六月の帰路

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時計の針を動かしていたのは君で、骨が浮き出た長い手で時計の口角を上げていた。
結局君は口がおかしくなるまで目を覚まさず、ずうと僕の2段ベッドの上にいた。暑くなってうるさい扇風機を強に設定しても、君は起きることなく横たわっている。
今日はこんなに蝉が鳴いてるのに、君はずうと髪が斑のままだ。
今朝、僕は彼女の目覚ましを10時止め、うるさく喚いた。カーテンからの日差しはない。ただ真っ暗闇の、夜か昼かも分からない四角形の個室にいる。
僕はカーテンを開ける気にもなれなかったが、蝉の声が聞こえてきた時、鳥のさえずり聞こえてきた時、
誰かに呼ばれているような気がしてカーテンを開けた。ただ眩しい血が通うような日差しは僕を憂鬱にさせるばかりだった。
カーテンを閉め、また僕は上を見る。
そういえば昨日の目覚ましは10時にセットしていたんだったな。彼女は毎日起きもしないのに目覚ましを適当に決める。朝食も昼食も食べない、ただの屍のようだとはこの事なんだろうか。

11/12/2022, 4:14:15 PM