六月の帰路

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11/21/2022, 8:16:30 AM

爛れるように歩いて 霞むようなアスファルト
太陽がキラキラと地面の雑音が頭の中に滞っている
ただ草木が揺れているみたいに
階段を登ってゆくみたいに
そんな人生を臨んでいるだけなのに
たんぽぽみたいな花が咲う そして雨の日には蕾は眠る
ちゃぽちゃぽした水溜まりの傍に
君は僕が嫌いなのね
小さな刃物が殺人鬼が笑うみたいに僕の傍に揺れて
枯れていた僕を他所目に
雨水が項垂れるだけの音がしている
皮が血の海に覆われて 地獄絵図に化す❓
道路が動いているみたいだった 涙が動いて
僕はただ死んでゆく塗れになるだけだった
せめて綺麗に死にたかった
線路を無くした電車のように
冷たい熱帯魚のように

僕はまるで僕みたいに死ぬんだ

11/16/2022, 4:02:59 PM

おはように化けた心の孔雀を透かして
毒にも満たない薬を飲んで一夜を明かして
チャイムが何度もなる朝だ
エラー画面の音声がずっと私を急かして
ロボットに当たって爆発する頭
飛んでた埃を素早く掴んでみせる生活
無駄な二酸化炭素を排出しているただの無能だ
絆創膏が落ちている時 下を向いている

埋まり消えていく 色褪せた額縁の絵の具色
飾っていたのは何だったんだろう
思い出す頭も動かぬまま 熱が消えていく
液体が残っていない香水を飲み干して死ぬ

何も無い魔女 花が咲かない雑草に 心縋り踊るのだ
風に揺られた同じ振動 理に落ちる
ぷかぷかとまた風が来る

11/15/2022, 3:51:23 PM

指先が異世界を感じた そこはどこかの小さな隧道
子猫が先を知らないまま
ただ眠っている 真っ暗の中にいる
黒猫だけが僕の幸せを願って

涙が何色か分からないまま 子猫の温もりに
夜の色の温もりに トンネルの冷たさに
全てに触れていたけれど 全て透明になる息だった
心みたいな 葉じゃ表せないほどに

あそびたい、ブランコに乗っていた月明かりが
雲から顔を出しても 出さなくても めをつぶって
流れ星が 冷たくてアスファルトが少し濡れた
心拍とよく似る 水道管に水が流れる音
冬であればよかったかな

どうしてまた黒猫は 僕のことを抱きしめて
どうしてなのか 黄色い月が僕を見つめる
夜が囁いて 僕に初めて色をくれた

案山子の腕が鳴る
猫の目のように 僕はまた堕ちゆくだけの
冬になったのだろうか

11/12/2022, 4:14:15 PM


時計の針を動かしていたのは君で、骨が浮き出た長い手で時計の口角を上げていた。
結局君は口がおかしくなるまで目を覚まさず、ずうと僕の2段ベッドの上にいた。暑くなってうるさい扇風機を強に設定しても、君は起きることなく横たわっている。
今日はこんなに蝉が鳴いてるのに、君はずうと髪が斑のままだ。
今朝、僕は彼女の目覚ましを10時止め、うるさく喚いた。カーテンからの日差しはない。ただ真っ暗闇の、夜か昼かも分からない四角形の個室にいる。
僕はカーテンを開ける気にもなれなかったが、蝉の声が聞こえてきた時、鳥のさえずり聞こえてきた時、
誰かに呼ばれているような気がしてカーテンを開けた。ただ眩しい血が通うような日差しは僕を憂鬱にさせるばかりだった。
カーテンを閉め、また僕は上を見る。
そういえば昨日の目覚ましは10時にセットしていたんだったな。彼女は毎日起きもしないのに目覚ましを適当に決める。朝食も昼食も食べない、ただの屍のようだとはこの事なんだろうか。

11/11/2022, 3:02:59 PM

昔行った公園 どこかに置いてきた自転車の鍵
遊具のてっぺんから堕ちる夢を見た
夏の唯一の冬が、また私の目の前に現れた。
いつも君が、夕暮れのチャイムで思い出させる
あの頃のひぐらしが 一つの全て
君が死んだ時、一緒に死んでいればいい

また夏の逃避行を夢見ていた
季節が移り変わるなんて嘘だった。
離れていった冬 私を繋げていたはず
結局どこも同じ場所 冷たい涙が梅雨みたいだった。
花が戦争に 青い鳥がアンパンを咥えてたんだ
主語がない本を読んで完結してしまうんだ
命は僕に嘘をついて、そのまま死んじゃって
正直にはならないままで散っていく
夏休みになった頃の思い出は お墓参りの草木が繁る時
命は残らない もう居ない 誰も彼もまた居なくなる
背中に咲いた曼珠沙華が慌ただしくて
命が消えて芽吹くのは 全部、
夏のせいだった

手を包むと暖かいのに
風は透明に消えていく 木漏れ日が差し込むカーテンに
白い花が写っているのを見るのが好きだった。
いつかの朝焼けを 誰も覚えてない事をただ
手に包んで消してしまった最後に
暖かい布団に包まれて、ブランコに揺られている気分でいる また戻って、進んで、 戻って、進んで また、戻って 。
あの時みたいに上手くいかないこと なんで冬は
何も教えてくれないのか 目を瞑って
分からないフリしてた 分からないのに
分からなかったままで 心拍はスっと完結するだけ。



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