ネジが外れたウサギ

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8/19/2024, 6:12:32 AM

鏡の向こう側に行ったらどうなっているのか。
ふと考えたことがある。

しかし、鏡に映っているのは今の私の偽物。

その偽物が実はいないはずの双子のような人ならば
私は彼女に「入れ替わりたい」と誘ってみる。

彼女にとってこちら側の私は、鏡の向こう側だ。
だから、自分と同じ考えを持っているなら好都合。

文字や物が反転して見える世界は、
どこまで反転するのだろう。

人の恋心も逆ならば、私は向こう側の彼を探そう。
思いがけない世界を向こう側の私は楽しんでいるから

8/17/2024, 1:26:00 AM

「お前はどこに行ってもいじめられる」


それは学生時代に付き合っていた元彼の一言。

なぜそんなことを彼は言ったのかというと、

私が過去のいじめの話をしたからだ。


私は彼に会うずっと前、

幼稚園の頃からいじめっ子に目をつけられていた。

それから私は彼女(いじめっ子らのリーダー)を通して

高校を中退するまでいじめられ続けた。


原因などわからない。

だけど、何かが彼女にとっては気に入らなかった。

何を正せばいいのかわからないまま私は

心を病んだ大人になった。


同じような障がい者として当時の彼は

私に生きる術を教えてくれた。


「あなたがいじめられたのは、

人の話を聞くよりも自分のことしか話さないから」

そう言われてみれば、そうだったと思った。

だから、相手の気持ちを汲み取って話題を作った。

それが今にも生かされている。


元彼があの時言った通り、

私はその後も別の人たちにもいじめられた。

でも、職場のいじめの原因は明らかだった。

だからこそ、自分から必死になって解決に勤しんだ。


そして、今がある。

来月になれば入社して二年になる。


そんな私の誇らしさ。

それは、いじめに耐え抜く力と解決策を練る勇気。

逃げなかった私は最近では、

職場で従業員と「ありがとう」を交わしている。


8/16/2024, 6:20:58 AM

友達に裏切られ親とケンカした日の夜。

遺書みたいな手紙を入れたウイスキーの瓶を持って、

全てを投げ出したくなって家を飛び出した。


たどり着いた海の砂浜に、大きな亀が休んでいる。

「竜宮城に連れて行ってなんてことは言わない。

ただ、もし良ければ楽になれる場所を教えて欲しい」

と亀に言いたかった。


亀が動かないから、不安になって声をかけた。

「生きてる?」

亀は少し頭を動かして、こちらを見た。

ボーっとしてるだけだと思い、安心した。



持っていたボトルメールをどうしようかなと思いつつ

時間を忘れて私と亀は共に夜を過ごした。


水平線にオレンジの線が顔を出してきた明け方。

うたた寝をしている間に、気づいたら亀はいなかった。

あの亀はなんだったのだろうか。

でも、私に何も問いたださない無口な亀に感謝した。

気をもむことがない昨夜と亀は、私の疲れを癒した。


持っていたボトルメールを流さないまま

私は帰路についた。

8/14/2024, 5:13:48 AM

嫌なことの積み重ねで心を病んだ十年前。

そのときの心の薬となったのは、

一種のファッション雑誌だった。


non-noとかZipperとかCanCamとか、

さまざまな青文字系や赤文字系のファッション雑誌を

読んできた私にとって、

心の薬となったモード誌だけは

私に知らない世界を見せてくれた。


服の価格とか、似合う似合わないとか、

そんなのはどうでも良くて

ただ、その雑誌(ヴォーグとか装苑)に出てくる服は

その頃の私にとって、

見ているだけで幸せなアートだった。


その服を芸術らしく魅せている写真こそが

心の薬となった、とも言えるだろう。


心の健康を少しずつ取り戻し、

今では普通に働けるようになったのは、

私を一番に魅了した、『コムデギャルソン』という

ブランドの服のデザインがキッカケだと今も思う。

8/12/2024, 6:41:50 AM

あいみょんのマリーゴールドがヒットした年の夏。

私たちは出会い、交際を始めた。

きっかけは、淡白なありきたりのものだった。


君の職場のコンビニで、

私が祖母に頼まれた小さなあんぱんを探していたが、

見つからず品出し中の君に尋ねた。


君は嫌な顔ひとつせず、笑顔で

「もしかして、この商品ですか?」と聞いてきた。

そのあんぱんが私の探していたものだとわかると

「それです、ありがとうございます」

と御礼を言ってレジに向かった。


すると、店員が少ないせいか君が慌てて会計をしてくれた。

会計を済ませた後、君は丁寧にお辞儀をした。


その日から私は祖母に頼まれてなくてもパンを買いに

君のコンビニに時々、行った。

それを重ねていくうちに私は彼から

未発表の新商品を教えてもらったり、

アプリの新着のクーポンを教わり、使ってみた。


私はお金を落としていくことしかできないけど、

それで君と話せるから、嫌なことも忘れられた。


君の方から「LINEを交換しよう」と言われ、

ロケット花火のように私の心は跳ねた。

その夜、私は君の車で牧歌の里に行く約束をした。


デート当日。

牧歌の里に着き車から降りると、

私がかぶっていた麦わら帽子が風で舞った。

君が追いかけ、華麗な飛び蹴りのようにキャッチした。

「ありがとう」と君に見惚れながら言うと君は

無邪気な笑顔でその麦わら帽子を被って言った。


「俺、マリーゴールドに似てるかな?」

とふざけて言う君を見て私は、

「私があいみょんだったら、違う花にしたかも」

とふざけて言いながら笑った。


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