六月の帰路

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指先が異世界を感じた そこはどこかの小さな隧道
子猫が先を知らないまま
ただ眠っている 真っ暗の中にいる
黒猫だけが僕の幸せを願って

涙が何色か分からないまま 子猫の温もりに
夜の色の温もりに トンネルの冷たさに
全てに触れていたけれど 全て透明になる息だった
心みたいな 葉じゃ表せないほどに

あそびたい、ブランコに乗っていた月明かりが
雲から顔を出しても 出さなくても めをつぶって
流れ星が 冷たくてアスファルトが少し濡れた
心拍とよく似る 水道管に水が流れる音
冬であればよかったかな

どうしてまた黒猫は 僕のことを抱きしめて
どうしてなのか 黄色い月が僕を見つめる
夜が囁いて 僕に初めて色をくれた

案山子の腕が鳴る
猫の目のように 僕はまた堕ちゆくだけの
冬になったのだろうか

11/15/2022, 3:51:23 PM