‐香水‐
俺はこの匂いが大嫌いだ。
甘ったるくて、鼻をツンと刺すような匂い。
教室の窓際の席。
俺の前の席に彼女が座っている。
大嫌いな香水の甘い香りが、
後ろの方まで漂ってくる。
俺は彼女の後ろで睨もうとした。
だがその瞬間、彼女がふと俺の方を向いた。
俺は一瞬ドキッとして
戸惑ってから彼女に話しかけた。
「あの、何か用?」
緊張してだか声のトーンがいつもよりちょっと低くなった。
「いや、その、、、私今、髪に香水付けてて、後ろの席の貴方が不快になってないかなぁと思って、、、」
そう言って彼女は長いロン毛を耳に掛けて
クールのわりには、ふにゃっと笑って見せた。
彼女が動くと同時に、髪がフワッと優しく動く。
その度に甘い匂いが俺を包むようにして流れてくる
俺はこの匂いが嫌いだった。
だからちょうどいい機会だと思い、
彼女にぶつけるように言う
そんなつもりのはずなのに、
「いや、別に、、、いいんじゃない」
「、、、なら良かったです、ෆ」
安心したかのようにフワッと前を向く彼女。
、、、はっ、まさか俺が香水苦手なことバレてた??
いや、まだそんな事言ったことねーし、
、、、もう1つ、疑問ができた
彼女に言うチャンスだったのに、
どうして否定出来なかったんだか、、、
彼女の香水の匂い、痛いぐらいに嫌いなのに、
この時、この瞬間、初めて思えた
彼女がつける香水の匂い、ちょっと好きかも.
なんてな.
8/31/2024, 4:08:42 AM