SAKURA・Lemon

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_無垢_


現在21歳、私には6年程付き合っている彼氏がいた。
今日も、いつものように彼の家にお邪魔する。
「いらっしゃい。」
いつもの優しい笑顔で出迎えてくれた。
リビングにあるソファーに腰掛ける。特にすることも無いので勝手にテレビをつけてのんびり過ごしていた。
と、そこでとある番組で芸能人が結婚したと言うニュースが流れてきた。花嫁さんは綺麗な白無垢姿をしていた。
「わぁ…」
知らないうちに声が漏れていた。私も結婚式をあげるとなったら、こんな綺麗な姿でむかえれたらな。と思った。
そこで私は、キッチンでなにか作業していた彼に、
「もし、結婚式を挙げるとなれば、ドレス姿と白無垢姿、どっちがいいと思う?」
結構サラッと言ったように見えるが、私にとっては至って真剣だった。少し前に彼と結婚の話を何回かした事がある。けれど、まだ早いと思った私は、
もう少し待ってくれませんか。
と、言っていたのだ。
こんなにも長い付き合いなのに何を言っているんだ。と思ったかもしれない。"結婚"という言葉を聞くと、やっぱり何処か不安になって逃げてしまっていた。それからと言うこと、彼は私に気を遣っているのか、結婚の話に距離をとってくれるようになった。しなくなった事はそうだけど、これからの生活や、家族関連の事を沢山考えてくれているのは確かだった。
だから今度は私から、もう彼に結婚の事を考えてもいいと思わせるように仕向けたのだ。

「んー…俺的にはドレス姿もとても素敵だと思うけど、白無垢姿も素敵なので、悩みますね。…」
彼は、「ドレスの方がいいと思う…」「白無垢も意味が込められているし、とってもいい…」など、独り言を呟いては、
考え込むように腕を組んだ。
何度もうなされている彼を見て、凄く考えてくれているのがわかった。すると彼が緊張しながら
「…考えとくからさ、君も結婚の事を考えてくれないかな。…」
待ってました!と、小さくガッツポーズをつくる。
そして私はなぜか早口で言う。
「うん。そうなの。今凄い考えてた。」
「え、あ、そうだったの…?!」
「今というか、ここ最近ずぅっと。」
凄くびっくりしたように彼は目を見開いて体を飛び跳ねた。
「ふふっ、ずっと待たせてごめんなさいね。改めて、お互いの両親にもう一度会ってみませんか?」
私から言うのはなんだと思ったけれど、今回は私が彼の先にこの言葉を言ってみたかった。
「え、はい…!ぜひもう一度お会いしたいです!」
まだ驚いているように見えるけど、彼はやっとの事かのように目を輝かせていた。さて、これから忙しくなるよ!
そう彼に言い聞かせた。


数ヶ月が過ぎていき
彼からもう一度、しっかりとしたプロポーズを受け、
私たちの結婚式では、素敵な白無垢を着て、新しい生活、新しい幸せを、貴方色に染まるために、この真っ白な白無垢に込めて、
素敵なパートナーの隣に立つ事を誓い合いました。

5/31/2024, 12:26:00 PM