生って、もう終わっちゃったよ。あっさり。

自分から、勝手に私を好きになって、勝手に好意を向けてきて、勝手に告白してきちゃってさ。

本当に自分勝手な人。

一生なんてないんだよ。

手放すつもりだったんなら最初っからなかった事にしてよ。

ほら、付き合った理由も、別れた理由も
全て貴方のせい。貴方の身勝手なこと。

私はそれに付き合ってあげただけ。

…貴方の、その自分勝手な、無邪気な性格が、

私は、好きになってしまった。

…貴方のせいで、私も勝手に貴方を好きになる。

貴方が、始めたことなんだから、最後まで、本当の終わりまで自分勝手に私を愛してよ…。

こんな身勝手、私は許せないよ…。

終わりなんて、いやだよ…。

7/12/2024, 11:08:27 PM

_これまでずっと_


ずっと変わらないものはあるんだと
心に言い聞かせては、悩むだけ。

我ながら意味わからない思考回路だね。

ずっと変わらないものなんか、無かったんだ。

林檎だって放置すれば熟して腐る。

家具だってそのままにしていれば少しずつ変形している。

時間も、日常も全て。

貴方だって

私を置いて、旅立ってしまう。

大切なものばかりが奪われて失われていく。

ポジティブ思考でバカな私は

いつしか残酷な未来しか思い浮かばなくなっていった。

変わらないものは

過去なんだよね。

何当たり前な事言ってるんだ?w

彼ならそう言うはず。

私は、過去に囚われ続けて

いつしかボロボロになっていた。

"過去なんか変わらないんだから!今を大切にしろ!"

貴方は言ったよね。

でも、ごめんね。

貴方の事だから、今なんかどうでも良くなるんだよ。

貴方が私を置いていかなきゃ、私は昔と変わらず

貴方の好きな私でいれたんだよ。

貴方が私を変えたんだよ、


私ってバカだからさ。

怖いものがなにもわからないんだよなぁ、

いや、

わからなくなったんだね。


今から逢いに行くね。



7/9/2024, 1:03:15 PM

_私の当たり前_


また私は貴方との待ち合わせ場所で黙って待つだけ。

真夏のジメジメとした蒸暑い中、貴方を待つのはもうとっくの昔に慣れてる。

待ち合わせ時間から、もう三時間も経っていた。

なんで?なんでこないの?
寝坊したのかな?それとも、事故?

早く来てよ…。


あれからもう数ヶ月はたった。

いつになっても彼が来る様子はない。


私のことなんか、もうどうでも良くなったの?

また、いつもみたいに、笑顔でここに来てくれないの…?

そう諦めの感情を抱いたその時だった。

静かな夕方の道に、ゆっくりと歩いてくる音が聞こえてきた。


私は咄嗟に振り返ると、そこにはバケツと私の大好物の食べ物を入れたレジ袋を持った、彼の姿があった。


久しぶりの彼の姿が、凄く懐かしく愛おしい気持ちが溢れて、彼に駆け寄ろうとしたが、私は動きをピタッと止めた。


私の目の前に、彼が静かにおにぎりと水を置いた。

「…最近、来れなくてごめん。色々と忙しいんだ…。
これ、お前の好きなみかんといちごだよ。」

「…俺さ、なんか全然周りに馴染めなくってさぁ。仕事もミスしてばっかだし。」


彼の、優しくて落ち着いた声色が、何処か暗くて苦しい声になっていく。


「…なぁ、なんで俺を置いていった…?俺さ、まだまだお前とやりたいことあったんだけどな…w」

「、、、逢いたいな、、、。」

彼は、今にも泣き出しそうに搾り出す声で呟いた。


最後に彼は墓に水を沢山かけて、線香の火をつけ、
手と手を合わせて、目を瞑った。


その後は、また私を置いて、静かに去っていく
そんな彼の背中を、いつまでも見守っていた。


その背中を私は追いかけることができない。

会いたい、私もだよ。

また、いつでもここに来ていいからね。

私は、いつまでもここで貴方を待ってるから。

7/6/2024, 10:12:28 AM

_友達の思い出_


部屋を掃除していたら、何か箱のようなものが出てきた。

中を宝探しのようにウキウキしながら見ると、そこには懐かしい小中学生の頃の卒アルが入っていた。

私は迷わず卒アルを手にして少しほこりがかっていたので、手ではらってからページをペラペラめくった。

運動会、遠足、社会科見学。
体育祭、修学旅行、文化祭。

懐かしい思い出が次々と蘇ってきて、自然と笑みが溢れた。

夢中になって見ていたところ、
ある一定の写真に目が釘付けになった。
私が写っている写真には、いつも私の隣で笑っている、幼馴染の彼が写っていた。

写真の彼は、何処となく私の隣にいる。
眩しい笑顔で写っていた。
そういう私も、彼に負けないぐらいにこやかな笑顔。

彼は小さい頃からずっとそばに居た、大親友だ。

嬉しい時、喧嘩した時、一番泣いた時、いつも彼がいた。

飽きなんて一切しなかった。大好きだったから。

なんでも話せる、勇逸の友達で大親友。

この卒アルの写真には、彼と私が友達だった頃の思い出。

今は、私の大好きな大好きなパートナーです。

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