牧原 牧夫

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息子が外で遊ぶ声が聞こえる。
妻との間に生まれた愛しい我が子。
時折なにか見て欲しいのかパパ、パパ、と呼ぶ声がする。
到底珍しい虫とか大きなどんぐりとかそんなものなので大抵適当に返事して放っておく。
どうしても見せたいものは走って持ってくるし、危険が迫っていたら大声で叫ぶだろう。
愛息子といえど放任主義なのだ。

妻はここにはいない。息子がこの世に生まれた時からいない。
息子はその事について不満を漏らすことは無い。時折寂しげな表情をうかべるがそれが満たされることを知らぬのだ。

この子はいつか自分の背丈と変わらなくなること。
この子はいうか自分が居なくなってひとりで生きること。

たくさんのことが頭に浮かんでは絡み合い自分の頭を満たしていった。
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言葉にならないもの

8/13/2025, 1:15:46 PM