私の気分はブランコのように揺れ動く。
上手くいったものだ。その実スーパーハイテンションな無敵感とスーパーローテンションな絶望感を交互に味わわされている。
ここのところは気分が負に振れたまま固められてしまったようで、1年ほど自己批判に浸っている。
とかく阿呆である。
さて、私の気性のなかでもうひとつ揺れているものがある。
それによって私の部屋はゴミ屋敷とミニマリストを行き来している。もちろんこれも圧倒的にゴミ屋敷期間が長い。
今日だってそうだ。脱ぎ散らかした服の山をかいくぐって身支度をし、明日着る予定の服を山から引っ張り出して袋に入れる。引っ張り出した服には自分の抜けた髪の毛が絡んでいたりホコリが着いているので間にゴミを払う作業が入る。袋をキャリケースに入れて、レシートがくちゃくちゃになったカバンから必要なものを引っ掴んでそれもキャリーケースに。そいつらを整理するのは旅先のホテルでの作業だ。
なぜ部屋がこうなっているかと言うと物がとんでもなく多いからである。
服や本が収納場所から溢れると持っているもの全ての把握ができなくなって持っているのに持っていないような感覚になって買い足す。
負のサイクルを巻き起こしているのだ
じゃあものを減らして何時でもものをしまえるようにしておけ、という正論が聞こえてくるが全くもってその通りである。
社会人になってすぐや大学生になってすぐなど、部屋をオシャレにしようと思ったことは何度かある。
そのタイミングでは断捨離を実行し、部屋が綺麗になるのだが直ぐにとんでもない不足感に襲われる。
他人と自分を比べ、自分は他人より劣っている自分は何も持っていない、そんな寂しさや不安感を購買欲にぶつけ服や雑貨、服を買い集める。
いい加減もので自分の価値が埋まらないことに気がついた方が良い。
暑い
誰に伝えるでもなく口をついた。
腕に引っ掛けていたスーツのジャケットを無造作に自分のデスク備え付けの椅子の背もたれにひっかけた。
朝より重たく感じるそれは知らず知らずのうちに汗を吸っていたようで、腕を離れただけで楽になった。
今日は一日誤納品対応に追われていた。
先日入った新人に仕事を任せたところ、案の定とでも言おうか、無いはずの商品が残っていて、あるはずのものがなかったのだ。
それを届けて終わりかと思えばそこには他のところにあるべきものがあって、、と言うことを繰り返して、デスクに帰りついた頃にはすっかり日が落ちていた。
確かに任せたのは自分だがあんまりじゃなかろうか。
納品対応で遅れた他の仕事はまだまだ残っている。
が、取引先の営業時間はとっくに終わってしまった。
また明日頭を下げて回らなくてはならない。
主人は大きな箱を僕の前に置いた。
「今日からよろしくな」
真っ白で角が整えられたそれは縦にながく、主人が一抱えするくらいだった。
主人は箱の向こう側から僕をのぞき込んでいた。
その夜、主人は箱の蓋を1枚ぺろりとめくった。
中身は僕への贈り物だと思っていたけど蓋はあいていないみたいだ。
毎日主人は蓋をめくる。まだまだ中身は出てこない。
ある日主人の手元が狂ってはこがぽさんと落ちてきた。
ちょうどはこが半分くらいの長さになった時だった。
箱は真ん中でぽっくり折れて地面に落ちてちょっとのところで繋がっていた。
箱は箱じゃなかったんだ。
断面はみっちり詰まった箱はただの紙の束だった。
僕はその文字を見て何も言えずにいた。
そこにあったのは僕の名前。
そして残り100日/365日という文字。
これがゼロになったら僕はどうなるんだろう。
僕は不安な感情を主に向けた。
「怪我はなかったかい?まだ時間はたっぷりあるからね」
その日はどんどん近づいた。
紙の束は薄くなり、そのうち間違えて捨ててしまいそうになるほどだった。
主人は時々寂しそうな顔はしたけれど躊躇いなくぺろりとめくった。
あと5回くらいめくったら【そこ】についてしまう。
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カレンダー
少年は一世を風靡する役者だった。
齢6と若くして子役界一の演技をした彼は10ばかりとなった今、彼が出演する作品はすべて彼の代名詞となるほどであった。ほかの役者は溜まったものでは無いがもはや恨むでもなく彼と共演したことを喜んだ。
しかし転機は唐突に起きた。
目が覚めると彼は膝丈程の小さなカゴに押し込められていた。
あかりもないなかでむき出しの体と金属のカゴが擦れた。
商売道具である体に傷がつくことを恐れたが次第にそれも気にならなくなった。
時期が来ると花が咲く。そこで終わりだと誰しもが思っている。
そうだろう?期が熟してここだと思って花開く。だがその経験を元に実を結ぶのだ。
期を待ち続けよ。
実が落ちるのはまだまだ先だ。