─窓越しに見えるのは─
山の中にある、病棟の奥。
二階には三角の窓があり、いつも光が入っている。
太陽の光、月の光。どちらも明るすぎて、不気味と感じる程。
そしてその窓越しに見えるのは、いつも笑う彼。
彼はいつも夜中になっては、小さな声で呟く。
『僕は此処でヒーローになったなぁ。懐かしい。』そう言って笑う。
何故かは分からない。何で笑うのかも、何もかも分からない。
きっと彼を他の人が見たら、間違いなく通報するだろう。
まぁ、他の病人が居ればの話だが。
この病棟には、私以外誰も居ない。否、居なくなった。
ある人のせいで、病人も看護師も医者も全て殺された。
私もその人に殺された。そして私は殺される寸前、その人の顔を見た。
月の光に照らされた、いつも窓から見える笑う彼だった。
今考えれば、彼の言うことが分かる気がする。
此処は精神病棟。皆、死にたがりだった。
彼は何処も可笑しくない、誠実な人だった。否、そう見えた。
だからそんな彼に、助けを求めた。
『殺してくれ。』『生きているだけで辛いんだ。』と。
優しい彼は、願いを聞いた。そして、それを実行した。
でも彼は、助けを求められた時には狂っていた。
『誰かに認めて貰いたい、頼られたい』と。
そんな彼がとった行動は、正しかったのだろうか。
─赤い糸─
私には生まれつき、糸が見える。
相手と近付くと現れ、離れると消える。
小指と小指に結ばれている、不思議な糸。
小さい頃は意味が分からなかった。
親にも、友達にも、誰にも見えない。
そのせいで周りから可笑しな目で見られ、いつしかその事を隠すようになった。
バレて嫌われるのが、怖かった。
だから周りとの関係も深めないようにし、その度に糸が見えてないか気にしていた。
しかしいつの間にか、糸は見えなくなった。
安心していた。もう治ったのだと。
だが違った。治っていなかった。
そう気付いたのは、高校二年の頃だった。
私にも、親友と思えるほど仲の良い人ができた。
いつも通り、話しているとき、ふと気がついた。
私と親友の小指に、“黒い糸”が結ばれていたことに。
何で、どうして。
そんな疑問より、色が引っ掛かった。
今まで黒は見たことがなく、青や白ぐらいしか見たことなかった。
でもただバレたくなくて、知らないふりをした。
数ヵ月後。親友が屋上に呼び出してきた。
「どうしたの?」そう聞いても、親友は何も言わなかった。
ただボソボソと『...あん...の...いで。』と繰り返していた。
心配になり、肩を触ろうとした。
しかし彼女は、それを振り払った。そして、こう言った。
『あんたのせいで!私は幸せになれないじゃない!』
三日間書いてなくて申し訳ありません!
しかも久しぶりに書いた文章がとても長く、読みにくいですよね...。
本当に申し訳ありません!これからは出来るだけ書きます!
このお話の続きは、また後日に...。
以上、作者より(本っっっ当にすみませんでした)
─君と最後に会った日─
自由だった君は、何処へ行ってしまったのだろう。
優しくて、頼りになって、相手の気持ちを優先する君。
自分の事は後回しで、他人のためにも命を懸けれる、僕のヒーロー。
親に縛られて、自由を失い、笑う君は居なくなった。
自由な君と最後に会った日は、今でも覚えてる。
いつもとは違う雰囲気で笑って、瞳には光なんてものはなくて、
言葉にも笑い方にも瞳の奥にも、苦しそうな君が居た。
僕は何も出来なくて、もう全てが怖くて、今すぐに逃げ出したくて。
あの頃の僕を恨んでる。何も出来なかった、君を救えなかった僕を。
いつもと違う事なんてすぐに気付いてた。
でも怖くて、知らないふり、見ないふりをした。
あれは君のSOSだって、早く気付いていれば。
君は居なくならなかったのかな。
僕が「逃げ出そう。」って言えれば、君を救えたのかな。
今でも後悔している、君のことを。いつまでも、愛してる。
─繊細な花─
ある村の伝説に、『繊細な花』と言うのがあった。
その花は見つけることが難しく、花が咲くのは満月の夜だけ。
そして触るとすぐに枯れてしまう、とても珍しい花だった。
珍しい花を周りに見せたい。そんな衝動を沸き立たせる花。
花が枯れてしまうのは、心が綺麗じゃないから。そんな噂も耳にする。
そんな珍しい花を求めて、冒険者達が探しに行くことが多かった。
しかし帰ってきた者は少なく、大半は餓死したり、道に迷ってしまう人が多発した。
その為、数十年程その噂は聞かなかったのだが...。
ある1人の男が、その伝説を耳にした。
男は興味が湧き、準備を済ませ、その花を探して回った。
村の人々は「どうせ戻って来ないのだろう。」
そう思っていた。しかし違った。
男は帰ってきたのだ。片手に花を持って。
男は言った。『我は心が綺麗である。この花はそれを証明する。』
村の人々はそれを信じ、男を崇めた。
村の者は信じきっていた。それが偽物だと疑わず。
言葉の力は偉大である。
人を救うことが出来る。人を殺すことも出来る。
人を騙すことも、可能である。
言葉は誰もが持っている、一番危なく、一番痛い凶器である。
─1年後─
ある1人の少女は、難病に悩まされていました。
その難病とは、治ることがほぼ0%に近く、死ぬ確率も高い。
今までその病気になった人もあまり居ない、
とても珍しい病気でした。
しかも、その病気は海外で発症したもので、
日本で発症した人は、彼女が初でした。
その為、何も出来ないのです。誰も、彼女を救えないのです。
彼女は余命宣告をうけました。長くて1年。
たった1年しか生きられないのです。
彼女は日本で話題になり、とても有名になりました。
『可哀想。最後の1年、楽しく幸せに生きて欲しい。』
『これで日本の医療が成長する。ありがとう』
など、応援のようなものが沢山届きました。
しかし彼女は1年後、死にませんでした。
誰もが死ぬと思っていた為、
『そう言えば、あの病気の子って死んだの?』
『何でまだ生きてんの?せっかく応援したのに。』
などと言われ、誰も『生きててよかった』なんて言いませんでした。
その数ヵ月後、彼女は死にました。病気ではなく、ストレスのせいで。
さて、此処で質問です。この中で、誰が一番悪いと思いますか?
応援していたのに死ななかったら手の平を返す、周りの人達?
それとも、周りを裏切る行為をした、少女?
『誰が悪いか。』それは人によって答えは変わる。
これを見ている貴方は、誰が悪いと思いますか?