人さがし

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7/1/2023, 11:24:51 PM

─窓越しに見えるのは─

山の中にある、病棟の奥。

二階には三角の窓があり、いつも光が入っている。

太陽の光、月の光。どちらも明るすぎて、不気味と感じる程。

そしてその窓越しに見えるのは、いつも笑う彼。

彼はいつも夜中になっては、小さな声で呟く。

『僕は此処でヒーローになったなぁ。懐かしい。』そう言って笑う。

何故かは分からない。何で笑うのかも、何もかも分からない。

きっと彼を他の人が見たら、間違いなく通報するだろう。

まぁ、他の病人が居ればの話だが。

この病棟には、私以外誰も居ない。否、居なくなった。

ある人のせいで、病人も看護師も医者も全て殺された。

私もその人に殺された。そして私は殺される寸前、その人の顔を見た。

月の光に照らされた、いつも窓から見える笑う彼だった。

今考えれば、彼の言うことが分かる気がする。

此処は精神病棟。皆、死にたがりだった。

彼は何処も可笑しくない、誠実な人だった。否、そう見えた。

だからそんな彼に、助けを求めた。

『殺してくれ。』『生きているだけで辛いんだ。』と。

優しい彼は、願いを聞いた。そして、それを実行した。

でも彼は、助けを求められた時には狂っていた。

『誰かに認めて貰いたい、頼られたい』と。

そんな彼がとった行動は、正しかったのだろうか。

6/30/2023, 2:25:51 PM

─赤い糸─

私には生まれつき、糸が見える。
相手と近付くと現れ、離れると消える。
小指と小指に結ばれている、不思議な糸。

小さい頃は意味が分からなかった。
親にも、友達にも、誰にも見えない。
そのせいで周りから可笑しな目で見られ、いつしかその事を隠すようになった。

バレて嫌われるのが、怖かった。

だから周りとの関係も深めないようにし、その度に糸が見えてないか気にしていた。
しかしいつの間にか、糸は見えなくなった。
安心していた。もう治ったのだと。

だが違った。治っていなかった。
そう気付いたのは、高校二年の頃だった。

私にも、親友と思えるほど仲の良い人ができた。
いつも通り、話しているとき、ふと気がついた。

私と親友の小指に、“黒い糸”が結ばれていたことに。

何で、どうして。
そんな疑問より、色が引っ掛かった。
今まで黒は見たことがなく、青や白ぐらいしか見たことなかった。
でもただバレたくなくて、知らないふりをした。

数ヵ月後。親友が屋上に呼び出してきた。

「どうしたの?」そう聞いても、親友は何も言わなかった。
ただボソボソと『...あん...の...いで。』と繰り返していた。
心配になり、肩を触ろうとした。
しかし彼女は、それを振り払った。そして、こう言った。

『あんたのせいで!私は幸せになれないじゃない!』


三日間書いてなくて申し訳ありません!
しかも久しぶりに書いた文章がとても長く、読みにくいですよね...。
本当に申し訳ありません!これからは出来るだけ書きます!
このお話の続きは、また後日に...。
以上、作者より(本っっっ当にすみませんでした)

6/26/2023, 11:10:21 AM

─君と最後に会った日─

自由だった君は、何処へ行ってしまったのだろう。

優しくて、頼りになって、相手の気持ちを優先する君。

自分の事は後回しで、他人のためにも命を懸けれる、僕のヒーロー。

親に縛られて、自由を失い、笑う君は居なくなった。

自由な君と最後に会った日は、今でも覚えてる。

いつもとは違う雰囲気で笑って、瞳には光なんてものはなくて、

言葉にも笑い方にも瞳の奥にも、苦しそうな君が居た。

僕は何も出来なくて、もう全てが怖くて、今すぐに逃げ出したくて。

あの頃の僕を恨んでる。何も出来なかった、君を救えなかった僕を。

いつもと違う事なんてすぐに気付いてた。

でも怖くて、知らないふり、見ないふりをした。

あれは君のSOSだって、早く気付いていれば。

君は居なくならなかったのかな。

僕が「逃げ出そう。」って言えれば、君を救えたのかな。

今でも後悔している、君のことを。いつまでも、愛してる。

6/26/2023, 6:53:33 AM

─繊細な花─

ある村の伝説に、『繊細な花』と言うのがあった。

その花は見つけることが難しく、花が咲くのは満月の夜だけ。

そして触るとすぐに枯れてしまう、とても珍しい花だった。

珍しい花を周りに見せたい。そんな衝動を沸き立たせる花。

花が枯れてしまうのは、心が綺麗じゃないから。そんな噂も耳にする。

そんな珍しい花を求めて、冒険者達が探しに行くことが多かった。

しかし帰ってきた者は少なく、大半は餓死したり、道に迷ってしまう人が多発した。

その為、数十年程その噂は聞かなかったのだが...。

ある1人の男が、その伝説を耳にした。

男は興味が湧き、準備を済ませ、その花を探して回った。

村の人々は「どうせ戻って来ないのだろう。」

そう思っていた。しかし違った。

男は帰ってきたのだ。片手に花を持って。

男は言った。『我は心が綺麗である。この花はそれを証明する。』

村の人々はそれを信じ、男を崇めた。

村の者は信じきっていた。それが偽物だと疑わず。

言葉の力は偉大である。

人を救うことが出来る。人を殺すことも出来る。

人を騙すことも、可能である。

言葉は誰もが持っている、一番危なく、一番痛い凶器である。

6/24/2023, 11:13:56 AM

─1年後─

ある1人の少女は、難病に悩まされていました。

その難病とは、治ることがほぼ0%に近く、死ぬ確率も高い。

今までその病気になった人もあまり居ない、

とても珍しい病気でした。

しかも、その病気は海外で発症したもので、

日本で発症した人は、彼女が初でした。

その為、何も出来ないのです。誰も、彼女を救えないのです。

彼女は余命宣告をうけました。長くて1年。

たった1年しか生きられないのです。

彼女は日本で話題になり、とても有名になりました。

『可哀想。最後の1年、楽しく幸せに生きて欲しい。』

『これで日本の医療が成長する。ありがとう』

など、応援のようなものが沢山届きました。

しかし彼女は1年後、死にませんでした。

誰もが死ぬと思っていた為、

『そう言えば、あの病気の子って死んだの?』

『何でまだ生きてんの?せっかく応援したのに。』

などと言われ、誰も『生きててよかった』なんて言いませんでした。

その数ヵ月後、彼女は死にました。病気ではなく、ストレスのせいで。

さて、此処で質問です。この中で、誰が一番悪いと思いますか?

応援していたのに死ななかったら手の平を返す、周りの人達?

それとも、周りを裏切る行為をした、少女?

『誰が悪いか。』それは人によって答えは変わる。

これを見ている貴方は、誰が悪いと思いますか?

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