六月の帰路

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9/24/2022, 1:51:38 PM

白。
創る時に一瞬にして死んでしまった。
それは放たれた血の花のように
何者かに殺された跡は誰にも気付かれずに、
ただハンカチーフで拭う跡が見られた。
ただスケッチブックに飛び散った血溜まりだけが
作品として残されていた。

「ええ、私が見たのは真っ赤な血溜まりでした。
 絵の具やインクなどではなく、黒と混ざりあった血。
私はそのような血文字をみたことがありません。」

ベッドに残されていたはずの血痕は
跡形もなく黒く塗り潰されていた。
それは信号に
それは壁に飾られたキャンバス
足跡のような絵画

みな蝉の言葉を忘れたように話していた
なにかがおかしくは無いかと
あの人は綺麗事だと笑った。
ただ周りから囲まれるムカデ
写真のあなたがいた。

なにかが分からなくなっていた。
青いスープを飲みたくないみたいに
それは自然な事だったようだ

''献身的だったんだよ''
それらの肉片はそういうことを言っていたような。

その方が良かったんだろう、
猫は首が取れていた
それはこちらを向いて睨みつけている
「産まれる前はしあわせだった」
そうやってアフレコした。

創作物であり、何をしてもいいのだ。
そこにいたアダムとイブは創作物だった。

甲羅を溶かしたことが辛かったと、
一瞬にして息を取り戻し、甲羅を元に戻している。
焦っている様子が気持ち悪かった。

教会にいたあの人も
吐かれていたムカデも
みんなもみんな、
そう感じていたよ

体に埋め込まれた創作物は
そう書いてあるから
そう言うしかないのだ

その方が良かったんだろう
そうやってみんなが創作物を笑うしか無かったのだろう
後ろ側にオルゴールを適切に鳴らしたと言えば
みなは納得して涙を流して造られていく

「あぁ、悲しいね。
はい、これでおしまいね。
さぁ、帰ろう。」


あの本が塗りつぶされる頃
蝉が泣いている。




9/22/2022, 11:14:30 AM

焼きそばを編み込んでいた
君が作った塩焼きそば
味付けは控えめの、ピーマンの入った。
何度も咀嚼して飲みこむこと
その味はしたたかだけれど
チョコを食べたら台無しになった
不愉快な音が聞こええてさ
忘れていた晴天の色ね
気持ち悪いね、
ほんとにね。

台無しにするのが好きみたいな終生は
過去に戻らなくてもいい
ただ文字盤の1部になっていられたら
また戻ってきてくれることを望んでいられたかな
止まってしまっても
また進むことを許されるのね

甘いチョコを咀嚼して答えを探す
「何も食べなければ良かった」
空腹を満たすだけの道具になり得ないように
しなければならなかった。

「苦い分だけ甘くなる」と君は言う
僕には感じることが出来ない甘みなんだね、僕は言う
それは違う、僕が言う。

甘い欲望に溢れるチョコレート
苦さを求めないチョコレート
ちゃんと味は変わっていたのか
空腹を満たす道具のチョコレート
成りゆく道はどこだと聞いて
消えてしまうのに道は消えないと君は言った













9/20/2022, 3:06:42 PM

ゆりかごの上から話しかけて
血が滴る毎日に、どうして君はそれで終わりにするの
問いかけても答えはなく、君の目は僕を映し出す
その向こうに、エンドロールも流れない映画が広がっていた
幸せだって、ぺトリコールが僕に言う
それってどんな味がするのかって、多分誰も知りえはしないから
勝手に味をつけて楽しんでいるのだろう?。
誰かの一線は人生になるとしたら
何が足りないのかわからないの

絵の具を混ぜた色 君の目の色混ぜた色
どちらもおなじで違う、それは踏み潰したカエル
その曲を聴いたなら、同じ気持ちでいられたのにね
ただ話して欲しくないと
ただ何も言わなくていいと
言ってくれたら良かったのにね

学校の隣の電信柱 そんな所、あったっけ
そうやって笑おうね
遠いレストランでは食べないよ
そこの映画館でポップコーン食べて駄弁りたいな
オープニングを覚えていないほど長くて
つまらないほど気持ち悪い

それでもポップコーンとても幸せ
やまないチャイムを一緒に殺して
エンドロールを覚えていよう


9/11/2022, 4:52:48 PM

六月のままで止まっていたカレンダー
何も知らないままでいたい六月に
血が塗られる六月
それでもいいからと大丈夫だからと
吐息は止まらない

とても素敵な六月のままでいたいのに
どうして君はそんなに慌てているの?
君は慌ただしく、蝉の声を殺している

この部屋は素敵な六月だよ
今日は何日でもない六月に
鳳仙花を描いていよう

進まずに、たくさんの物語を書いていよう
そっちの方がいいよ
世界が滅亡しても
私は滅亡できないの

たまには遊びに行こう
ベランダに出ると紫陽花が咲いているだろう
風邪をひいていたけれど
それはとっても綺麗な紫陽花
強い雨が降り注いで、僕はかえるに鳴る

明日の意味を捨てて
この息だけを飲み込んでいけばいいよ
何も考えなくていいから
少しだけ眠っていよう
周りにだれもいなくなっても
風が落ちても、赤い雨が降っても
ただ目を閉じていてもいい

夢の中の六月
飴色の雨が甘くなって
ソーダ味のわたあめを食べにいこう
止まらないピアノを鳴らして
人間ごっこをする

映画を見ていると
なぜだか君ばかり映っている
どうして君は雨が降っているのに
悲しい顔をしているのだろう
傘を棄てて、君は飴を食べていた
それは息苦しそうに
ずっと心配してしまうよ

六月だけでいいのに
君はカレンダーを捲って
雨になる
六月に流れる雲に乗らないことは
そんなにいけないことなのかな

手紙を雨に流しても
君は何も言わなかった
雨なのに、どうして花は踊らない
僕には分からないままで
ただかえるのままで鳴いていた

素敵な六月にするために、
たくさんの影を消していく
美しさなんていらないと君が言うから
僕は紫陽花を踏み
雨を踏み
六月のカレンダーを踏んでいる

9/8/2022, 10:31:31 AM

手に植えた黒い文字
それは段々と
涙で霞んでいく
終わりの見えない人生みたいに
きえていってしまう思い出みたいに
やがてその黒い文字はみえなくなっただけで
私の黒い心はなにも霞まずにそこにいる
窓の夜空は、私の心に吸い込まれ、真っ黒に塗られたキャンバスが飾られていた。

悲しそうな傷がついた所に
涙を零しても痛いだけで、何も消えてくれなくて
忘れさせてくれない思い出だけが残る
涙なんて流しても
何も意味が無いのに
何をしているの?そう聞いても、
また涙で濡れるだけで
私は何がしたいの、と聞いても
答えてくれないのは分かっていた
あの頃の空を、あの頃の夕暮れは
明日を願うばかりで何も背景がない
空白の中の空
ただ夜に暮れてただ涙に濡れる
手元の月は濡れていて
手垢だらけの月は僕を勇気づけ
僕の目に光をくれる
でもその光はすぐに消えて
私は光ってなんていなかったんだなって
真っ白な単語帳思い浮かべて
そこに色違いの4文字を書いて、ひとつをちぎって捨てている
いっそのこと
あの夜空に吸い込まれて、誰かの黒い文字になりたいなんて口ずさんでいた。


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