SAKURA・Lemon

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_梅雨_

「はぁー、今日も雨だよぉ〜…」

今日は彼とデートする予定だったのに…最悪だ…。

「そうですね…。また、今度にしますか。」
そう言って、彼は少し悲しげに眉を八の字にして優しい笑顔を向けてくれた。
いつもはカフェやショッピングデートだったけど、今日は、いつもとは違うスケジュールでしかも外デート。今日に限って大雨だ。いや、ここ最近ずっと雨だったから怪しかったけどね。

「はぁー…」
思わず大きなため息をつく。だって今日のために何を着るか沢山悩んでたし、彼と久しぶりの外デートだったから、凄く楽しみにしてたのに…。
「残念ですね…でも次があります。また今度にしましょう。」
さっきと同じように優しい声で、優しい笑顔で励ましてくれる。それを見ているとなんだかこっちも微笑ましくなって暖かくなる。
「…今日のお出かけは残念でしたが、今日はゆっくりのんびりお家デートしましょうよ。」

いつもは、お互いに用事があったり、仕事で都合が合わなかったりと2人の時間が前よりも少なくなっていたりしたし…家に2人でずっといるのも悪くないかも。
「…ふふ。そうしよっか。」

その後、2人でたくさんお喋りをして、テレビで映画を鑑賞したりと、時間を忘れて気づけば夕方。

「…もうこんな時間ですね、そろそろ夕食の準備をしなくちゃいけませんね。」
もうそんな時間なの?まだまだ彼とお話ししたい事が沢山あるのに…。
しょんぼりしている私を彼は見逃さなかった。
「ふふ、大丈夫ですよ。今日はまだ終わってませんから。」
そう言う彼は、やっぱり優しい表情。
こんなに優しい彼なんだから、ここに太陽があってもいいくらいだった。
窓の外からは、雨が優しい音を立ててさしている。
まるで彼のように優しい音だった。今日一日中見せてくれた、あの笑顔に優しい声色。全てにおいて太陽のような存在。だけど、どこか静かに音を立てている雨にも似ていた。
私はキッチンに行き、彼と仲良く夕飯の準備をした。

6/1/2024, 12:10:02 PM